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第3章 救出編
魔落 13
セレスティーヌ様を壁際に残し、トリプルヘッドに向かい足を進める。
そんな俺を見て、立ち止まるトリプルヘッド。
俺も足を止める。
彼我の距離は5メートル。
お互いの視線が絡み合う。
「……」
「グルルル」
でかいな。
俺の知るダブルヘッドより、ひと回りは大きいように見える。
圧力もかなりのものだ。
これは全く油断できないな。
手を抜いて勝てる相手じゃない。
幸い、魔力には余裕がある。
なら。
剣を抜き魔力を込める。
今できる最上の強化だ。
身体には既に魔力を纏っている。
手加減なしだ。
いくぞ!
「雷撃!」
5メートルの距離から放った雷撃。
左横に跳んで躱した。
まあ、そうだろうな。
想定内だ。
「雷撃!」
着地点に連続の雷撃を放つ。
これならどうだ。
着地と同時に、さらに左に跳躍しようとするトリプルヘッド。
が、躱しきれない。
「グゥオ!」
トリプルヘッドの右半身に雷撃が命中。
小さくうめき声をあげるが、それだけ。
平然としたものだ。
やはり、通常の雷撃では効果が薄いか。
それもダブルヘッドとの戦いから、ある程度分かっていたことだ。
だから、次の手を打っている。
距離を一瞬で消し、上段から一閃。
濃密な魔力を纏った剣撃を味わえ!
3つの頭の右端、俺から見ると左の首筋に叩きこむ。
ガシュッ!
鈍い音。
この魔力を纏っていても、切断には至らない。
手応えはそれなり、といったところ。
「グゥルオォォ!」
右頭の咆哮。
そんな右頭をよそに中の頭が俺に牙をむく。
粘りつくような体毛を震わせながら迫ってくる。
首筋に挟まった剣を抜き取り、離脱!
間一髪のところで抜け出すことができた。
「グルルゥゥ」
しかし、こいつの身体は厄介だな。
魔法攻撃、物理攻撃に対して高い防御力を見せる硬い体表。
剣が通りにくい濡れた体毛。ダブルヘッド以上に赤みが強い黒の体毛だ。
切り付けた剣を咥えこんでしまう筋肉質の肉体。
ダブルヘッドの上位互換のような防御性能を誇っている。
さらに、ダブルヘッドと同等以上の回復魔法や攻撃魔法を使えるとすると、本当に大変な相手だ。
とはいえ、スピードはそれほどでもない。
ダブルヘッドと同程度といった感じか。
これなら、最高に強化した俺のスピードの方が上だ。
実は、これ以上のスピードにすることも可能なんだが、そうするとその速度に思考がついてこない。そして、すぐに身体が限界に達してしまうからな。
今はこの速度が最高ということになる。
おっと!
危ない!
トリプルヘッドの突進からの左腕の薙ぎ払いを、左後ろに跳ぶことで避ける。
そこに右手の爪による連続攻撃。
キン!
これを剣で受け止め、左に流し。
返す剣でさっきの首筋に一撃!
ザシュッ!
まだ足りない。
が、あと一撃で切断できそうだ。
「グゥオォォン!」
右頭が叫び声を上げる中。
また、中頭が嚙みつきにきた!
さっきより簡単に抜き取った剣とともに再び離脱。
同じような攻防が2回続いたな。
ということは、やっぱり!
ここで突進か。
それなら、同じ対応をするだけだ。
左腕の攻撃を避け、右爪の攻撃を流し。
3度目の正直だ。
首筋に剣を差し入れる!
ザシュン!
よし!
剣が通ったぞ。
ドン!
必然、右の首が地面に転がり落ちることになる。
「グゥルオォォ!」
「グゥオォォォ!」
中の頭が咆哮し、今まで沈黙していた左の頭も声を上げる。
今度は右肩から突進してきた。
腕を使うことなく、肩をぶつけるつもりか。
けど、その速度では無理だ。
大きく左に跳び、トリプルヘッドの突進を躱す。
トリプルヘッドはすぐに勢いを殺すことができず、10メートルほど通り過ぎてしまった。
もちろん、頭は突進方向、尻は俺の方に向いている。
「炎舞」
振り返る前に、焼いてやるよ。
「グギャ」
「グロォ」
炎がトリプルヘッドの身体全体を包む。
範囲効果がある炎舞なら、あの巨体全てを包み込むことができる。
もちろん、これで倒せるとは思っていない。
ほら、あの体毛のせいか、もう消えてきた。
だから。
「炎舞」
さらに。
「炎舞」
炎舞の3連発だ。
「グギャァァァ」
「グロォオォォ」
振り向いたトリプルヘッドが悲鳴のような声を上げる。
結構効いているみたいだな。
特に中頭が苦しんでいるぞ。
火に弱いのか。
これは充分に効果ありだ。
おお!
体毛の光沢が薄れている。
炎舞の炎でぬめりが少し取れたんじゃないか。
これはいける。
火が消える直前。
トリプルヘッドに接近し、中の頭の頸部に向けて剣撃一閃。
「グギャギャァァ」
今までで最も手応えがあった。
切断には至っていないが。
もう少しだ。
剣を抜き取り、そのまま、もう一撃!
よし!
ドスン。
これで2つの頭を切り取った。
残るは1つだ。
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