30年待たされた異世界転移

明之 想

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第13章

謁見


「その方が、冒険者コーキか?」

「はっ」

「ギルドに声をかけて幾日になるか……やっと会うことができたな」

「遅参、申し訳ございません」

「謝罪は無用だ」

「……」

 緑が溢れる領主館の中庭。
 その中央に立つオルドウ伯爵の前で膝をつき首を垂れる俺。

「私の声が届いてないのでは、どうしようもないであろう」

「……恐縮です」

 貴人との対面はこちらの世界で何度か経験しているが、こういった作法的なものにはまったく慣れる気がしない。いまだに手足と口が固まりそうになってしまう。

 やはり、貴族関係はなるべく避けた方がいい。

「それにそもそも、今回は褒賞を与えるために呼んだのだからな」

「ダブルヘッド討伐の、でしょうか?」

「うむ、あれを持て」

「はっ」

 オルドウ伯の側近が台車を引いて近寄ってくる。

「随分と遅れたが、受け取るがよい」

「……ありがとうございます」

 受け取ったのは金銭の入った袋と複数の品。

「これでようやく領主の責任を果たすことができた」

「……」

 俺を呼んだのは褒美を与えたかったから?
 それだけ?
 厄介事は無し?
 だったら、ありがたい。

「さて、次に進もう」

 そうだよな。
 そんな甘い話なんてないよな。

「冒険者の君に1つ依頼をしたい」

「……何でしょう?」

「薬剤採取の依頼だ」

 採取依頼?
 大した厄介事じゃない?
 なら、受けるのも……。

「閣下!」

「伯爵様、あの採取は!」

 不満の声を上げたのは領主側近と騎士数名。

「そちらは控えておれ」

「ですが、遅参する冒険者などに……」

「この者はダブルヘッドを討った凄腕であろう、何の問題もない」

「討伐は数名の冒険者によるものと聞いております」

「その冒険者を率いていたのがこのコーキだ」

「統率の腕と剣の腕、採取の腕は別物かと」

「その通りです、彼の手に負えるとはとても思えません」

「では、そちが行くか?」

「閣下の命であれば、喜んで」

「アレの採取達成を確約できるのか?」

「……」

「テポレン山、エビルズピークと続く険峻踏破に加え、竜のごとき魔物を退治ねばならぬのだぞ」

 なるほど、山にある素材採取か。

「無理であろう。ならば、残された選択肢は1つ。専門家である冒険者に」

「閣下、お待ちください」

「まずはこの者の技量確認を」

 前に出る騎士たち。
 その中には中隊長エンディーブの姿も見える。

「技量確認?」

「はっ、険峻踏破以前に剣の技量がなければ話にもなりません」

「……」

「我らが手合わせすればこの者の腕を測れます」

「ふむ……」

 やっぱり、厄介事だ。


感想 11

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