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魔族と人族
9 魔族と人族との戦い
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魔族と人族の争いは、政治的な不一致などという思想の違いから来るものというよりは、もっと本能的な問題から発生していた。
簡単に言うと魔族の大半は人族を食物と考えているのである。
人族からしてみれば負ければ餌にされるのだから必死になるのは当然だ。
魔族側からしてみれば、食べ物がそこにあるから狩るという認識になる。
とは言え、それが全てでもない。
魔族のなかにも人族を食物としていないものも存在する。
それどころか、実は多彩な種族を内包する魔族には人族を食料としない種族のほうが多い。
ならばなぜ魔族全体と人族全体の戦いになってしまっているのかと言えば、人族を餌とする種族が強いからだ。
魔族は強き者に従う。
強き者が人族が欲しいと言えば、弱い種族はそれに従うしかないのである。
魔族のなかに四大種族とされているものがあり、それぞれに英雄がいる。
一つは吸血鬼。
永遠の闇を生きるモノたち。
一つは人狼。
強き肉体を持つ不死の存在。
一つは蜘蛛人間。
あらゆる場所に網を張る、女王に率いられた最多種族。
一つは竜人。
魔法に長け、あらゆる攻撃を無効化する鱗を持つモノたち。
この四大種族こそが実質的な魔族の中心であり、魔王はその四大種族を統率することで魔族全体を支配していた。
魔王が存在しない時代にはこの四大種族は互いに争い合い、組織的に動くことはなかった。
そのため人族も散発的に発生する襲撃に対応出来ていたのだ。
しかし魔王が現れると、人族の旗色は一気に悪くなる。
全ての魔族が協力して攻めて来れば人族に対処する方法はないに等しい。
そこで人族が考え出したのが暗殺だ。
少人数で魔族領内に斬り込み、魔王を討つ。
プライドの高い魔族は少人数相手なら少数で対応するので、魔族特効を持つ聖なる力を持つ勇者なら切り崩せるのである。
そうやって魔族と人族、魔王と勇者の戦いが始まり、今現在で魔王は十代目が討ち取られ、勇者は四十八代目が魔王討伐に成功した。
「このように、勇者は人族の切り札であり、その勇者に聖なる力を授けることが出来る光の神殿は人族の救い主であると言えるでしょう」
ジークとクイネはほかの子どもたちと共に戦史の授業を受けていた。
授業と言ってもこれは高位の武官のためのカリキュラムであり、庶民の子どもは九歳までで基礎の勉強を終えてそれぞれ将来に備えた見習いとして働いている。
ジークは高位武官になる訳ではないのだが、クイネの世話役として一緒に授業を受けていた。
そうなると当然面白く思わない者も出る。
剣術訓練のときにはその不満がジークへのいじめに近いシゴキとして表れた。
呆れたことに、子どもだけでなく、大人の教官までそれに加担していたのだ。
「貴人を守護する者は多人数に対処する術を学ばなければならない」
といういかにもな理由をつけてはいたが、ジーク一人を五人に袋叩きにさせる訓練を行ったのである。
貴人警護など口実なのは明らかだった。
ジークに対する五人というのもジークより年上の十八前後の少年たちだ。
彼らは既に騎士見習いとして教えを受けていて、まだ本格的な訓練が始まってないジークからすれば全員が格上の存在だった。
簡単に言うと魔族の大半は人族を食物と考えているのである。
人族からしてみれば負ければ餌にされるのだから必死になるのは当然だ。
魔族側からしてみれば、食べ物がそこにあるから狩るという認識になる。
とは言え、それが全てでもない。
魔族のなかにも人族を食物としていないものも存在する。
それどころか、実は多彩な種族を内包する魔族には人族を食料としない種族のほうが多い。
ならばなぜ魔族全体と人族全体の戦いになってしまっているのかと言えば、人族を餌とする種族が強いからだ。
魔族は強き者に従う。
強き者が人族が欲しいと言えば、弱い種族はそれに従うしかないのである。
魔族のなかに四大種族とされているものがあり、それぞれに英雄がいる。
一つは吸血鬼。
永遠の闇を生きるモノたち。
一つは人狼。
強き肉体を持つ不死の存在。
一つは蜘蛛人間。
あらゆる場所に網を張る、女王に率いられた最多種族。
一つは竜人。
魔法に長け、あらゆる攻撃を無効化する鱗を持つモノたち。
この四大種族こそが実質的な魔族の中心であり、魔王はその四大種族を統率することで魔族全体を支配していた。
魔王が存在しない時代にはこの四大種族は互いに争い合い、組織的に動くことはなかった。
そのため人族も散発的に発生する襲撃に対応出来ていたのだ。
しかし魔王が現れると、人族の旗色は一気に悪くなる。
全ての魔族が協力して攻めて来れば人族に対処する方法はないに等しい。
そこで人族が考え出したのが暗殺だ。
少人数で魔族領内に斬り込み、魔王を討つ。
プライドの高い魔族は少人数相手なら少数で対応するので、魔族特効を持つ聖なる力を持つ勇者なら切り崩せるのである。
そうやって魔族と人族、魔王と勇者の戦いが始まり、今現在で魔王は十代目が討ち取られ、勇者は四十八代目が魔王討伐に成功した。
「このように、勇者は人族の切り札であり、その勇者に聖なる力を授けることが出来る光の神殿は人族の救い主であると言えるでしょう」
ジークとクイネはほかの子どもたちと共に戦史の授業を受けていた。
授業と言ってもこれは高位の武官のためのカリキュラムであり、庶民の子どもは九歳までで基礎の勉強を終えてそれぞれ将来に備えた見習いとして働いている。
ジークは高位武官になる訳ではないのだが、クイネの世話役として一緒に授業を受けていた。
そうなると当然面白く思わない者も出る。
剣術訓練のときにはその不満がジークへのいじめに近いシゴキとして表れた。
呆れたことに、子どもだけでなく、大人の教官までそれに加担していたのだ。
「貴人を守護する者は多人数に対処する術を学ばなければならない」
といういかにもな理由をつけてはいたが、ジーク一人を五人に袋叩きにさせる訓練を行ったのである。
貴人警護など口実なのは明らかだった。
ジークに対する五人というのもジークより年上の十八前後の少年たちだ。
彼らは既に騎士見習いとして教えを受けていて、まだ本格的な訓練が始まってないジークからすれば全員が格上の存在だった。
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