9 / 22
タイトルマッチ PART3 軋む筋肉
しおりを挟む「さあ……! 三崎、ついに動いたッ!!」
リングアナウンサーの絶叫が響いた刹那、三崎は駆けた。
しなやかでありながら密度のある脚筋がマットを鳴らし、躍動する。一直線に鷹城の腹部へと向かって、肩を突き出す。
「スピアーだァァァ!! 鋭い、低い、重い――完璧な突進だッ!!」
ズドォン!!
音がマットにめり込んだ。
受けた鷹城の身体が宙に浮いたようにのけ反り、分厚い胸板が撓む。
だが咄嗟に腹筋に力を込めて受け身を取り、どうにか倒れ込まずに踏みとどまった。
「……なんてバランス感覚だ、まだ倒れないッ……!」
その身体――試合を重ねた歴戦の王者の肉体が、限界に抗って震えている。
大腿は柱のように踏みしめているが、汗に濡れた広背筋が一瞬、痙攣する。
「だが、鷹城、もう持たない……!」
三崎は迷いなく背後に回り込む。左手で鷹城の左足首を、右手で右足首をがっちりと掴む。
「きたぞ……あの体勢ッ……!!」
会場の観客が一斉に立ち上がった。
「サソリ固めだァァァ――!!! 三崎が王者をマットに這わせたァァッ!!」
グイッッ!!
三崎の広背筋が波打つ。太い上腕が鷹城の脚を引き上げ、ゆっくりと逆Uの字に折り曲げていく。
鷹城の胸がマットに押しつけられ、鋼のような腹筋が苦しげに引き伸ばされる。
「ぐっ……ぅ……!」
鷹城の喉から、初めて呻きが漏れた。
その声に、会場がざわめく。
「見ろ! 王者の背筋が張り裂けそうだ……! それを、三崎の大腿筋が圧倒的な力で――っ! これは……これは芸術だッ!!」
三崎の尻がぐっと低くなり、背中の盛り上がりがさらに鋭さを増す。
広背筋が翼のように広がり、その下から背骨の一本一本が浮かび上がる。
まさに、彫刻の如き筋肉の連鎖。
鷹城の表情は見えない。だが、その肩が震えている。歯を食いしばり、腕でマットを叩こうとする動きが見える――が、それすら三崎の体重で封じられている。
「く……ぁああああッ……!」
鷹城のうめき声に、観客席からも悲鳴と歓声が入り混じった。
「ギブアップか!? いや、まだだ! まだ、鷹城は耐えているッ!!」
三崎はその声を聞きながら、わずかに目を細めた。呼吸一つ乱さず、計ったように――じわりと力を抜き、そして再び締め上げる。
「これは、拷問に近いぞ……! 三崎、まるで、鷹城の限界を測って楽しんでいるような――」
三崎の顔に浮かぶのは、余裕を超えた冷静。
まるで、“壊す瞬間”を吟味しているかのような、狩人の眼だった。
――そして次の瞬間、鷹城の指がピクリと動いた。
「こ……これは……まだ、終わらないのか……!?」
だが、三崎は分かっていた。
まだ、決めない。
まだ、壊さない。
この技は、“終わりへの助走”に過ぎない。
彼の表情に浮かぶ微笑は、歓声の海の中で、あまりにも静かだった。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
