30年待たされた異世界転移

明之 想

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第4章 異能編

帰還 3


 ヴァーンとギリオンを止めに入ってくれた2人。

「……ああ、そうだったな。コーキ、こっちの2人はサージとブリギッテ、ダブルヘッドの解体を手伝ってもらってたんだ」

「サージだ、よろしくな」

「ブリギッテよ」

「サージさん、ブリギッテさん、コーキです。今回はありがとうございました」

「いや、まあ、なんだ。下心もあったしな」

「そうよ。気にしないでいいわ」

「はあ……」

 下心ってなんだ?

「コーキ、こいつらダブルヘッドの素材を狙ってんだよ」

 ああ、そういうことか。

「なっ、失礼ね。私はそこまでは言ってないわよ」

「じゃあ、要らねえのか?」

「……」

「要らねえんだな」

「それは……要るけど」

「ほら、狙ってんじゃねえか」

「狙ってないけど欲しいだけよ。あんた、分かるでしょ」

「それ、狙ってるっていうんだぜ」

「……」

 素材のことは俺にはよく分からない。
 分配については、ヴァーンに任せればいいかな。

「ヴァーン、サージさんとブリギッテさんにも渡してくれ。詳しいことは任せるよ」

「……いいのか?」

「もちろん。ヴァーンとギリオン、シアとアルの取り分も任せるわ」

「おい、全部俺が決めるのかよ?」

「頼む、さすがに今日は疲れたからさ」

「ほんとに俺でいいんだな」

「ああ」

「……分かった」

「ヴァーンさん、俺はどこをもらえるのかな?」

「ヴァーン様、私は?」

「お前らなぁ……」

 こっちはヴァーンに任せればいい。
 で、今はそれより……。

 懐から取り出した懐中時計を眺めてみる。
 そろそろ2時間だぞ。

「……」

 魔落(神域)で過ごした時間を除けば、今まさにこの時。
 時間遡行であの崖下に戻ってから2時間が経過しようとしている。
 セレス様が越えることができなかった時間だ。

 場所としては、麓のあの地点。
 時間としては、崖下からのこの2時間。

 2度とも越えられなかった壁だ。

「……」

 トトメリウス様の力を疑っているわけじゃない。
 大丈夫だと思っている。
 それでも、やはり気になってしまう。

 本当にここを越えることができるのか?
 切り抜けることができるのか?
 セレス様が無事に?

 その不安が今。

「……」

 今、まさに今。
 越えた!

 セレス様は、無事だ!

 あぁ……。

 よかった。
 本当によかった。

「……」

 これでもう大丈夫。
 俺はセレス様を救うことができたんだ!




 シアたちと無事に再会を果たしたセレス様。
 あの1刻(2時間)を乗り切ることもできた。

 今は、これで十分。
 もう望むこともない。
 あとはオルドウに戻るだけだ。

 はあぁぁ……。

 ここまで本当に長かったなぁ。
 それに濃密だった。

 けど、頑張った甲斐はあったよ。
 セレス様や皆の笑顔を見ていると、心からそう思える。

 ホント、みんないい笑顔だ

 ということで。
 長かった今回の救出行もようやく終了。

 さあ、帰ろうか。



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