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第3章 救出編
緊急事態 1
シアへの魔法指導を始めて数日が経過。
魔法訓練の際は、ほとんど毎回ヴァーンが一緒にやってくる。
これだとヴァーンも俺の弟子みたいなもんだ。
でもまあ、ふたりで魔法を訓練するのは上達のためにも悪いことじゃない。
実際、数回の指導でふたり共かなり上達したと思う。
このまま順調にいけば、詠唱破棄も身に付きそうだ。
というように指導を進めているのだが、最近は人に魔法を教えるのも悪くないと思うようになってきた。
武術でも学問でもそうだが、人に教えることで見えてくるものもある。
魔法に関しては、これまでずっとひとりで訓練してきたから、なおさらそう感じてしまう。
実際、シアの指導を初めて、新たに気付くこともあったからな。
うん、指導も悪くないもんだ。
さて、オルドウでは魔法指導が俺の日常に新たに加わったが、日本での俺は引っ越し後の作業にいまだ追われている。
時間があれば、ついついオルドウに行ってしまうので、引越しの後処理がなかなか終わらないんだよ。
先日、俺の新居を訪れた香澄が、散らかったままの部屋を見て呆れていた。
呆れるだけで、手伝ってはくれなかったんだけど。
あいつもなぁ……。
まあこんな感じで、日本でもオルドウでも忙しい時間を過ごしているが、充実しているからなのか、あまり疲れは感じない。
やっぱり、好きなことを日々できるというのは最高なんだよな。
何といっても、前回の時間の流れの中では30年待ち続けたからさ。
本当に今は幸せだと思う。
ありがたいことだ。
************
オルドウの昼下がり。
冒険者ギルド内にある掲示板前。
今日もまたいつも同様に貼り出された依頼を眺めているのだが、食指が動くものが特にない。
やはり朝早くに来ないと駄目なんだよなぁ。
それは分かっているんだけれど、日本とオルドウ間の移動制限のおかげで早朝に来れないことがよくあるんだよ。
はぁ~。
これまで同様、もう何度目か分からないこの状況に嘆息が漏れ出てしまう。
溜息をつくと幸せが逃げるというけれど、今日の依頼を受けるという幸せを既に逃してしまった俺からどんな幸せが去っていくというのだろう。
……。
まっ、溜息とは悪いものではなく、自律神経を整えるのに効果的で身体に良いという話もある。
ということで、気分を変えて。
よし。
今日は依頼を受けるのはやめよう。
なら、常夜の森にでも行くか、それともテポレン山にでも登るか。
などと考えていると。
冒険者ギルドの入り口から慌てた様子で1人の男が駆け込んできた。そのまま受付嬢のもとに走り寄る。
「た、大変だ! ダブルヘッドが出た! しかも2頭も!」
混雑時が過ぎ去った冒険者ギルド内は閑散としているが、それでもギルドの職員は在席しているし冒険者も数人はいる。その全員がダブルヘッドという言葉に息を呑む。
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