30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

親友 1


<ギリオン視点>



 今のオレには仲間がいる。
 サージやブリギッテのように、友と呼べるやつもそれなりにいる。
 けど、最初はおまえだけだった。
 オルドウでオレを受け入れてくれたのは。

「……」

 今もはっきり覚えてる。
 忘れられるわけねえ。

 剣士として成功するためオルドウにやって来たあの時。
 訪れる道場すべてで入門を断られ、ちょっとした稽古にも参加させてもらえなかった。それでも諦めきれなかったオレは、冒険者として1人で活動しながら剣を磨くしかなかった。

 けどよ、冒険者としてのイロハも知らねえ田舎もんのオレが単独で簡単に稼げるわけねえよな。

 当然、すぐに金は底を突いちまう。
 宿代どころか、その日の食費もままならねえのに、しっかり金になる依頼は達成できず。はぐれ者の初心者に美味しい依頼が回ってくるわけもなく。かといって、パーティーを組むこともできず……。

 そりゃ、そうだ。
 金もねえ冒険者だってのに、あん時は剣術を優先してばかりだったんだからよ。まともなパーティーがオレを受け入れるわけねえわ。つうか、そもそも冒険者からもギルド職員からも煙たがられてたしな。

 そんな路頭に迷う日々の中で出会ったのがヴァーンだった。

「剣術バカでいいんじゃねえの」

「剣の腕を上げ続けりゃ、そのうち誰も文句言えなくなるぜ」

「このまま突き抜けてやれ」

 おめえは気づいてねえだろうなぁ。
 この言葉にオレがどんだけ救われたか。
 どんだけ助かったか。

 そっからなんだぜ。
 心も体も剣も金もいっきに楽になったのは。
 オレのオルドウが始まったのはよ。

 ヴァーン……。
 おめえには本当に感謝してるんだ。
 まっ、そんなこと口に出したことはねえし、出す気もねえけど。


「しょうがねえ、おまえと組んでやらあ」

「そりゃあ、こっちのセリフだ」

 2人で組むようになってからの冒険者活動は順調そのものだった。
 ヴァーンの魔法とオレの剣の相性も良かったんだろうが、それ以上に動きと思考がお互いに噛み合ってたんだろうな。何つうか、あいつの考えが分かっちまうんだ。特にここぞって時は、完璧すぎて恐ろしいほどだったぜ。ありゃあ、お互いの実力を越えてたかもしんねえ。

 そんでも。

「おまえと2人なら、上を目指せそうだわ」

「上ってどこのことだ?」

「特級、いや、超級?」

 こいつは、ねえわ。
 超級冒険者なんてオルドウどころか王都にもいないってのに、組んで日も浅い低級パーティーが目指せるっつうのは、さすがに言い過ぎだろ。

 まっ、オレも内心では満更じゃなかったけどよ。

 と思えるくらい2人の冒険者活動は充実してたんだが、ヴァーンとは四六時中一緒にいるってわけでもなかった。オレには剣の時間が必要だったし、あいつにも色々とあったみたいだからな。お互い時間が合わねえ時はソロで依頼を受けたり、他のやつと組んだりもしたもんだ。


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