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第3章 救出編
セレスティーヌ 10
<バルドィン視点>
テポレン山上空に上がった巨大な火花。
円状に大きく広がって消えていった……。
何だというのだ?
また、嫌な汗が出てきそうだぞ。
「何だ、あれ?」
「魔物か? いや、魔法か?」
「あんな魔法知らないわよ」
「でも、綺麗だな」
驚き騒ぐ冒険者連中を尻目に、この4人は。
「ああぁ、よかった」
「姉さん、良かったなぁ」
「さすが、コーキだぜ」
「まっ、当然だぁな」
驚くどころか、喜び感心すらしておる。
どういうことだ?
「ちょっと、これ何なのよ」
「そうだ、お前ら知ってんだろ。説明しろ」
「ブリギッテ、サージ……。ああ、驚くのも無理はない。あれはコーキの魔法だ」
コーキの魔法なのか。
ならば、天災ではないのだな。
「固有の魔法か? コーキはそんなモノまで使えるのか。で、どういう魔法なんだ?」
「任務完了の際に、合図として上空に打ち上げることになってたんだ」
「合図の為だけですって。その為にあんな大きな火花を! 何それ、信じられないわ。 でも、そんな固有魔法あるの?」
「ブリギッテ、深く考えんじゃねぇ。コーキはそういう奴だかんな」
「……そう、なのね」
「まあ、実際便利だしな。俺たちも安心できる。仮に今日コーキが戻って来なくても、無駄に心配する必要もない。時間的な問題だと推測できるからな」
「そう考えれば、そうね」
「なるほどぉ。こいつぁ、使いようによっては、汎用性のある魔法かもしれねえな」
ヴァーンベックの説明に納得するブリギッテとサージ。
もちろん、儂と他の冒険者たちも同様だ。
しかし、コーキという冒険者。
驚かされてばかりだ。
その剣の腕前、魔法の技量、さらには固有魔法まで使えるとは。
これは、ますます逃すわけにはいかんな。
*************
<セレスティーヌ視点>
「セレス、よく来てくれた」
「お父様、お話とは何でしょう?」
ワディン辺境伯家の長であるお父様の執務室。
そこに呼び出された私は、お父様、お兄様、さらにはお母様もいるという執務室ではあまり見られない光景に戸惑ってしまいます。
「セレスに話があってな」
「はい」
「今から話すことを、驚かずに聞いて欲しい」
「……はい」
おかしい、何かがおかしいです。
みんなの雰囲気がいつもと違います。
「セレス、お前にはこれからオルドウに行ってもらわねばならん」
えっ?
オルドウって、隣国キュベリッツ王国の都市オルドウ?
「ごめんね、セレス。あなたに辛い思いをさせてしまって」
そう言ってお母様が私を抱きしめてくださる。
私が成人してからは、滅多にこんなことをしないお母様なのに。
言い知れぬ不安が心の中に広がっていくのを感じます。
「あの、どういうことなのでしょう?」
お母様の胸から離れ、お父様の顔を見上げます。
「我がワディン家がレザンジュ王家と揉めているのはセレスも知っておるな」
「はい、存じ上げております」
「その揉め事が大きくなってしまったものでな。もしもの場合に備えてセレスにはワディナートから避難してもらうことになったのだよ」
穏やかな表情で何でもないことを話すように、私に語り聞かせてくれるお父様。
でも、それが普通ではないことだと、私にも理解できます。
領都から避難だなんて、しかも他国に。
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