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運命の学園生活
レポート
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コホンと、ミュスカがかわいく咳払いをした。
「それでは、僭越ながらわたくしが代表して建国神話をかいつまんで説明させていただきますね」
ミュスカの瞳は、キラキラと輝いている。
楽しくて仕方がないといった風情だ。
「我がオーバープレイン王国の始まりは、一匹の邪竜にあるとされています。豊かな平野を邪竜が狩場として独占していて、人間は貧弱な土地でほそぼそと暮らしていたそうです。その状況に憤った、とある若者が、仲間を集って邪竜退治に乗り出しました。その戦いは苛烈を極め、なんと一年も続いたのです」
「一年!」
イツキが驚きの声を上げる。
「ええ。一年後、彼らはやっとの思いで邪竜を倒し、豊かな土地を手に入れました。それがここ、オーバープレイン王国です。かなり簡単に説明しましたけど、この概要がわかっていれば大丈夫でしょう」
ふむふむとイツキはうなずいた。
「ってことは、その古の十二家は、邪竜を倒した人間ってことか。……えっ! たった十二人で邪竜を倒したってこと?」
イツキは改めてその事実に驚いた。
そのイツキの理解を、ミュスカがすかさず訂正する。
「いえ、戦いの最初には百人以上の戦士がいたそうです。一年後邪竜を倒した時に残っていたのが十二人なのです」
「うわあ。えぐい話だな。なんか妙な真実味があるし」
「否定されていない歴史は真実です」
ミュスカが先生のような表情で断言してみせた。
イツキは、恐れ入ったという気持ちを態度で示し、一礼する。
「で、その邪竜の秘宝を生き残った全員で分けたんだ」
「そういうことですね」
「しかし、不思議に思うんだが……」
ピアニーがミュスカとイツキの会話を聞いて疑問を口にした。
「皆が同じぐらい力を尽くして邪竜を退治したなら、十二人で土地を分割してそれぞれが治めようということにならなかったのだろうか? 僕はそれがずっと引っかかっていたんだ」
ピアニーの疑問は、王族ならではのものだろう。
王族以外の人間が口にしたなら、即、不敬罪で罰を受けそうだ。
「王様になった一人が、邪竜退治の中心人物だったのでしょう? 最初に邪竜退治を発案した若者が、今の王家の祖先ということでは?」
ローズが自分の推測を口にする。
確かにありそうな話だ。
「そうですね。そんなに長い戦いなら、優秀な指揮官がいないと戦い続けることは無理だと思う。交代で食事をとったり、眠ったりしながら、戦い続けたってことでしょう? 普通は体も精神も一年も持たないよ。よほど信頼出来る指揮官がいたとしか考えられない」
そう言ったのはアイネだ。
武門の家柄らしく、長い戦いについて思いを巡らせていたらしい。
「わたくしは、おそらく最初の頃は、この土地に住む人の数が、そう多くなかったのではないかと思うのです。土地の開拓には人手が必要ですし、人数をいたずらにバラけさせてしまっても、いいことは何もありません。一人の王の元、全員で頑張ったほうが実りがある。そう考えたのでしょう。歴史において人の数は力ですわ」
「なるほど。優秀な指揮官と人の数か、そう考えると納得出来るね」
ピアニーが感心したようにうなずいた。
しかしイツキは、まずい、と思う。
このままでは、普通に建国神話と十二家の話をして終わってしまいそうだ。
何かいい案は……と考えて、イツキは、自分たちの前に広げられたノートを見た。
ピコン! と、アイディアが浮かぶ音がしたような気がして、イツキはそのアイディアを口にする。
「それじゃあさ、その古の十二家とそれぞれの秘宝を、共同研究テーマにして、レポートを書かないか?」
この学園では、それぞれの成績は出席と試験とレポートによって決まる。
レポートの出来がいいと、試験が少々悪かったり、出席率が低かったりしても、成績評価は高くなる傾向があった。
レポートは、独創性と地道な下調べが評価される。
十二の秘宝についてのテーマは、十二の称号の内三つまでもが集まっているこのグループならではのテーマであると言えるし、王族までいるのだから、各家に残る資料も調べやすい。
この提案に最初に賛成したのは、当然というべきか、ミュスカであった。
「それはいい案ですわ。秘宝については今となっては失伝が多くて、王家の宝石になぞらえた創作であるとする学者もいるほどなのです。私達の手で、その真偽をはっきりすることが出来るなら、とても素晴らしい成果と言えるでしょう」
イツキは、想定通りの流れにほくそ笑んだ。
ミュスカが絶対に食いつくはずだと、想定していたのである。
「面白そうだしそれでいいんじゃないか? 宝探しには付き合うよ」
アイネも軽く賛成した。
と言うか、この意見は、もしかすると資料探しには付き合わない、ということなのだろうか?
