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第12章 激闘編
狙い通り
<ヴァーンベック視点>
「ァァ?」
再度左右に回避した俺たちに対し、若干戸惑いの仕草を見せる二足のバケモノ。
「ァァァ」
躱された剣を地に沈めたまま、またまた動きを止めている。
こっちの狙いである下半身もまったくの無防備状態。
なら当然、この隙を見逃す手はないよな。
「サージ!」
「分かってらぁ!」
左右から同時にバケモノの脚に剣を放ってやる。
ザン!
ザンッ!
よし、いい感触だ。
胸を撃ったさっきとは音も違う。
「アアァァァ」
手応え通り、悲鳴のような叫び声が漏れ出てきた。
「こりゃ、効いてんな」
「ああ」
間違いなく効いている。
やはり鱗のない部分が弱点なんだ。
「おーし、このまま倒しちまうぞ」
自信あふれるサージの言葉に頷きを返した、その時。
「ァァァガガ!」
バケモノの剣が地面から引き抜かれた。
薙ぎ払いだ!
「ガアァ!」
うなりを上げるバケモノの剣身。
大振りの強烈な一撃が水平に迫ってくる。
「ちっ!」
反応遅れの今の体勢で剣を受けきるのは不可能だ。が、こっから逃げるのも好手とはいえない。
だったら、このまま押し込むのみ。
サージも同じ結論に達したのか、間合いに留まってる。
「ガアァァ!」
「たあぁ!!」
迫る剣身、放つ剣撃。
勝負!
ザンッ!
届いた。
こっちの勝ちだ!
ゴオォォォ!
直後、水平斬りが飛んで来る。
ただし、脚に剣を受けバランスを崩した斬撃からは鋭さが消えた状態。軌道もずれている。狙い通りのこの一撃なら。
ブンッッ!
俺の頭上を剣が通過。
よし、避けきったぞ。
そこに一拍遅れでサージの剣が。
ザシュッ!
完璧だ!
「グガァァァ」
剛力を水平斬りに注ぎ込んでいたバケモノは、こっちの連撃に耐えきれなかったのだろう。苦痛にもがきながら片膝をついている。
「アアァァァ」
なのに、戦意には衰えが見えない。
それどころか、片膝立ち状態で気を昂らせ次撃の態勢に入っている。
とはいえ、これは無茶というもの。
恐れるような剣撃にはなり得ない。
なら、追撃するべきか?
「ヴァーン、撃つわよ!」
そうだな、ここは。
「いったん離れるぞ」
「了解」
俺とサージは軽く左右に跳んで間合いから離脱。
こうして距離を取ったところに。
「アイスアロー!」
ブリギッテの魔法だ。
ズスッ!
剣撃同様、効果あり。
脚に突き刺さった。
「アァァ……」
「苦しんでるわね」
「ああ」
予想通り、鱗に護られていない皮膚の防御力は並のようだ。
「ァァァ……」
「でも、ちょっと痛がりすぎじゃない?」
「そうか? こんなもんだろ? って?」
「ァァ……ガガッ!」
苦悶の声が変わった?
「ガガッ、アアァガァ!!」
目も真っ赤に染まっている。
この気はさっきまでの戦意じゃない。
殺気だ。
「おい、おい、本物のバケモンじゃねえか」
これは激昂状態、あるいは狂乱状態?
いずれにせよ、普通じゃないな。
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