30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

空を翔ける


<ヴァーンベック視点>



 サージと俺が剣を振るい、シアは後方待機。ブリギッテも魔法の準備をしつつの後方待機で、ここまで魔法による援護はほぼ無し。
 そんな戦いなのに、想定をはるかに超えた余裕が持てている。
 かなり有利に運べている。
 それもこれも、ギリオンが手加減してくれているから。

 ガンッ!
 ガンッ!
 ガリッ!

 だから、今ここで可能な限りギリオンを削っておきたい。
 片足だけでも不能にしておきたい。

 そうは思うものの。

 ガッ!

「硬すぎんだろ」

 その通り。
 蒼鱗が硬すぎる。

「剣身はやべえし、手のひらも痺れっぱなしだぞ。あのやろう、さっきより硬いんじゃねえか?」

 的確な剣撃を複数与えても、鱗表面が傷つく程度。
 対する剣や手のダメージはでかい。
 まったく、とんでもない硬さだ。

「つっても、まあ、まだましなんだけどよ」

 これもその通り。
 現状は剛剣が振るわれることもなく謎の衝撃波もないので、硬さ以外は余裕を持って対処できている。

「ってことで、続けるしかねえわな」

「ああ、剣身がもつことを祈っておこう」

「はあ~。いっそ鉄棒で叩きてえくらいだぜ」

 そんな愚痴を口にしながらも剣を振るい続ける。



 ガンッ!
 ガンッ!
 ガッ!

 依然としてギリオンは剣を使おうとしない。
 鱗に覆われた顔からは表情が消え目にも知性の光など皆無なのに、最後の一線を越えずに留まっている。俺たちを傷つけまいと本能で抑えているんだ。

「しっかし、こいつもすげえよなぁ」

「……ああ」

 対峙しているだけでもギリオンの強い思いが伝わってくる。

「ここまでされちゃ、こっちも引き下がれねえって」

「今さらだろ」

「まあな。はなから見捨てる気なんてねえけどよ」

 サージも俺も考えは同じ。
 何としてでもギリオンを助ける、鱗の症状から救い出す。
 これしかない。

 ただし、シアを危険にさらすことだけは避け……ん、シア?
 シアが魔法発動体勢に入ってる?
 何をするつもりだ?

「シア、ブリギッテ!」
 
「……奇跡の光をキュア、キュアイルネス!」

 後方から光が溢れ出す。
 あれはシアの魔法。
 特別な治癒の光?

「ヴァーン、おい!」

 光が空に放たれた!

「まさか遠距離の治癒? 可能なのかよ?」

「……」

 分からない。
 俺も始めて見たんだ。
 けど、空を翔ける光は間違いなく治癒のそれ。

「シアさん、もう少し左」

「っ、はい」

 ブリギッテの誘導で軌道が変わった。
 優しい光がギリオンの頭上に降り注いでいく。

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