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夢現の喪失
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ならばアプローチを変えるまでだ。
アレの漏らしていた断片から、αを凌駕するΩの存在について調べることにした。そもそもΩの言い成りになる従順なαなど存在する筈も無い。Ωを服従させる能力があってこそのαだ、その前提条件が崩れるとあっては世は混沌の渦になろう。
浅学菲才の身故、アレのような存在、Ωの下剋上とでも言うべき現象について聞き及んだことがない。ネットを試しに漁ってみても、都市伝説の類ですら出て来ない。巷説にすら残らないとは即ち意図的に消されているのか、そも存在しないのか。
アレは何と言っていた?同胞、恨み……そして僕を見て、『敵』だと言い放った。
名前も名乗らず、罵倒するだけして消えた、傲慢そのものの存在。美澄に憑依していたのか、或いは……可能性は薄いが美澄の構築した別人格なのか、定義はどうでもよい。
問題はアレがそう信じており、行動原理はそこにある、ということだ。
Ωによる下剋上。Ωのαに対する支配。
同胞と言うからには集団だろう。Ωのみで構成された集団だけで下剋上を為すことは不可能に近い。αによる拘束力がΩを上回っているのだから、αの協力なしには達成しえない。となれば、αとΩは何らかの共闘あるいは協力関係にあると推察すべきだ。
利害の一致か、権力構造において上位を維持するための相互補完か、理由は分らなくとも事実さえあればよい。αがΩに膝を突かないのであれば、理由は如何あれ、Ωがαに協力していると考えられる。
αは基本的に権力者の側に立つ。而してΩは為政者を支える存在と考えられる。表舞台に立つことが無く、影ながら支援するとなれば、宗教関係か後宮かに絞られるだろう。
その辺りを探ってみることにした。幸い、伝手は幾らでもある。世界中に散らばる知人に電信をばら撒いて反応を待つ。誰も彼も知的好奇心と知的探究心という化け物をその身に飼っている御仁ばかり。餌が美味ければ面白いように釣れるだろう。
果たして興味深い文献が見つかった。正史ではなく稗史である為信憑性は問えないが、内容としてはかなり真相に迫っているのではなかろうか。
古代、この国がまだ中央集権国家としての体を成していなかった時分、とある国家集団の為政者に常に付き従う一族があったという。政教分離の為か、祭祀を司り、一族須らく出家し巫覡として生涯を全うし、決して権力を求めようとはしなかった。
だが、稀に『神の子』と呼ばれる巫覡が出現すると、時の為政者へと嫁ぎ、子を産み育てることが義務とされていたという。そして『神の子』により産み落とされた子供は男女問わず、必ず時代の覇者となって権勢を振るったという。
一族を繁栄と導く者を生み出す『神の子』とその一族を、為政者の一族は決して蔑ろにせず、互いに補完し合う体制が続いていた。続いている限りは、一族の安泰は約束されたようなものだからだ。
アレの漏らしていた断片から、αを凌駕するΩの存在について調べることにした。そもそもΩの言い成りになる従順なαなど存在する筈も無い。Ωを服従させる能力があってこそのαだ、その前提条件が崩れるとあっては世は混沌の渦になろう。
浅学菲才の身故、アレのような存在、Ωの下剋上とでも言うべき現象について聞き及んだことがない。ネットを試しに漁ってみても、都市伝説の類ですら出て来ない。巷説にすら残らないとは即ち意図的に消されているのか、そも存在しないのか。
アレは何と言っていた?同胞、恨み……そして僕を見て、『敵』だと言い放った。
名前も名乗らず、罵倒するだけして消えた、傲慢そのものの存在。美澄に憑依していたのか、或いは……可能性は薄いが美澄の構築した別人格なのか、定義はどうでもよい。
問題はアレがそう信じており、行動原理はそこにある、ということだ。
Ωによる下剋上。Ωのαに対する支配。
同胞と言うからには集団だろう。Ωのみで構成された集団だけで下剋上を為すことは不可能に近い。αによる拘束力がΩを上回っているのだから、αの協力なしには達成しえない。となれば、αとΩは何らかの共闘あるいは協力関係にあると推察すべきだ。
利害の一致か、権力構造において上位を維持するための相互補完か、理由は分らなくとも事実さえあればよい。αがΩに膝を突かないのであれば、理由は如何あれ、Ωがαに協力していると考えられる。
αは基本的に権力者の側に立つ。而してΩは為政者を支える存在と考えられる。表舞台に立つことが無く、影ながら支援するとなれば、宗教関係か後宮かに絞られるだろう。
その辺りを探ってみることにした。幸い、伝手は幾らでもある。世界中に散らばる知人に電信をばら撒いて反応を待つ。誰も彼も知的好奇心と知的探究心という化け物をその身に飼っている御仁ばかり。餌が美味ければ面白いように釣れるだろう。
果たして興味深い文献が見つかった。正史ではなく稗史である為信憑性は問えないが、内容としてはかなり真相に迫っているのではなかろうか。
古代、この国がまだ中央集権国家としての体を成していなかった時分、とある国家集団の為政者に常に付き従う一族があったという。政教分離の為か、祭祀を司り、一族須らく出家し巫覡として生涯を全うし、決して権力を求めようとはしなかった。
だが、稀に『神の子』と呼ばれる巫覡が出現すると、時の為政者へと嫁ぎ、子を産み育てることが義務とされていたという。そして『神の子』により産み落とされた子供は男女問わず、必ず時代の覇者となって権勢を振るったという。
一族を繁栄と導く者を生み出す『神の子』とその一族を、為政者の一族は決して蔑ろにせず、互いに補完し合う体制が続いていた。続いている限りは、一族の安泰は約束されたようなものだからだ。
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