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第3章 救出編
緊急事態 4
驚きに声が漏れてしまう。
「……」
聞き間違いじゃないよな?
「もう一度読み上げます。サリオル、ザンジブ……エリミネール、ゾルダー……ギリオン、ヴァーンベック……シア、アル……以上です」
っ!
間違いない!
ギリオンとヴァーンベックだけならまだしも。
シアとアルもだって。
これは!
ダブルヘッドによる脅威を実感できていないためか、先程まではどこか現実味に欠けるような感覚しか持てないでいた。
しかし今は……。
4人の名前を聞き急速に緊張感が湧き出してくる。
待てよ。
ギリオン、ヴァーンベックという名とシア、アルの名は連続では読まれなかったよな。
ということは、まさか2組が別々に森に入ったということなのか!?
一緒には行動していないと。
シアとアルには、まだ2人だけでは常夜の森に入るなと注意していたのに。
背中に冷たいものを感じる。
「……」
ここで考えていても事態が好転するわけでもない。
なら、行くしかない。
話を続けているギルド長たちを尻目に、ひとり冒険者ギルドを後に。
もちろん行先は常夜の森だ!
***********
<アル視点>
「姉さん、少し到着が早かったんじゃないか」
「そうね。でも、セレスティーヌ様をお待たせするわけにはいかないでしょ」
「そうだけど」
昨日、オルドウでの拠点としている住居にワディン家から宝具を使って知らせが届いた。
内容は想像通り。
ワディン家とレザンジュ王家との争いがいよいよ本格化し、王軍によってワディン領都が攻め込まれるという事態が現実味を帯びてきたため、セレス様をワディン領から逃がしオルドウに避難させるとのことだった。
幾つか用意していた避難先の中でオルドウが選ばれたんだ。
まだまだ未熟なおれと姉さんに、そんな大任が。
……。
昨日は不安な気持ちのまま姉さんと話し合ったが、結局することはひとつ。
セレスティーヌ様をお迎えするだけ。
その姫様を迎えるために、おれと姉さんは常夜の森の中。
「セレスティーヌ様の到着までまだ時間がかかりそうだから、少し休もうか」
「ええ、そうね」
午前の内に常夜の森で簡単な依頼をこなし、今は合流予定地である常夜の森の浅域、テポレン山との境界の辺りで待機している。
「どれくらいかかるかな」
浅域とはいっても、ここは常夜の森だ。
長居して良いことはない。
そもそも、おれたち2人だけで常夜の森に入ることは師匠たちに禁止されているのだから。
今回ばかりは仕方ないけど……。
「分からないわ。でも、テポレン山を越える姫様の苦労を考えたら、ここで待つくらい何てことないわ。それより、姫様は無事にここまで……。テポレン山頂付近はとても危険だと聞いているから」
沈鬱な表情を浮かべ言葉を飲み込んでいる。
そうなんだ。
今この場も危険ではあるけど、テポレン山頂はもっと危険なんだ。
だから、姉さんの気持ちはもちろんよく分かる。
おれも同じ思いだよ。
けど、姉さんの思いはおれとは比べ物にならないだろう。
おれにとってもセレス姫様は大切なお方だけど、姉さんにとってはより特別なお方だ。
幼い頃よりセレスティーヌ様の傍で一緒の時間を過ごしてきた姉さん。
誰よりも姫様を慕っているのだから。
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