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第12章 激闘編
空を翔ける
<ヴァーンベック視点>
サージと俺が剣を振るい、シアは後方待機。ブリギッテも魔法の準備をしつつの後方待機で、ここまで魔法による援護はほぼ無し。
そんな戦いなのに、想定をはるかに超えた余裕が持てている。
かなり有利に運べている。
それもこれも、ギリオンが手加減してくれているから。
ガンッ!
ガンッ!
ガリッ!
だから、今ここで可能な限りギリオンを削っておきたい。
片足だけでも不能にしておきたい。
そうは思うものの。
ガッ!
「硬すぎんだろ」
その通り。
蒼鱗が硬すぎる。
「剣身はやべえし、手のひらも痺れっぱなしだぞ。あのやろう、さっきより硬いんじゃねえか?」
的確な剣撃を複数与えても、鱗表面が傷つく程度。
対する剣や手のダメージはでかい。
まったく、とんでもない硬さだ。
「つっても、まあ、まだましなんだけどよ」
これもその通り。
現状は剛剣が振るわれることもなく謎の衝撃波もないので、硬さ以外は余裕を持って対処できている。
「ってことで、続けるしかねえわな」
「ああ、剣身がもつことを祈っておこう」
「はあ~。いっそ鉄棒で叩きてえくらいだぜ」
そんな愚痴を口にしながらも剣を振るい続ける。
ガンッ!
ガンッ!
ガッ!
依然としてギリオンは剣を使おうとしない。
鱗に覆われた顔からは表情が消え目にも知性の光など皆無なのに、最後の一線を越えずに留まっている。俺たちを傷つけまいと本能で抑えているんだ。
「しっかし、こいつもすげえよなぁ」
「……ああ」
対峙しているだけでもギリオンの強い思いが伝わってくる。
「ここまでされちゃ、こっちも引き下がれねえって」
「今さらだろ」
「まあな。はなから見捨てる気なんてねえけどよ」
サージも俺も考えは同じ。
何としてでもギリオンを助ける、鱗の症状から救い出す。
これしかない。
ただし、シアを危険にさらすことだけは避け……ん、シア?
シアが魔法発動体勢に入ってる?
何をするつもりだ?
「シア、ブリギッテ!」
「……奇跡の光をキュア、キュアイルネス!」
後方から光が溢れ出す。
あれはシアの魔法。
特別な治癒の光?
「ヴァーン、おい!」
光が空に放たれた!
「まさか遠距離の治癒? 可能なのかよ?」
「……」
分からない。
俺も始めて見たんだ。
けど、空を翔ける光は間違いなく治癒のそれ。
「シアさん、もう少し左」
「っ、はい」
ブリギッテの誘導で軌道が変わった。
優しい光がギリオンの頭上に降り注いでいく。
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