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第12章 激闘編
モヤモヤ
<ギリオン視点>
前回?
今回以外に何があるんだ?
何もあるわけねえ。
だってのに、このモヤモヤは?
「っ!」
いってえ!
頭も体も、どこもかしこも!
「ギリオンさん?」
何でだ?
どうして痛みだした?
シアの治療でよくなってたはずなのに?
「ギリオンさん、痛むんですね?」
「……ぐっ、うぅ」
全身がねじ切られるような痛み。
話もできねえ。
「悪化したのか、シア?」
「シアさん?」
「……治癒魔法を強めます」
「なっ? もう最大まで強めてんだろ?」
「それでも、やるしかないから」
「……」
「大丈夫。あと少しなら可能よ」
「……限界だと思ったら引き離すぞ」
「……」
「シア!」
「……うん。だから、今は任せて」
「分かった。ブリギッテ、サージ、おまえらは備えとけよ」
「「了解」」
治癒の光が変わっていく。
熱が増していく。
「うぅぅぅ……」
そのおかげだろう。
どうしようもねえ痛みは和らいでくれた。
ただし、モヤモヤは残ったまま。
晴れるどころか、陰りを増してる。
「くっ!」
いったい何だってんだ?
意味が分からねえ。
前回って何なんだよ?
「うっ!」
まずい。
考えるだけで、モヤモヤがでっかくなっちまう。
飲み込まれそうになっちまう。
ってもう、モヤモヤを越えてんな。
こんなもん、闇の塊じゃねえか。
「……」
真っ黒な闇も前回の意味も、鱗も暴走も、全部分かんねえことばかり。
それでも、この状況がとんでもなくまずいってことだけは理解できる。
今はもう痛みをほとんど感じねえのに、闇の圧迫感を前に体は言うこと聞かねえし、言葉も出てこねえ。
飲まれたら終わり。
そんな恐怖で身がすくんで……。
やべえな。
こいつはやばすぎる。
これまでの比じゃねえぞ。
「そろそろ……じゃない?」
「シア?」
「もう少し、あと少し」
「……」
「お願い、ヴァーン!」
「……様子を見るのはあと少しだ。それで良化しなかったら引き離す。分かったな?」
「……うん」
「安心しろ、ヴァーン。こっちはいつもで動けっぜ。ブリギッテも……」
「当然、魔法は準備万端よ」
「……もしもの場合は頼む」
「おうよ」
「任せて」
痛みは消えてんのに、まともに動けねえ。
無理して動いたら、その隙に一気に飲まれそうだ。
このまま耐え続けるしかねえのか?
すりゃ、おさまんのか?
「……」
そう簡単じゃねえよな。
なら、どうする?
この闇を消すには?
考えなきゃいい?
前回の意味なんて考えず……っ!
駄目だ。
そう思うだけで、モヤモヤ闇が襲ってくる。
「くっ、うぅぅ」
こりゃあ、思考自体消し去るしかねえな。
剣を振る時のように、すべてを、何もかもを無に。
無にして……。
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