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第1章 オルドウ編
再び 3
それから神様は簡単に今回の手違いの事情を話してくれた。どうやら神様と俺との間にある時空路というものが上手く繋がらなかったようなのだ。場合によっては30年どころか、この先もずっと繋がらない可能性もあったとのこと。
そんな事態を考えれば、今の状況が非常にありがたく思えてくる。
神様の話を聞いている内に俺の心は充分に静まり、今では冷静に思考できる状態に戻ってきた。
とはいえ、深層に興奮は残っている。
その興奮が、続く話で再燃した。
神様が次に語ってくれたのは、異世界エストラルについて。10歳時の異世界行では知りえなかったことを知識として与えられ、それはもう、興奮がおさまるはずもない。
40歳になってこんな気持ちを抱けるなんて。
少し前までは異世界のこともほとんど諦めかけていたのに……。
少し恥ずかしいが、そんなものとは比べ物にならないくらいの喜びがある。
もう言葉にもならない。
「ふむ、また気持ちが高ぶってきたかな」
再び神様が左手を振るい光の粒子を出してくれた。
本当に不思議だ。
すぐに落ち着いてくる。
「話を続けていいかな」
「はい」
「やむを得ぬこととはいえ、今回はキミに過度の心労を与えてしまった。そのお詫びも含め、今できる範囲内で恩寵を与えよう」
神様の雰囲気がとても柔らかくなっている。
「そこまでしてもらっては……恐縮してしまいます」
「気にすることはない。そう……まずは、あちらの世界、キミの世界で言う所の異世界、その異世界エストラルへ渡る力を与えよう」
「あ、ありがとうございます」
ああ……。
これで、あの世界にもう一度行けるんだ。
あの素晴らしい世界に。
油断すると、涙腺が緩んでしまいそうだ。
でも、仕方ないだろ。
こんなに嬉しいことはないのだから。
「エストラルはキミも知っての通り、こちらの世界とは文明の成熟度が違う。地球での中世程度の文明だと考えておけば概ね間違いはない」
「……はい」
あの異世界へ行けるという喜びの余韻がまだまだ残っている頭に神様の言葉が響く。
が、これじゃだめだ。
今はしっかりと神様の言葉を聞こう。
「とはいえ、部分的にはキミの世界より発達しているところもある。魔法などがその最たるものと言える」
「はい」
「とはいえ、一度足を踏み入れたことがあり、今まで準備してきたキミなら慣れるのも早いだろう」
まだ10歳だった俺はあちらの世界で見た魔法に驚き、興奮したものだ。
いわゆる攻撃魔法のような魔法を見る機会はなかったけれど、それでも未知なる力に沸き立つ心を抑えることができなかったのを覚えている。
ちなみに、文明の程度に関しては、当時は気にもならなかった。まだ幼かったというのもあるだろうが、異世界の街並みに興奮してそれどころじゃなかったのだと思う。
そんな異世界については、この30年ずっと頭の中にイメージが残っている。
神様の言う中世という言葉にぴったりのイメージが。
「頑張ります」
「これからキミはこちらとエストラルを自由に往来できる。もちろん、ある程度の制限は存在するのだが」
「本当にありがとうござ、えっ?」
自由に往来できる??
異世界に行っても、またこちらに戻って来れると!?
そんな……。
「どうかしたかな?」
「……あの、私は異世界から戻って来れるのですか?」
「うむ」
そうなのかぁ……。
そうだったのかぁ……。
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