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第13章
近況 3
<和見幸奈視点>
ギリオンさんを手にかけた功己のことを恨んでる?
あのヴァーンさんが?
「分からない。はっきりとは」
「……」
「ヴァーンはあれは仕方のないことだったと言ってた。けど、理性と感情は違うだろ」
「……うん」
「仮に恨みがなかったとしても今は俺と顔を合わせたくない。そう思っているのかもしれないな」
「……」
セレスさんと入れ替わっていた時、ヴァーンさんには何度も助けてもらった。
話もたくさんした。ギリオンさんの話も他の話も。
だから、彼の思いはよく分かる。
もちろん、功己の気持ちも痛いほど理解できる。
でも、分かるだけ。
ただ理解できるだけ。
それ以外のことなんて、わたしには何も……。
「悪い、こんな話するつもりじゃなかったんだ」
「功己……」
「変な空気にして、ほんとすまない」
「そんな、謝らないで」
功己は何も悪くないのに。
「こっちこそ、ごめんなさい。辛い話させちゃって」
「いや……やめようか、この話」
「……うん」
**************************
「美味しかったぁ! ありがとうね、功己!」
「どういたしまして」
珈紅茶館から場所を変えてのイタリアンレストラン。
再訪したこの店で、今は食事を終えたところ。
「前菜からデザートまですべて最高だったよ。こんなのいただいて、いいのかなって感じ」
「満足してくれたのなら、ご馳走した甲斐があるってもんだ」
「本当に本当にありがと!」
「もう、いいって。俺も幸奈に手料理作ってもらってるんだからさ」
「値段がぜんぜん違うよ」
「そこは、幸奈の手間賃と愛情ってことで」
「えっ、愛情!?」
「幸奈の料理には愛情こもってるだろ」
「そ、そうだけど……功己、いつの間にそんなこと言えるようになったの?」
「そんなことって?」
「キザな言葉だよ」
「キザだったか? 思ってること口に出しただけなんだけどなぁ」
「また、そんなこと」
顔を赤らめた幸奈がそっぽ向いてしまった。
特に変なことを言ったつもりはないんだが……。
まあ、確かに、以前の20歳の俺が口にするようなセリフじゃないか。というか、そもそも前回の俺はこの時期の幸奈とはまともに会話すらしていなかったよな。
「うぅぅ」
と、珈紅茶館に続いてまたおかしな空気になってるぞ。
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