30年待たされた異世界転移

明之 想

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第4章 異能編

能力開発研究所 6

 この状況、悪くはないが、良いとも言えない。
 眠っている3人を人質に取られるとまずいからな。

 ここは、一気に片を付けるべき。
 そういう場面だ。

「……」

 用意しておいた小石を収納から取り出し、軽く魔力でコーティング。
 それを連続で3投。

 衝撃で動けなくなる程度の威力。
 やり過ぎないように。
 匙加減が難しいが、これでどうだ。

「ぐっ!」

「あっ!」

「うぅ!」

 狙い違わず3人の胸に命中。
 床に膝をつき、蹲ってしまった。

「まずい! 武志、防御結界だ。時間を稼ぐんだ!」

「っ!」

 橘にはまだ余裕がある。
 武志ともう1人もまだ動けている。

「……」

 少しばかり投石の威力が足りなかったようだ。
 なら、次でしっかりと眠ってもらおう。

 意識を刈り取るべく3人に接近。

 うん?
 薄い膜があるな。
 これが防御結界か。

 今までの半球状の結界とは異なり平面の結界で範囲も狭い。
 ただ、こんなに素早く展開できるとは……。

 大したものだ。
 が、これは脆い。
 触れただけで破壊できてしまう。

 ほら。

 パシーーン!

 この通り。

「そんな!」

「!?」

 つぶやく武志、呆然とこちらを見つめる女性異能者に近づき、首に魔力入りの手刀をくれてやる。

「ぅ……」

「っ……」

 これで、しばらくは目を覚まさないはず。
 続いて、後ろの橘……。

 床に膝と手をついた状態で転移した!
 その先は……パソコンの並んだデスクの向こう。

「……」

 とはいえ、これも想定内。

「普通人が、こんな!」

 距離は10メートルも離れていない。
 何も問題はない。

 いや、逃げられたら問題だな。

「なっ! まさか……お前、あの時の!」

 今頃気付いたか。

「くっ! なぜだ?」

 何が?

「なぜ、邪魔をする」

「……話す必要はない」

「……」

「あんたは、ここで眠ればいい」

「……ふっ、ふふ」

 歪んでいた表情が一変。
 口の端を上げ、嗤っている。

「はは、ははは」

 狂ったか?

「まあいい。お前が相手というなら、考えがあるんだよ」

 橘がゆっくりと立ち上がり。

「くらえ!」

 その手から放たれたのは3本のナイフ。
 一瞬で消失、転移だ。

 それが対策?
 1本増えただけだろ。
 まっ、3本は厄介ではあるが、こっちも初見じゃない。

 さあ、どこからくる?

 と、ナイフの出現に備えている俺の目に入って来たのは……。

「殺してやる!」

 拳銃!?
 橘が拳銃を構えている!

「異能を使えないお前には、これが一番だ!」

 まずい!
 銃弾はまずいぞ!

「くっ!」

 前方に橘の拳銃。
 さらに、左右と後ろにナイフが出現!

 考える余裕もない。
 咄嗟に、右前に身体を!
 身体を投げ出す!

 ダン、ダン!

 と同時に、2発の銃声。
 重く暗い金属音とともに、銃弾がすぐそこをかすめていく。

 ギリギリだ!

 が、何とかなった。
 ナイフを掻いくぐり、銃弾も避けることができた。

「っ!? これも避けるのか! なら」

 ダン、ダン!

 再び火を噴き、銃弾が飛来!
 の直前に、横に跳躍して床を転がる。

「……」

 これも紙一重。
 それでも、回避に成功だ。

「くそっ!」

 今ので4発。
 残りの銃弾数は?

「この!」

 橘の指に力が入るのが見える。
 今回ははっきり見える。

 撃鉄を起こし、引き金を……。
 それを見極め、また跳躍。

 ダン、ダン!

 三度静寂を斬り裂いた銃弾が空を切り、壁に沈んでいく。

「……」

 よし!
 タイミングがつかめてきた。

 しかも、もう6発を撃ち終えている。
 残る弾数も少ないはず。

 あと1度か2度避ければ終わりだ。



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