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第3章 救出編
ダブルヘッド 5
しおりを挟むギリオン、ヴァーン、それにシアとアルが常夜の森から戻っていない。
それを耳にして居ても立ってもいられず、バルドィンギルド長と冒険者たちの話を聞いている途中でギルドから抜け出してしまった。
けれど、幸いなことに冒険者活動をするつもりでギルドにいたものだから、このままの身なりで常夜の森へ向かうことができる。
なので、今はひたすら駆けるだけだ。
オルドウから東に出て、常夜の森とテポレン山の境目を目指す。
この辺りは今や通り慣れた道。迷うことなく一気に駆け抜ける。
そうして、しばらく走ったのち。
常夜の森の入り口に到着した。
常夜の森は当然のことながら森なので、どこからでも入ることができるのだが、一応推奨されている入森ルートというものが複数存在する。
ここは、その中でも最もテポレン山に近いルートの入口だ。
ギリオン、ヴァーンベックとシア、アルの2組がどこから入森したのか定かではない。
だが、先程ギルドに報告に来た冒険者の話ではダブルヘッドを目撃したのはテポレン山の近くということ。
それなら、ここから入って探そうと思う。
「……」
入口からは覗き見る常夜の森は普段と変わることのない厳粛な雰囲気。
しかし、厳粛でありながらどこか不穏な雰囲気を漂わせている。
近くに只ならぬモノが存在する、そんな感じがする。
それとも、強力な魔物がいると知っているから、そう感じると思い込んでいるだけなのか。
「……」
どちらが正しいのか分からないが、今は俺の知覚など問題じゃない。
森に入って探すのみ。
不穏な雰囲気を前にして僅かながら生じた躊躇をかき消し、森の中に足を踏み入れる。
1歩1歩進むにつれ重い空気が肌にまとわりついてくる、そんな感じさえする。
ただ足を運ぶだけで汗が流れてくるようだ。
これはもう気のせいじゃないな。
確実に普段の常夜の森とは違う。
そんな不快感を抱きながらも常夜の森の中を進んでいると、いっそう濃い瘴気のような空気が漂ってきた。
何かが臭いというような匂いがある訳ではない。
むしろ無臭に近いのだが、明らかに今まで知覚したことのないような気配。
ダブルヘッドが近くにいるということなのか。
そんな瘴気に向かって足早に森を進む。
瘴気に近づいていくと、なぎ倒されている樹木があちらこちらに見られるようになってきた。
そのおかげで広がった視界がある程度森の奥まで見通すことを可能にしてくれる。
そして、俺の目に映ったのは。
「……」
他とは隔絶した雰囲気を漂わせている魔物。
まだ少し距離があるが、あいつが……。
ダブルヘッドか!
この距離からでも感じられる威圧感、漆黒のその体から発している圧倒的な気配に足が止まってしまいそうになる。
だけど……。
大丈夫だ。
驚きで止まりかけてしまった足だが、問題ない。
そのまま気配を消して近づく。
しかし、あのダブルヘッドは何をしている?
左右に歩いては立ち止まり何かを眺めているようだが……。
俺に関係のないことなら、今すぐ踵を返してシアとアルの捜索に戻りたいところ。
けど、このダブルヘッドを放置するわけにはいかない、か。
確認するしかない。
さらに注意して、ダブルヘッドらしき魔物に近づいて行く。
木々の陰に隠れながら進み、彼我の距離が10メートル程度の所まで到着。
ここまで来れば一目瞭然だ。
魔物図鑑で見たイラストと同様の姿がそこにある。
あいつは双頭の魔物ダブルヘッドに違いない。
この距離で感じる威圧感に汗が背中を湿らせるが、幸運なことにダブルヘッドはこちらに気付いていない。
俺とは反対側にある何ものかに気をとられているようだ。
その対象がシアやアル、ギリオン、ヴァーンベックでないことを祈り、またに近づく。
ダブルヘッドの向こう側に見えたのは巨大な岩。
横幅も高さも10メートル以上ある岩が横たわっている。
なぜそんな巨岩の前でダブルヘッドが留まっているのか。
不思議に思いながら、ダブルヘッドの死角になるよう木の後ろに隠れて巨岩を眺めてみると。
あれは……!?
巨岩の一部に小さな穴のようなものが存在し、その中に人が隠れている。
なるほど、そういうことか。
体長5メートル近いダブルヘッドの巨体ではその穴に入ることができないため、穴の前で待ち構えていると。
状況は理解した。
問題はあの中に4人がいるかどうかだ。
そんなことを考えながら穴の方を見ていると、岩の奥に隠れている人が穴から一瞬顔を出して様子を窺うのが目に入った。
「……」
見覚えがあるような気がする。
まず間違いなく、冒険者だろうな。
さきほどギルドに駆け込んできてダブルヘッドの情報を提供した冒険者の仲間かもしれない。
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本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
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