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第12章 激闘編
もしもの際は……
しおりを挟むこの世界の偉大なる神格トトメリウス様。
人への不干渉を是とするトトメリウス様を頼るのは避けるべき。
そもそも人が助けを求めていい相手じゃない。
それはよく分かっている。
だから、これまでは何度も自重してきた。
けれど、もしどうすることもできないなら。
トトメリウス様を頼ることで、ギリオンを救えるなら……。
恥を忍んで魔落を訪れるしかない、か。
「……」
もちろん、それでギリオンを救えると断定はできない。
セレス様の時のように上手くいくとは限らない。
それでも、もしもの際は、もう……。
「はは」
頼ると決めた途端気が楽になってきた。
ほんと、情けない。
成長してないよな。
そんな思いとは裏腹に、今の心の中は安堵ばかり。
負の感情なんてほとんど湧いてこない。
ギリオンの命を救う、この思いが強すぎるから?
まあ、そういうことなんだろう。
「さて」
こうなると、最低限俺がすべきことは鱗化の悪化防止。
対症療法でも何でも、症状の緩和に努めればいい。
まずは、治癒魔法から始めて……。
などと考えながら、走り続ける。
ザッ、ザッ、シュッ。
「……うん?」
何だ?
この気配は?
「……」
まだ距離はあるが、左前方、進行方向からはずれた地点に強力な魔物の気配。
それと……数人の気配。
魔物と戦っている?
「……」
駄目だ。
今はまっすぐ目的地を目指すべき。
無駄に遣える時間はない。
それでも気にはなってしまう。
走りつつも、感知を向けてしまう。
「……さま」
この声?
女性か?
「……スさまぁ」
よく聞こえない。
なら、耳を強化して。
「グガアァァ!」
「危険です、セレス様!」
なっ!?
セレス様!?
飛び込んできたその叫びに、一瞬で汗が噴き出してくる。
「ギャアァァ!」
「下がってください、セレス様!」
「……平気です」
間違いない。
セレス様だ!
セレス様の声だ!
どうしてこんな所に?
エンノアの地下にいるんじゃ?
それに、前回はいなかったはず?
いや、違うのか?
前回は遭遇しなかっただけ?
「グガアァァ!」
「危ない!」
考えている場合じゃない!
けど、時間は?
「ああぁ!」
っ!
大丈夫だ。
少しくらいなら問題ない。
セレス様を助けた後でも間に合う。
間に合わせてやる!
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