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第12章 激闘編
記憶
<ヴァーンベック視点>
「そう……なら現時点でできるのは、鱗が増えすぎないように注意することくらいね」
「けどよぉ、原因不明のもんをどうやって注意すんだ?」
「「「……」」」
サージの疑問に返す言葉が出てこない。
皆が口を閉ざしてしまう。
「いや、まあ、あれだ。こいつが静かにしてるしかねえよな」
「……そうね」
「「「……」」」
「と、ところでおめえ、その眼は平気なのか? ああ、太腿もだ?」
「ん? 右眼はちっと見づれえか?」
「見づらいだけ?」
「おう。んで、太腿も何ともねえなぁ」
「何ともないの? ほんとに?」
「ああ、問題ねえぞ。それに、頭痛も治まってきたな」
その言葉を裏付けるように、さっきまで荒かった息が穏やかなものになっている。
「まじかよ」
「はあ~。痛みって言葉の意味が分からなくなるわ」
「んあ? どういうこった?」
「傷だよ、傷」
「??」
「ギリオン、本当に覚えてないのか? そっちも? まったく?」
「んん……そこいらは全部消えてるみてえだなぁ」
戦闘も負傷も覚えてない。
痛みも……。
「今さらだけどよ、やっぱ、おめえ人じゃねえわ」
「なわけねえだろ、つうか、ちゃんと説明しろ!」
「「「……」」」
「おい!」
「……さっきも言ったように、ギリオンは私たちに襲い掛かってきたの。私たちと戦ってたの。で、その脚と眼に氷槍が突き刺さってたのよ。ああ、もちろん、先に手を出したのはあんただし、こっちは正当防衛だからね。って、そもそもギリオンだと認識できてなかったし」
「眼に氷槍……って、はあ? ブリギッテの氷槍がオレの眼に刺さってたのか?」
「そうよ」
「嘘だろ?」
「こんなことで嘘なんてつかないわ」
「……」
「全部事実だぞ」
「……じゃあ、なんで? 何で痛くねえ? 何で目が見えんだ?」
「それ、こっちが教えてほしいんだけど」
その通り。
本人が理解できないことを、俺たちが分かるわけがない。
「ところで、今は変な衝動はないのよね? さっきみたいにまた襲い掛かって来るとか?」
「衝動なんてねえよ。鱗も薄れてきたし、頭痛も治まって意識もはっきりしてるしな」
「つまり、さっきは衝動があったってこと?」
「……」
「どうなのよ?」
「だから、おめえらとどうこうの記憶はねえって。ただ、その前は……」
その前は?
「……ちっと衝動があったような」
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