「そう、だね。それじゃあ僕は、城にある書庫を探してみることにしよう」
ピアニーもうなずく。
「それでは我が家も古い資料を探してみないといけませんね。今度のお休みには、久しぶりに屋敷に戻りましょう」
「はい、お嬢様!」
「イツキ、また」
「あ、ローズ様」
イツキのいつもの言い間違いに全員がくすくすと笑い、和やかに休憩時間は終わった。
そしてイツキの思惑通り、乙女ゲームにおけるメインストーリーの軸とも言える、秘宝探しが始まったのだ。
「それでは、僭越ながらわたくしが代表して建国神話をかいつまんで説明させていただきますね」
ミュスカの瞳は、キラキラと輝いている。
楽しくて仕方がないといった風情だ。
「我がオーバープレイン王国の始まりは、一匹の邪竜にあるとされています。豊かな平野を邪竜が狩場として独占していて、人間は貧弱な土地でほそぼそと暮らしていたそうです。その状況に憤った、とある若者が、仲間を集って邪竜退治に乗り出しました。その戦いは苛烈を極め、なんと一年も続いたのです」
「一年!」
イツキが驚きの声を上げる。
「ええ。一年後、彼らはやっとの思いで邪竜を倒し、豊かな土地を手に入れました。それがここ、オーバープレイン王国です。かなり簡単に説明しましたけど、この概要がわかっていれば大丈夫でしょう」
ふむふむとイツキはうなずいた。
「ってことは、その古の十二家は、邪竜を倒した人間ってことか。……えっ! たった十二人で邪竜を倒したってこと?」
イツキは改めてその事実に驚いた。
そのイツキの理解を、ミュスカがすかさず訂正する。
「いえ、戦いの最初には百人以上の戦士がいたそうです。一年後邪竜を倒した時に残っていたのが十二人なのです」
「うわあ。えぐい話だな。なんか妙な真実味があるし」
「否定されていない歴史は真実です」
ミュスカが先生のような表情で断言してみせた。
イツキは、恐れ入ったという気持ちを態度で示し、一礼する。
「で、その邪竜の秘宝を生き残った全員で分けたんだ」
「そういうことですね」
「しかし、不思議に思うんだが……」
ピアニーがミュスカとイツキの会話を聞いて疑問を口にした。
「皆が同じぐらい力を尽くして邪竜を退治したなら、十二人で土地を分割してそれぞれが治めようということにならなかったのだろうか? 僕はそれがずっと引っかかっていたんだ」
ピアニーの疑問は、王族ならではのものだろう。
王族以外の人間が口にしたなら、即、不敬罪で罰を受けそうだ。
「王様になった一人が、邪竜退治の中心人物だったのでしょう? 最初に邪竜退治を発案した若者が、今の王家の祖先ということでは?」
ローズが自分の推測を口にする。
確かにありそうな話だ。
「そうですね。そんなに長い戦いなら、優秀な指揮官がいないと戦い続けることは無理だと思う。交代で食事をとったり、眠ったりしながら、戦い続けたってことでしょう? 普通は体も精神も一年も持たないよ。よほど信頼出来る指揮官がいたとしか考えられない」
そう言ったのはアイネだ。
武門の家柄らしく、長い戦いについて思いを巡らせていたらしい。
「わたくしは、おそらく最初の頃は、この土地に住む人の数が、そう多くなかったのではないかと思うのです。土地の開拓には人手が必要ですし、人数をいたずらにバラけさせてしまっても、いいことは何もありません。一人の王の元、全員で頑張ったほうが実りがある。そう考えたのでしょう。歴史において人の数は力ですわ」
「なるほど。優秀な指揮官と人の数か、そう考えると納得出来るね」
ピアニーが感心したようにうなずいた。
しかしイツキは、まずい、と思う。
このままでは、普通に建国神話と十二家の話をして終わってしまいそうだ。
何かいい案は……と考えて、イツキは、自分たちの前に広げられたノートを見た。
ピコン! と、アイディアが浮かぶ音がしたような気がして、イツキはそのアイディアを口にする。
「それじゃあさ、その古の十二家とそれぞれの秘宝を、共同研究テーマにして、レポートを書かないか?」
この学園では、それぞれの成績は出席と試験とレポートによって決まる。
レポートの出来がいいと、試験が少々悪かったり、出席率が低かったりしても、成績評価は高くなる傾向があった。
レポートは、独創性と地道な下調べが評価される。
十二の秘宝についてのテーマは、十二の称号の内三つまでもが集まっているこのグループならではのテーマであると言えるし、王族までいるのだから、各家に残る資料も調べやすい。
この提案に最初に賛成したのは、当然というべきか、ミュスカであった。
「それはいい案ですわ。秘宝については今となっては失伝が多くて、王家の宝石になぞらえた創作であるとする学者もいるほどなのです。私達の手で、その真偽をはっきりすることが出来るなら、とても素晴らしい成果と言えるでしょう」
イツキは、想定通りの流れにほくそ笑んだ。
ミュスカが絶対に食いつくはずだと、想定していたのである。
「面白そうだしそれでいいんじゃないか? 宝探しには付き合うよ」
アイネも軽く賛成した。
と言うか、この意見は、もしかすると資料探しには付き合わない、ということなのだろうか?
「そう、だね。それじゃあ僕は、城にある書庫を探してみることにしよう」
ピアニーもうなずく。
「それでは我が家も古い資料を探してみないといけませんね。今度のお休みには、久しぶりに屋敷に戻りましょう」
「はい、お嬢様!」
「イツキ、また」
「あ、ローズ様」
イツキのいつもの言い間違いに全員がくすくすと笑い、和やかに休憩時間は終わった。
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