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第3章 救出編
守り人 3
「コーキさん!」
「大丈夫です。かすっただけですから」
「でも……」
心配そうなセレス様の声。
でも、これくらいなら問題はない。
「ほら、これで」
左肩の黒炎による火傷痕、右肩の光線による傷の両方に対して治癒魔法を発動。
いつものことながら、俺の治癒魔法では黒炎の火傷痕は完治しない。
けれど、痛みを抑える程度の効果はある。
そして、光線による傷は……。
幸いなことに黒炎ほど厄介なものではなかったらしく、ほぼ完治できたと思う。
「もう大丈夫です」
「本当に平気?」
「ええ」
トリプルヘッドの黒炎といい、今回のゴーレムの光線といい、ともに近接戦闘中の失敗だ。
同じ過ちを2度繰り返すとは、我ながら情けない。
今回は急に左肩が痛み出したとはいえ、それも言い訳に過ぎないからな。
そもそも、戦闘前に左肩に治癒魔法をかけておけば良かったんだ。
そうすれば、戦闘中に痛みが出ることもなかったはず。
ただの注意不足だな。
だけど、もう大丈夫。
「すぐに倒しますよ」
「……気を付けて、コーキさん」
「了解」
さてと。
ここからはゴーレムの胸を徹底的に攻撃してやる。
攻略の糸口は掴んだのだからな。
ということで。
ここからだぞ、ゴーレム!
ドシーン!
しばらく動きを止めて、こちらの様子を窺っていたゴーレムが動き出す。
眼に光が集まり、光線発射!
ジュゥゥ!
光線が地面を焼く。
が、こっちは簡単に回避成功。
相変わらず単調な攻撃だ。
けど、この単調な攻撃にやられたんだよな。
さっきのミスが、本当に恥ずかしくなる。
そんな思いを断ち切るように、接近。
掌底。
からの、魔力放出。
2度目だから、もう慣れたもの。
スムーズな連続攻撃で。
ゴーレムの胸の中に魔力を流し込む。
さっきと同様、硬直するゴーレム。
時間にして数秒はこのままのはず。
その間に、胸に剣を突き入れる。
キン!
が、こちらは弾かれただけ。
硬直中も表面の硬さに変わりはないということか。
硬直するということは効いてはいるんだろうが。
だからといって、こいつの防御力に陰りはないと。
と、ゴーレムが再起動。
なら、もう一度だ。
うーん。
いつまで経っても埒が明かないな。
掌底。
魔力挿入。
硬直。
剣、魔法の攻撃。
これを数度繰り返したんだが、ゴーレムはただ硬直するだけで倒れる兆候はない。
胸にかすり傷が増えた程度だ。
「コーキさん、魔力は大丈夫?」
「まだ大丈夫です」
セレス様も心配している。
まあ、あいつの攻撃は脅威じゃないからな。
これを続ければ、倒しきることもできるかもしれない。
けれど、そこまで魔力が持つかどうかだな。
さすがに、何時間も続けることはできないからな。
これは、もうひとつ試してみるか。
ドシーン。
ドシーン。
距離をとっていた俺に近寄って来るゴーレム。
本当に同じことばかり。
やっぱり、ゴーレムはゴーレムか。
一足飛びに接近。
掌底!
で、ここからだ。
流し込むのは魔力じゃないぞ。
魔力に対する防御性能は認めるが、これならどうだ。
この世界では、いまだ見たことがない。
気だ!
さっきまで練り上げていた気を、右の掌から一気に放出。
すると。
ブゥゥゥゥゥン!
左右に振動し硬直するゴーレム。
魔力を流した時より、明らかに振動が激しいぞ。
なら、続けてやる!
再度掌をゴーレムの胸に当て、気を流す。
ブゥゥゥゥゥンンンンンン!
横揺れに続いて、縦にも振動を始めた。
黒光りしていた体表も、心なしかくすんできたように見える。
ほら、もっとだ!
さらに、気を放出。
ブブブブンンンンンンン!
振動どころじゃない。
今にも倒れそうだ。
これは確実に効いている。
ここが勝負どころ。
激しく揺れ動くゴーレムの胸に右の掌を合わせ。
もう一度、気を叩き入れる!
ブブブブブブブッブッブッブ………………!
掌を当てていることができないくらいの振動。
……と。
バリーーーーン!
胸が砕け散る!
そして、そのまま完全に動きを止めたゴーレムが、前方にゆっくりと。
ズッドーーーン!!
崩れ落ちた。
「……」
やったか?
ゴーレムは倒れ伏したまま、身じろぎもしない。
やったな。
よし、ついに倒したぞ!
「コーキさん!」
背後から走り寄って来るセレス様。
「おっと」
そのまま俺の胸に飛び込んできた。
「コーキさん、凄いわ。分かっていたけど、やっぱり凄い! さすが、私の……」
かなり興奮しているようだ。
今までの数々の戦闘後でも、ここまでではなかったのに。
いったい、どうしたんだ?
「とにかく、すごいのよ」
「……」
おかげで、こっちの興奮が冷めて冷静になることができる。
何といっても、まだゴーレムを倒しただけ。
この空間の謎は解けていないのだから。
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