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第3章 救出編
予知
しおりを挟む<セレスティーヌ視点>
久々の感覚
私が長く失っていた予知の感覚。
だと思う。
でも、ここでは予知はほとんど使えないはず。
使えない予知がどうして?
どうして、こんなにはっきり?
分からない。
ただ……。
あれは、やっぱり予知だと思う。
「……」
予知だとしたら、私は何を視たのだろう?
その時は全く分からなかった。
けれど、ついさっき。
異世界という言葉を聞き納得してしまった。
あの夢はコーキさんの世界!
異世界なのよ!
「……」
だとすると、また疑問が湧いてくる。
どうして予知で異世界を?
コーキさんの世界を見るの?
分からない。
今の私には知ることができない。
確信したはずの思いが揺らいでしまう。
「……」
あれは本当に予知?
それとも単なる夢?
あの世界は異世界なの?
この世界のどこかなの?
そんなことを考えていると。
「!?」
急に目の前が暗くなり……突然、映像が頭に!
「大丈夫ですか?」
遠くでコーキさんの声が聞こえる。
でも、今は駄目。
「少し、待って……」
そう、これはまさに予知。
夢で見る予知よりも、はっきりと自覚できる白昼の予知!
正鵠の予知!
頭の中に鮮明に浮かんでくる。
……。
……。
……。
ここは、どこ?
狭い部屋?
でも、綺麗で明るい。
壁も天井も真っ白。
見たことのない光が天井から私を照らしている。
私は……。
横になっている。
ベッドで眠っていたの?
白く明るい部屋の清潔なベッドの上。
信じられないくらい柔らかい布団の中の私。
そんな私が見上げているのは……。
コーキさん!?
私がコーキさんを見上げ。
コーキさんは、その優しい眼差しで私を見つめている。
「……」
この世界のコーキさんとは、服装が違うけれど。
間違いなくこれはコーキさん。
嬉しそうな表情で、それでいて、どこか心配している様子。
……知っている。
この表情。
何度も私に見せてくれた表情だから。
地下の大空洞で何度も。
私を助け導いてくれたコーキさんの瞳。
その度に喜びと安心を与えてくれた。
私は知っている。
「……」
でもね、コーキさん。
あなたは知らないのよ。
私がどれだけあなたに感謝しているか。
いつか、いつか、時が来れば教えて……。
私はそんなコーキさんに一言二言話しかけ、ベッドから起き上がる。
駆け寄るコーキさん。
コーキさんの手を借りて窓際に。
窓から見える景色は、夢で見たあの景色。
高い建物と、馬の無い馬車が走る世界。
無数の馬車が走っている。
信じられないほどの数。
それを、私はとんでもない高さから見下ろしている。
この世界は……。
コーキさんの世界!
異世界だ!
私が異世界にいる。
コーキさんと、ふたりで。
「……」
コーキさんが心配そうに話しかけてくれる。
コーキさんが笑っている。
真剣な顔で喋っている。
楽しい。
楽しい!
嬉しい!!
「……」
ずっと話している。
いろいろな話を。
私とふたり、異世界の見知らぬ部屋の中で。
「……」
幸せな気持ちと、でもなぜか、苦しい気持ち。
複雑に混じり合った想いが湧き上がってくる。
笑顔なのに、目が滲んでくる。
瞳にあふれてくる。
これは?
どういう……?
私は嬉しいはずなのに……?
……。
……。
映像が切れてしまった。
「っ!」
今感じていた形容しがたい想いも消えていく。
……。
……。
何?
何だったの?
本当に予知?
それとも、これはただの白昼夢?
単なる幻想?
「……」
いいえ!
これは予知よ!
この感覚は、間違いようがない。
予知そのものなのだから。
長らく見ることのなかった白昼の予知。正鵠の予知。
そうに違いない!
「……」
なぜ、コーキさんの世界を見ることができたのか分からないけど。
私がコーキさんの世界に行けるはずはないのだけれど。
それでも……。
瞬間。
「!?」
視界が戻ってくる。
ここは……テポレン山。
「……」
少しばかり息を整え、目を前に。
瞳に映るのは、こちらを心配そうに見つめるコーキさん。
その表情にホッとする。
気持ちが強くなれる。
「もう大丈夫。それより……」
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