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強制される未来
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…まったく…誰も彼もが口づけし過ぎだ。うちの兄たちは本当にスキンシップが過剰過ぎる。どこの兄弟もこうなのだろうか、不安になってくる。もうこの人たちは忘れてるみたいだけれど、本当は『僕』は男だし。
まあ、男の僕にこんなことをする方が余程問題な気もするので、妹でよかったような気もする。あくまで比較の問題だが。いつものように兄たちに翻弄される私は、体のいいオモチャだ。どれだけ構っても、遊んでも、たとえ壊してしまっても問題はない、お気に入りのオモチャ。
ただ最近はそこにαに無条件に惹かれていく性質と、発情期を迎えたことによる性的発露が加わって、どうも身体がおかしい。些細な接触にも、やたらと芯が疼くような感覚にとらわれている。恥ずかしい。
こんな風にすぐに意識が身体の方に向いてしまうのが情けない。共に育ってきた兄弟に劣情を向けるなんて、情けなくてはしたなくて申し訳ない気持ちになる。それなのに触れられたところが熱くなる。もっと触れてほしくなる。どこかで滅茶苦茶にされたいと願う浅ましい自分がいることに、気づいてしまったから。
一度気づいてしまったら、もう元には戻れない。だからこそ、兄たちには決してこの劣情を気づかれてはいけない。気づかれたくない。何食わぬ顔で、ただただ可愛いだけの妹を演じきらなければならない。兄たちという魅力的な花々を渡り歩く蝶のように、軽やかにかわしながら澄ました顔で距離をとる。
「もう、兄さまたち、いい加減にしてくださいな。これじゃ何も進みませんわ。今日をどう過ごすか、決めてしまいましょう」
困り顔で嗜めると、兄たちも苦笑しながら頷いた。
「テーマパークを貸し切るっていうのは?博物館か美術館でもいいし」
わくわく顔で月兄さまが提案する。
「月兄さま、今日の今日では周囲のご迷惑になりますわ。予め話を通しておかなければ」
「じゃあ、別荘までドライブでもするか?クルージングか…そう、ダイビングでもいいし」
「春兄さま、それでも悪くはありませんが…たった一日のお休みの大半を、車中で費やすのは些か勿体なくはありませんか?」
「うーん、まあ、そうか」
「美澄は何か提案がありそうだね」
雪兄さまが、優しく促す。
「そうねぇ…音楽室でクインテットは如何かしら?それとも、映写室で映画鑑賞?」
「えぇぇー、やだー」
駄々をこねる幼子のような物言いにため息が出る。むくつけき熊男がやっても、可愛くもなんともない。
「俺は美澄を見せびらかしたいんだよ!外に連れ出して、わーかわいいー、って言われたいの!」
なんだそれ。気持ち悪い。バカ兄め。いや、兄バカめ。
「僕も外がいいな。しかも警護なしで!普通の若者って感じで、繁華街とかフラフラ意味もなく歩いてみたいよー」
「お!それいいな!月、採用!」
…やっぱりロクでもない案しか出てこない、この二人を増長させるのは危険過ぎる。警護もなしに北白川の直系たちが全員集まって、目的もなく繁華街をふらつく?由緒正しき北白川家を当代で潰す気か?
「はは。それはとても魅力的だけれど、許可する訳にはいかない案だね」
苦笑しながら諭す雪兄さまは、流石に常識を弁えている。どこからどう見てもαの気質が溢れ出ている生粋のαである兄たちは、種類こそ違えど皆容姿端麗だし、どこか近寄りがたいほどのオーラを放っている。そして、そのことに本人たちも無自覚ではない。自分自身の魅力を正しく認識し最大限に活用出来ないようでは、北白川を名乗る資格すらないのだ。
そんな歩くカリスマたちが4人も固まっていたら、狙ってくれと言わんばかりだ。さすがに暗殺だ誘拐だ、はなかったとしても、目立つことこの上ない。SNSで拡散されでもしたら面倒でならない。いくら北白川の力をもってしても、人の口に戸は立てられないのだから。
「それなら銀座で買い物はどうだ?各々が美澄の服を見立てて、一番似合う服を買えた奴が、美澄と今晩のディナーを共にするっていうのは?」
「おっ!いいじゃん!春兄、珍しく冴えてる!そのゲーム、乗った!」
「なかなか面白そうだね。ディナーの場所も勝者が決めていいのかな?」
「ちょっと、兄さまたち!勝手に話を」
「いいじゃないかよーう。美澄を可愛く飾り立てるのは、俺達の楽しみなんだよー。最近なかなか一緒にいられない兄さまたちのお願い、きいておくれよーう」
