30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

やるしかない


 ガン!
 ガキッ!

 蒼い鱗に体を覆われ、変わり果てた姿を見せるギリオン。
 そんなギリオンの反応を見るため、ひとまずは剣を交えてやる。

 ガン!
 ギン!
 ガギン!

 時間にしてわずか数秒、手数も10合に満たない。
 それでも、色々と掴むことができた。

 まずは、剣撃の質。
 見た目以上に早くて重い剛剣だ。
 おそらくは鱗化したオルセーと同等、あるいは少し上くらいか。

 次に発する気配。
 やはり、兇神エビルズマリスに近いものがある。
 もちろんあいつには劣っているが、並の魔物の比じゃないな。兇神の分体をも凌駕していると考えた方がいいだろう。

 ただし、この剣質も気配も想定の範囲内。
 加えて、特別な何かや未知なる力もまったく感じない。
 これなら、俺が手こずることもないはず。

 ならば、よし。
 様子見は終わりだ。
 そろそろ眠ってもらおう。

 手段は掌底か手刀か、それとも雷撃か?
 頑丈なこいつに有効なのは……?

 ん?

「コーキ!」

 シアを残してヴァーンが近づいて来る。
 
「……無事か、ヴァーン?」

「こっちは問題ねえ。それより、おまえが相手してんのはギリオンだ。殺るんじゃねえぞ」

 分かってるさ。
 何といっても、こっちは一度経験してるんだから。
 とはいえ、遡行前を知らないヴァーンが心配するのも当然だな。

「……了解」

「鱗と筋力で強化されてっから大変だと思うがよ」

 そうだな。

「で、やれんのか?」

「戦う分には問題ない」

「そっちじゃねえ」

「……」

「倒すだけじゃねえ。そいつを元に戻さなきゃなんねえんだぞ?」

「……ああ」

「やれんのか、コーキ?」

「今の段階で断言はできないな。けど」

 このままの状態で放置なんてできないだろ。

「できようができまいが、やるしかない」

「……」

「まずは意識を奪って拘束する。その後で色々と治療するつもりだ」

「……それで駄目なら?」

「他の手段を考えてやる。大神殿を頼るなり、治癒専門の魔法使いを探すなり……。必ずどこかに道があるはずだからな」

「このギリオンを神殿まで連れて行けんのかよ?」

「応急処置をするか眠らせればいい」

「……分かった。頼んだぞ」

「ああ。ヴァーンはシアの傍にいてやれ。それと、あの2人の介抱もな」

「了解だ」

 頷いたヴァーンが坂上に駆けていく。
 さてと。

「ァァァ」

「ギリオン、放置して悪かったな」

「アァァ」

「安心しろ。楽に眠らせてやる」

「アアァァ!」


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