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第13章
謁見
「その方が、冒険者コーキか?」
「はっ」
「ギルドに声をかけて幾日になるか……やっと会うことができたな」
「遅参、申し訳ございません」
「謝罪は無用だ」
「……」
緑が溢れる領主館の中庭。
その中央に立つオルドウ伯爵の前で膝をつき首を垂れる俺。
「私の声が届いてないのでは、どうしようもないであろう」
「……恐縮です」
貴人との対面はこちらの世界で何度か経験しているが、こういった作法的なものにはまったく慣れる気がしない。いまだに手足と口が固まりそうになってしまう。
やはり、貴族関係はなるべく避けた方がいい。
「それにそもそも、今回は褒賞を与えるために呼んだのだからな」
「ダブルヘッド討伐の、でしょうか?」
「うむ、あれを持て」
「はっ」
オルドウ伯の側近が台車を引いて近寄ってくる。
「随分と遅れたが、受け取るがよい」
「……ありがとうございます」
受け取ったのは金銭の入った袋と複数の品。
「これでようやく領主の責任を果たすことができた」
「……」
俺を呼んだのは褒美を与えたかったから?
それだけ?
厄介事は無し?
だったら、ありがたい。
「さて、次に進もう」
そうだよな。
そんな甘い話なんてないよな。
「冒険者の君に1つ依頼をしたい」
「……何でしょう?」
「薬剤採取の依頼だ」
採取依頼?
大した厄介事じゃない?
なら、受けるのも……。
「閣下!」
「伯爵様、あの採取は!」
不満の声を上げたのは領主側近と騎士数名。
「そちらは控えておれ」
「ですが、遅参する冒険者などに……」
「この者はダブルヘッドを討った凄腕であろう、何の問題もない」
「討伐は数名の冒険者によるものと聞いております」
「その冒険者を率いていたのがこのコーキだ」
「統率の腕と剣の腕、採取の腕は別物かと」
「その通りです、彼の手に負えるとはとても思えません」
「では、そちが行くか?」
「閣下の命であれば、喜んで」
「アレの採取達成を確約できるのか?」
「……」
「テポレン山、エビルズピークと続く険峻踏破に加え、竜のごとき魔物を退治ねばならぬのだぞ」
なるほど、山にある素材採取か。
「無理であろう。ならば、残された選択肢は1つ。専門家である冒険者に」
「閣下、お待ちください」
「まずはこの者の技量確認を」
前に出る騎士たち。
その中には中隊長エンディーブの姿も見える。
「技量確認?」
「はっ、険峻踏破以前に剣の技量がなければ話にもなりません」
「……」
「我らが手合わせすればこの者の腕を測れます」
「ふむ……」
やっぱり、厄介事だ。
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