30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

戦闘中

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「まただ、また気配が膨らんだぞ!」

 おそらく、これが鱗化したギリオン。
 勢いを増し、禍々しい変化を続けているギリオンの気配だ。

「……」

 これだけの気配をまき散らす存在に変化した後でも、ギリオンだけなら何とかなる。少なくとも、取り押さえ無力化することはできる。そんな自信があったのに……。

「4人か」

 既に人と接触しているとなると、話が違ってしまう。

「……」

 禍々しい気配の傍らに感じる4人のそれ。
 感知の感触から戦闘中だと思われるが、詳しいことまでは掴めない。
 ギリオンの気配が異常すぎて周囲の感知が歪まされるからだ。

 とはいえ。

「アルたちではないはず」

 詳細感知は無理でも、人数だけなら今も確実に認識できる。
 戦闘中なのは4人、対して追跡組はそんな少数じゃない。
 その上、ギリオンから離れた場所に複数の気配が存在しているのだから、そっちがアルたちと考えるのが妥当だ。

 しかし、そうすると。
 戦っているのは、いったい……?

 戦闘は始まったばかりじゃない。既にそれなりの時間が経過している。
 鱗化したギリオンとこうして戦い続けることができるなんて、並の腕ではないだろう。

「一流の冒険者たちなのか?」

 いずれにせよ、今は急ぐしかない。
 一刻も早くギリオンのもとに駆け付けねば。
 ただ。

「どれだけ急いでも四半刻はかかるよな」

 エリシティア王女の休憩地にエビルズマリスの分体が現れなかったら、戦闘前に到着できたかもしれないのに、あの討伐に時間を使ってしまったから……。

「頼む、無事でいてくれよ」

 焦る気持ちを抑えつつ全力で足を動かし、それでいて頭は冷静に。

「可能なら、ギリオンと4人の全員を助けたいが……」

 到着後のシミュレーション、状況を想定する。
 方策を練り続ける。考えたくないことも、考えざるを得ない。

 最悪の場合……。

 もしそうなったら……。




*************************

<ヴァーンベック視点>



「どりゃ!」

 ザンッ!

「ギャアァ!」

「だあぁ!」

 ザシュッ!

「グギャアァァ!」

 凄い。
 ものが違う。
 剣質が俺たちと違いすぎる。

「……」

 たった1人で分体を圧倒するギリオンを前に、言葉も出てこない。

 ザッ!
 ガリッ!
 ズシャッ!

「グギャアァァ!」

 白都のあの邸宅で見せた動きや剣使いも見事なものだったが、今はそれ以上。
 オルドウにいた頃とは別人、完全に別次元になってる。

「や、やるわね」

 称賛を口にするブリギッテの声は上ずり状態。

「ったりめよ」

 それに答えるギリオンは確信の一言。
 振り返る余裕すら見せてくれる。

「はは……」

 残るサージは引きつった顔に苦笑を貼りつけたまま。
 多分、俺も同じような表情を浮かべてるんだろう。
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