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第1章 オルドウ編
再び 16
しおりを挟む「ちょっと時間ができたから、あなたの顔を見ようと思ってね」
「それなら、知らせてくれたらよかったのに」
「突然来てあなたを驚かしたかったのよ」
「……。それで、母さんが出て来て家は大丈夫?」
「みんなが見てくれてますよ」
「そうか、ならいいんだけど。とりあえず中に入って」
「仕事の邪魔じゃない?」
「少しだけなら平気だから。それより、ベリルさんにあいさつした方がいいよ」
しかし、お母さんに続き子供さんも美形だ。母親譲りの碧眼にプラチナに近い金髪。髪色は異なるが艶のある髪質はよく似ているように思う。その美しい長髪を後ろで束ねているのも、とても似合っている。
男性のこの髪型、街を行きかう人々の中で何度か見かけたのだけれど、こちらの男性の間では長髪を束ねるのが流行っているのだろうか。
俺より10数センチ背が低そうなのだが、姿勢が良いせいか、もっと高く見える。
というか、これは品があるんだな。
その眼、髪、整った顔立ち、それに佇まい、その雰囲気に至るまで、凛とした空気を漂わせている。
だから、スマートに感じるんだな。
そんな美しいふたりを感心しながら眺め、立ち去ることもできず会話を聞いていると。
「ウィル、こちらは大通りで迷っていた私を案内してくれたコウキさん」
俺の名前については、この宿屋に来る途中で既に伝えている。
「あっ!? そうでしたか、母がお世話になり、ありがとうございました」
うん?
ほんの一瞬、こちらを見て驚いたような表情を浮かべたような。
「コウキさん、こちら息子のウィルです」
「はじめまして、コウキと申します。縁あってお母さんをお連れしただけですから、気になさらないで下さい」
「そんな訳にはまいりません。お礼をさせていただかなければ」
気のせいかな。
穏やかな笑顔を浮かべているし。
「そうですよ、コウキさん。ワタシからもお礼をしないと」
「と言われましても、少しお付き合いしただけですし」
「それがありがたいのです」
押し問答の末、宿屋に併設している食堂で夕食をご馳走になることになった。少し道案内しただけなのに申し訳ない。
とはいえ、夕食の場と宿を見つけることができたのは幸いだったかな。
夕食には休憩を貰ったウィルさんが途中から参加してくれたおかげで、色々と有用な話を聞くことができ、正直かなりありがたかった。
オルドウについての話も非常に興味深く為になった。驚く話も多々あったが、最も驚いたのはお母さんの年齢が35歳ということだ。
とても、とても、そんな年齢には見えない。
その落ち着いた雰囲気からある程度の年齢だと想像はついていたけれど、外見だけから判断すると20代前半にしか見えないのだから。
ちなみに、ウィルさんは17歳。
こちらも想像より若い。
この世界の住人の年齢は、日本人の俺には分かりづらいってことか。
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