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第3章 救出編
セレスティーヌ 7
セレスティーヌ様と少々堅苦しいやりとりを続けた後。
ここに至るまでのお互いの事情を簡単に話すことになり、それぞれの経緯を理解することができた。
セレスティーヌ様の話は、まあ、何と言うか、想像以上に重い内容で、今回のテポレン越えも非常に切迫したものだったみたいだ。
シアとアルが詳しく話せないのも納得の内容といえるな。
そんな話を聞いた後で、お疲れ様でした、大変でしたね、などという言葉は軽すぎて口にできない。かといって、かける言葉も見当たらず、口をつぐんでしまう。
セレスティーヌ様も地面に目をやりながら物思いに耽っている。
実家のこと、護衛してくれた騎士のことなどを考えているのだろうか。
「……」
沈黙が続いてしまう。
彼女にとってはこういう時間も大事なんだろうが。
でも、そろそろ出発しないとな。
「そろそろ出発しようと思うのですが、動けそうですか?」
「……え、はい、大丈夫です」
考え事をしていただろうその顔は青白く見える。
元々が透き通るように白い顔色なのだが、疲労のためか心労のためか、今は血の気をなくしたような顔色に見えてしまう。
うーん、大丈夫なのか?
ここまで本当に大変な目にあったのだから相当疲労は溜まっているだろう。
本来なら、身体を休ませてあげたいところだが……。
正直言って今の状況の中、崖下でゆっくりしている時間はなない。
日暮れまでに山を下りないと野宿確定だしな。
それはセレスティーヌ様も望むことではないだろう。
セレスティーヌ様の体調を考慮すると、この時間からの下山はかなり厳しいものがあるが、やれるだけやってみよう。
「では、私が護衛しますので、まずはテポレン山を下りるとしましょうか」
「ええ、分かりました。よろしくお願いいたします」
さてと、その前に。
まずはシアとアルに、セレスティーヌ様を保護したことを伝えないとな。
魔力を練り、上空に向けて発射。
上空で、少し大きめの炎を花びらが開くように展開する。
バーーーン!
結構な音が大空で鳴り響く。
今回初めて作った魔法だが、形といい、音といい、花火そっくりのものができあがったな。
うん、我ながら上手く作れたと思う。
この炎の大きさと音から、今後合図として使うのに重宝する魔法になりそうだ。
「あの……その魔法は何なのでしょう?」
隣にいるセレスティーヌ様が驚いたように問いかけてくる。
「この魔法は、麓にいるシアとアルへの合図です。セレスティーヌ様を無事保護した際に上空に打ち上げると決めていたものですから」
「そうなのですね……。綺麗な魔法です」
「ええ……」
これを見たら、シアとアルも安心するだろう。
それに保護が遅れた際には、セレスティーヌ様とともにテポレン山で野宿する可能性もあると伝えている。
この合図を確認さえしていれば、セレスティーヌ様のことは心配だろうが、夜の森にとどまることなく、いったんオルドウまで戻ってくれるはずだ。
あんな場所でシアとアルを一晩中待たせる訳にはいかないからな。
いくらギリオンとヴァーンが一緒にいるといっても、2人とも万全ではない。
その上、4人全員が疲労困憊している状態なのだから。
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