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囚われの王女
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かつて勇者であった者は、周囲に散らばる肉のかたまりを見回し、その一つ一つの名前を呼んだ。
「グエジ、騎士の誇り持つ者よ。最期まで盾を離さず、よく皆を守ったな」
すり潰された肉塊をひと撫でする。
「アリッサ、自らの命を削って魔法を放ったのに、反射されてしまって無念であっただろう」
人の形をした炭のようなものに口づける。
「キエフ、貴様ずっと本来なら俺が勇者だったのにお前が王族だから仕方なく譲ったのだと言っていたな。私はずっと嫌われていたと思っていたが、最後の最期で私を庇って死ぬとは、……確かにそなたは勇者であったよ」
斬り刻まれた肉塊の右手であった部分に触れて強く握る。
「……テレサ」
切り離され、奇跡のように無傷で残る女性の首を拾い上げた。
その首の表情には苦痛の影はない。
どこかあ然としたような、少し驚いたような顔をしていた。
「幼馴染だからと、このような過酷な旅にまで付き合ってくれたのに、すまなかったな。これで詫びになるとも思えぬが……」
勇者であった青年は自分を好きだと言った幼馴染の唇に自らの唇を合わせ、ゆっくりと舌を差し込む。
ぬくもりの消えた唇も舌も凍てつく冬のように冷え冷えとしていた。
「血の味がする。……死とはなんと、冷たく硬いものか」
美しき全裸のサキュバスを従えた魔王は、自らもまた全裸のまま幼馴染の首を魔王が座していた椅子に据える。
「見よ。正しき者はここに死に絶えた」
魔王は首の両目を優しく閉じさせた。
「王女はどこに?」
「地下牢でございます、我が主よ」
「案内せよ」
「はい」
ヒタヒタと裸の足が石造りの城の床を踏む音が響く。
寸鉄も帯びぬ生まれたての魔王であっても、城のなかの魔のものたちはその威光を怖れて影をも踏まぬ場所へと引いていく。
地下にはこの戦いの最初の狼煙となった王女が鎖にて繋がれていた。
王国の華と呼ばれた彼の妹は、美しきドレスのほとんどを引き裂かれ、隠すべき場所は全て明らかにされている状態で、獣とも人ともつかぬ者どもに蹂躙されていた。
ぎしりぎしりときしむ鎖の音と、ぴたぴたと湿った肉を叩く音だけがそこに響いている。
王女の顔はもはや怒りも嘆きも通り過ぎた虚無を浮かべていた。
もはや人としての心を亡くし、自分を犯す者どもの動きにただ揺らされるだけの肉袋のようだった。
新しき魔王の訪れに、王女を貪っていた穢れた者どもが一斉に悲鳴を上げながら逃げ散る。
穢れた者どもも人と似たような精を放つのか、そこに充満した臭いは生臭く雄を主張していた。
「王女よ」
その王女は、魔王とは片親だけが同じ間柄だった。
いわゆる腹違いの兄妹ということになる。
懐かしい声に、ぴくりと王女が反応した。
彼方へと去っていた正気が呼び戻されるのを嫌がるように王女は首を左右に小さく振り、乾いた両目から涙をこぼす。
「ああ……お兄様、お慈悲を……わたくし……」
まだうら若き王女の乾いた唇から発せられた声は、まるで老女のようにひび割れていた。
その身に起きていたことは誰にでもひと目でわかる。
小ぶりの乳房は真っ赤に充血し、片方の乳首は千切れてなくなっていた。
白く穢れを知らなかった体には縦横無尽の爪痕が残る。
太ももは赤黒く変色して、片方は脱臼し、片方は折れ曲がっていた。
魔の者には、捕虜を丁寧に扱うという配慮はなかったようだ。
「グエジ、騎士の誇り持つ者よ。最期まで盾を離さず、よく皆を守ったな」
すり潰された肉塊をひと撫でする。
「アリッサ、自らの命を削って魔法を放ったのに、反射されてしまって無念であっただろう」
人の形をした炭のようなものに口づける。
「キエフ、貴様ずっと本来なら俺が勇者だったのにお前が王族だから仕方なく譲ったのだと言っていたな。私はずっと嫌われていたと思っていたが、最後の最期で私を庇って死ぬとは、……確かにそなたは勇者であったよ」
斬り刻まれた肉塊の右手であった部分に触れて強く握る。
「……テレサ」
切り離され、奇跡のように無傷で残る女性の首を拾い上げた。
その首の表情には苦痛の影はない。
どこかあ然としたような、少し驚いたような顔をしていた。
「幼馴染だからと、このような過酷な旅にまで付き合ってくれたのに、すまなかったな。これで詫びになるとも思えぬが……」
勇者であった青年は自分を好きだと言った幼馴染の唇に自らの唇を合わせ、ゆっくりと舌を差し込む。
ぬくもりの消えた唇も舌も凍てつく冬のように冷え冷えとしていた。
「血の味がする。……死とはなんと、冷たく硬いものか」
美しき全裸のサキュバスを従えた魔王は、自らもまた全裸のまま幼馴染の首を魔王が座していた椅子に据える。
「見よ。正しき者はここに死に絶えた」
魔王は首の両目を優しく閉じさせた。
「王女はどこに?」
「地下牢でございます、我が主よ」
「案内せよ」
「はい」
ヒタヒタと裸の足が石造りの城の床を踏む音が響く。
寸鉄も帯びぬ生まれたての魔王であっても、城のなかの魔のものたちはその威光を怖れて影をも踏まぬ場所へと引いていく。
地下にはこの戦いの最初の狼煙となった王女が鎖にて繋がれていた。
王国の華と呼ばれた彼の妹は、美しきドレスのほとんどを引き裂かれ、隠すべき場所は全て明らかにされている状態で、獣とも人ともつかぬ者どもに蹂躙されていた。
ぎしりぎしりときしむ鎖の音と、ぴたぴたと湿った肉を叩く音だけがそこに響いている。
王女の顔はもはや怒りも嘆きも通り過ぎた虚無を浮かべていた。
もはや人としての心を亡くし、自分を犯す者どもの動きにただ揺らされるだけの肉袋のようだった。
新しき魔王の訪れに、王女を貪っていた穢れた者どもが一斉に悲鳴を上げながら逃げ散る。
穢れた者どもも人と似たような精を放つのか、そこに充満した臭いは生臭く雄を主張していた。
「王女よ」
その王女は、魔王とは片親だけが同じ間柄だった。
いわゆる腹違いの兄妹ということになる。
懐かしい声に、ぴくりと王女が反応した。
彼方へと去っていた正気が呼び戻されるのを嫌がるように王女は首を左右に小さく振り、乾いた両目から涙をこぼす。
「ああ……お兄様、お慈悲を……わたくし……」
まだうら若き王女の乾いた唇から発せられた声は、まるで老女のようにひび割れていた。
その身に起きていたことは誰にでもひと目でわかる。
小ぶりの乳房は真っ赤に充血し、片方の乳首は千切れてなくなっていた。
白く穢れを知らなかった体には縦横無尽の爪痕が残る。
太ももは赤黒く変色して、片方は脱臼し、片方は折れ曲がっていた。
魔の者には、捕虜を丁寧に扱うという配慮はなかったようだ。
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