166 / 1,578
第3章 救出編
魔法訓練 1
しおりを挟む武志の件をどうするかを考えながらも、オルドウと日本での二重生活は特に問題もなく順調に過ぎていく。
そんな順調で穏やかな日々を過ごす中。
オルドウの街にも随分と慣れてきたことだし、そろそろ他の街も訪れてみたいという思いが心の中に生まれつつある。
この先オルドウに定住するという考えもなくはないが、それにしても、いくつかの街や都市を回って見聞を広めることは悪いことじゃない。
シアへの魔法指導が落ち着いたら、他の街への移動を具体的に考えるのもいいかもしれないな。
ああ、移動と言えば、日本でもひとつ大きな変化があったんだ。
先日、ついに引っ越しを完了したんだよ。
これで、何の気兼ねもなく異世界に行くことができる。
それにそう。
仮に古野白さん関連の揉め事に巻き込まれたとしても、俺だけの問題で済むんじゃないかな。
そう考えると、一安心だ。
そう言えば、古野白さんとはしばらく連絡を取っていない。
大学内で偶然見かけたりはするけれど、ふたりきりで会話することはほとんどないかな。
まあ、連絡がないのだから元気にやっているのだろう。
俺としては、古野白さんの所属する機関から呼び出しを受けることなく日々を過ごせていることが何よりもありがたい。このまま俺が下手に首を突っ込むことがなければ、もう呼び出されることもないのではと期待してしまう。
そうすれば、ステータスの露見欄もいずれ綺麗になることだろう。
……。
まあね、正直言うと、古野白さんの活動には興味あるんだよ。
でも、露見が怖いからさ。
こちらから積極的に接触しようとは思わないかな。
そうそう、引っ越しの際に、妹の香澄にさんざん文句を言われたんだった。
せっかく夏休みに帰省しているのに、このタイミングで引っ越すとは何事だと。
至極まっとうなご意見、反論できなかった。
おかげで、また食事をおごる羽目になりそうだ。
今度はランチにしてもらおう。
********************
「ここで練習しますが、問題ありませんか?」
「はい……。あの、やっぱり、その口調なんとかなりませんか?」
「変ですかね?」
「変というか。コーキさんは私の先生になるので、そういう風に丁寧に話されると申し訳なく思ってしまいます。それに、常夜の森での実習の際はもう少しくだけた話し方をしてくれましたし」
あの時は、ギリオンもいたし少し口調が乱れていたのかもしれない。
しかし、そうか。
居心地が悪いか。
「目下の者に話すような口調にしてもらえれば、ありがたいです」
「わたしは平民の冒険者ですよ」
「関係ないです」
「分かり……分かったよ」
どうにもやりづらいが。
まあ、徐々に慣れていけばいいか。
「では、さっそく始めよう」
「はい、お願いします」
「まずは、ファイヤーボールを撃ってもらえるかな」
「はい」
俺たちがいるこの場所はオルドウの街を出て少し北東に進んだあたりにある平原。
右手に見える常夜の森と左手の小高い丘に囲まれた荒野然とした平原だ。
ほとんど人が通らないこの場所は、訓練するには最適だろう。
実は俺もこの場所を見つけてからは、何度かここで鍛錬を行っている。
そんな場所で、シアの魔法の訓練を行うことになったのだが。
「シアの魔法かぁ、楽しみだな」
どういうわけか、ヴァーンがついて来たんだよな。
前回の常夜の森にはギリオンが同行していたし、こいつら暇なのか?
まあ、別にいいんだけど。
「いきます! 放逸にして峻烈なる絶炎を統べる主よ、契りにより求めるは灼熱の炎、ここに集い放たん、ファイヤーボール!」
放たれた火の玉が10メートル程離れた岩に当たって消失する。
「どうですか?」
「いいじゃないか。詠唱も早いし、威力もあるしな」
感心したようにヴァーンが答える。
「ありがとうございます。あの、コーキさんは?」
「ああ、悪くないと思う」
これは前回も感じたことだが、やはりシアの魔法は悪くない。
この世界で他の冒険者が放つ火魔法を見る機会は多くはないのだが、それでも、シアのファイヤーボールは平均より上じゃないのかと思ってしまう。
しっかりした前衛のいるパーティーに加入すれば、このままでも十分冒険者としてやっていけそうに思えるほどだ。
ただまあ、俺が教えるからには。
「じゃあ、ちょっと見ていてくれるかな」
54
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
転生チートは家族のために ユニークスキル『複合』で、快適な異世界生活を送りたい!
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
Gランク冒険者のレベル無双〜好き勝手に生きていたら各方面から敵認定されました〜
2nd kanta
ファンタジー
愛する可愛い奥様達の為、俺は理不尽と戦います。
人違いで刺された俺は死ぬ間際に、得体の知れない何者かに異世界に飛ばされた。
そこは、テンプレの勇者召喚の場だった。
しかし召喚された俺の腹にはドスが刺さったままだった。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる