30年待たされた異世界転移

明之 想

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第4章 異能編

お仕置き 3

「これでも食らいやがれ」

 振り向いた先には、難癖コーヒー男。
 片手にはナイフ!

 おいおい、刃物はまずいだろ。

「何を考えてるんだ?」

 振るわれるナイフの刃先を躱しながら、一応聞いてやる。

「俺を怒らせたお前が悪い!」

 駄目だ、こいつ。
 本当に俺と同じ大学の学生かよ。
 そこそこ偏差値の高い大学なんだぞ。

「刃物を出したら、ただの学生の喧嘩じゃ済まないぞ」

「うるさい!」

 本気で刺しにくる気か。
 まあ、動きは見ちゃいられないけどな。

「さすがにナイフは……」

「おい、やめとけって」

 仲間ふたりは、そこはわきまえているのか。

「お前ら、黙ってろ! くそっ!」

 叫びながら突進してくる難癖男。
 もう相手をする必要もないな。

 差し出されたナイフを右に躱し、手刀でナイフを握る手首を叩きつける。

「うっ!」

 ナイフを落としたところを捕まえ、腕を固めて拘束。

「ううぅ」

 さっきより痛い思いをしてもらうぞ。
 さあ、軽く関節を外してっと。

「ああぁぁ! おま、やめ! 止めてくれぇぇ!」

 大丈夫。
 軽くしておくから。





「それじゃあ、どういうことか説明してもらおうか」

 抵抗の意志が無くなる程度に3人の相手をしてやった後。
 校舎裏に転がした3人に説明を促す。

 もちろん、難癖男の持っていた学生証などで個人情報は確保済だ。
 ちなみに、残りの2人はここの大学生ではなかった。
 ある意味、ほっとしたよ。

「俺はコーヒーを零されただけだ」

 難癖男が口にするのは、そればかり。

「その話はもういい。さっきの電話は何だったんだ?」

「……」

「最初から里村を狙ってたんだな?」

「……」

「話さないなら、俺がこの携帯の履歴から、さっきの相手に電話をかけてやろう?」

 奪った携帯電話を左右に振って見せつけてやる。

「それは……」

「お前ら、分かってるのか。さっきの暴力や学食での言い掛かりも問題だが、もし里村を拉致しようとしていたのなら、これは大学内で解決できる問題じゃなくなるぞ」

 ナイフで襲うだけでも大問題だけどな。

「そんなつもりは……なかった。ただ、少しだけ拘束するというか……」

「それが犯罪なんだよ。これが公になってみろ、退学どころじゃ済まないんだ。分かるよな?」

 この大学に通っている学生が、こんなことも理解できないとは思えない。

 ホント、どういうことなんだ?
 こいつが愚かなだけなのか?

「……ちょっと連れて行って、すぐに帰すつもりだったんだ。それは本当だ」

 その顔色。
 やっと、事の重大さを理解しはじめたようだな。

「とりあえず、詳しく話してみろ」

「……」
「……」
「……」

 これでも、話さないのか。
 なら。

「仕方ない。警察に連絡するか」

「やめろ! ただの喧嘩じゃないか」

「里村を拉致するつもりだったんだろ?」

「だから、そんなつもりはなかったって。本当だ。信じてくれ」

「そうだ、ちょっと頼まれただけで」

「おい!」

「あっ……」

「……」

 こいつら、拉致するまでの心算はなかったのか?
 ただ、里村をどこかに連れて行こうとしていただけ?

 それが本当なら、やはり、今回の件を依頼した相手が問題だな。

「有馬くん、どうするの? ボクのことなら、もういいんだよ。有馬くんのおかげで無事だったし」

「裏を聞き出そうと思う。少し待っててくれるか」

「……うん、分かった」

 素直な里村と違って、こいつらときたら。

「悪かったって」

「もう、そいつには手を出さないから」

 このまま見逃してもらえる、なんてな。
 そんな都合の良い話があるかよ。

「全て正直に話したら、考えてやる」

「……」

「依頼者は誰だ?」

「……」
「……」
「……証拠なんかない」

「何?」

「だから、そいつを外に連れ出そうとした証拠なんてないだろ」

 まだ、言い逃れする気なのか。
 往生際の悪いやつだ。

「仕方ない。少し話しやすくしてやろう」

 懐からそれを取り出して。

「ほら」




『今からお前たちを、ある場所に連れて行く』


『ちっ、うるせぇやつだ。黙って付いて来ればいんだよ』


『よし、この生意気な後輩を少し躾けてやろうか』
『ああ』
『賛成だ』


「顔を殴ったな」
『ああ、それがどうした』
「お前が俺たちをここに連れ出し、先に手を出したんだぞ。俺の顔を殴ったんだぞ」
『だから、それがどうしたってんだ』
「確認しただけだ」


『おい、3人でかかるぞ』
『おう』
『いいぜ』


「今度は3人がかりで俺に暴力をふるうつもりか?」
『うるさい、いくぞ』


『これでも食らいやがれ』
「何を考えてるんだ?」
『俺を怒らせたお前が悪い!』
「刃物を出したら、ただの学生の喧嘩じゃ済まないぞ」
『うるさい』



「なっ!」
「これは?」
「録音!」

 その通り。

「この録音機に全て記録させてもらった」

「……」
「……」
「……」

 ますます顔色が悪くなったな。

「有馬くん、そんなことまで」

「ああ、一応な」

「さすがだよ、すごいよ、有馬くん!」

「……」



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