「賛成!美澄も諦めなよ。これは兄命令だ!」
まったく…いつもなら調子に乗る二人を宥める筈の雪兄さまも、今日はニコニコしながら頷いているばかりだ。
まあ、男の僕にこんなことをする方が余程問題な気もするので、妹でよかったような気もする。あくまで比較の問題だが。いつものように兄たちに翻弄される私は、体のいいオモチャだ。どれだけ構っても、遊んでも、たとえ壊してしまっても問題はない、お気に入りのオモチャ。
ただ最近はそこにαに無条件に惹かれていく性質と、発情期を迎えたことによる性的発露が加わって、どうも身体がおかしい。些細な接触にも、やたらと芯が疼くような感覚にとらわれている。恥ずかしい。
こんな風にすぐに意識が身体の方に向いてしまうのが情けない。共に育ってきた兄弟に劣情を向けるなんて、情けなくてはしたなくて申し訳ない気持ちになる。それなのに触れられたところが熱くなる。もっと触れてほしくなる。どこかで滅茶苦茶にされたいと願う浅ましい自分がいることに、気づいてしまったから。
一度気づいてしまったら、もう元には戻れない。だからこそ、兄たちには決してこの劣情を気づかれてはいけない。気づかれたくない。何食わぬ顔で、ただただ可愛いだけの妹を演じきらなければならない。兄たちという魅力的な花々を渡り歩く蝶のように、軽やかにかわしながら澄ました顔で距離をとる。
「もう、兄さまたち、いい加減にしてくださいな。これじゃ何も進みませんわ。今日をどう過ごすか、決めてしまいましょう」
困り顔で嗜めると、兄たちも苦笑しながら頷いた。
「テーマパークを貸し切るっていうのは?博物館か美術館でもいいし」
わくわく顔で月兄さまが提案する。
「月兄さま、今日の今日では周囲のご迷惑になりますわ。予め話を通しておかなければ」
「じゃあ、別荘までドライブでもするか?クルージングか…そう、ダイビングでもいいし」
「春兄さま、それでも悪くはありませんが…たった一日のお休みの大半を、車中で費やすのは些か勿体なくはありませんか?」
「うーん、まあ、そうか」
「美澄は何か提案がありそうだね」
雪兄さまが、優しく促す。
「そうねぇ…音楽室でクインテットは如何かしら?それとも、映写室で映画鑑賞?」
「えぇぇー、やだー」
駄々をこねる幼子のような物言いにため息が出る。むくつけき熊男がやっても、可愛くもなんともない。
「俺は美澄を見せびらかしたいんだよ!外に連れ出して、わーかわいいー、って言われたいの!」
なんだそれ。気持ち悪い。バカ兄め。いや、兄バカめ。
「僕も外がいいな。しかも警護なしで!普通の若者って感じで、繁華街とかフラフラ意味もなく歩いてみたいよー」
「お!それいいな!月、採用!」
…やっぱりロクでもない案しか出てこない、この二人を増長させるのは危険過ぎる。警護もなしに北白川の直系たちが全員集まって、目的もなく繁華街をふらつく?由緒正しき北白川家を当代で潰す気か?
「はは。それはとても魅力的だけれど、許可する訳にはいかない案だね」
苦笑しながら諭す雪兄さまは、流石に常識を弁えている。どこからどう見てもαの気質が溢れ出ている生粋のαである兄たちは、種類こそ違えど皆容姿端麗だし、どこか近寄りがたいほどのオーラを放っている。そして、そのことに本人たちも無自覚ではない。自分自身の魅力を正しく認識し最大限に活用出来ないようでは、北白川を名乗る資格すらないのだ。
そんな歩くカリスマたちが4人も固まっていたら、狙ってくれと言わんばかりだ。さすがに暗殺だ誘拐だ、はなかったとしても、目立つことこの上ない。SNSで拡散されでもしたら面倒でならない。いくら北白川の力をもってしても、人の口に戸は立てられないのだから。
「それなら銀座で買い物はどうだ?各々が美澄の服を見立てて、一番似合う服を買えた奴が、美澄と今晩のディナーを共にするっていうのは?」
「おっ!いいじゃん!春兄、珍しく冴えてる!そのゲーム、乗った!」
「なかなか面白そうだね。ディナーの場所も勝者が決めていいのかな?」
「ちょっと、兄さまたち!勝手に話を」
「いいじゃないかよーう。美澄を可愛く飾り立てるのは、俺達の楽しみなんだよー。最近なかなか一緒にいられない兄さまたちのお願い、きいておくれよーう」
「賛成!美澄も諦めなよ。これは兄命令だ!」
まったく…いつもなら調子に乗る二人を宥める筈の雪兄さまも、今日はニコニコしながら頷いているばかりだ。
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