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第4章 異能編
和見幸奈 8
幸奈をどう思っているか?
ここで、どうしてその質問を?
「……今話すことなのか?」
「異能とは関係ないけど、答えてほしい」
「……」
「どう思っているんだよ?」
理由は分からないが、武志は真剣な表情。
言葉を濁すわけには、いかないだろう。
「……大切に想っている」
「本当に?」
「ああ」
「今まで放っていたのに?」
「……ああ」
「信じていいんだな?」
「今の俺にこんなこと言う資格はないが……。それでも信じてほしい」
「そう、か……」
「……」
「それで……その、どうなんだ?」
どうとは?
「だから、あれだ……。姉さんのこと、その……好き、なのか?」
っ!
「いや、いい。やっぱり答えなくていい」
「……」
「けど、姉さんのことを大切に想っているんだよな。ただの友達じゃないよな」
「……ああ」
「もし……もし、姉さんの身に何か起きたら……」
幸奈に何かが起きる?
今の幸奈に問題が?
前回の流れでは、武志の件以外で問題などなかったはず。
ということは、可能性としての話?
「その時は力を貸してくれるか? 助けてくれるか?」
可能性だろうが何だろうが、その時はもちろん。
「言うまでもない」
「言うまでも……」
武志はそう呟いたきり、口を開かない。
そのまましばらく沈黙が続き……。
「分かったよ」
そう答えた時の武志の口調は、明らかにこれまでとは違うものになっていた。
******************************
<和見幸奈視点>
大学での2年目。
夏のあの日。
あの時。
いつも通り帰宅している途中に功己を見かけたので声をかけたのだけれど、一目見ただけで様子が変わっているのが分かった。
不思議に思いながら言葉を交してみると、功己の変化を確信することができた。
それも、わたしにとって良い変化を。
だって!
表情が違う。
わたしを見る目が違う。
言葉が違う。
よそよそしい様子なんてまったく。
全くどこにもなかったのだから。
……。
わたしが先輩に告白されたと告げてから、ずっと感じていた高い壁。
それまですっかり消えて!
ああぁ。
信じられない。
何年も変わることのなかった功己なのに。
こんな突然変わるだなんて。
……。
わたし自身の言動が原因だから、功己の他人行儀な態度は仕方ないものと諦めていた。
けど、こんなに長く続くとは思っていなかったから。
最近は、もう元の関係に戻ることなんてできないのではと思うこともあったから。
だから、本当に……本当に嬉しい。
わだかまりの無い功己の優しい笑顔。
昔のまま。
そんな功己と一緒にいられる。
幸せ。
言葉にすらできなかったこの感情を。
わたしは感じている。
うっ、ううぅ。
功己の前なので我慢したけれど。
泣きそうになってしまった。
功己……。
ねえ、功己。
どうして変わったの?
何があったの?
その理由を聞きたい。
聞きたいけど、それを口に出せば功己が元に戻ってしまう気がして……。
結局聞けなかった。
でも、でも、そんなこと聞けなくてもいい。
優しさと親しみのこもった功己の様子が嬉しすぎて、理由なんてすぐにどうでも良くなってしまったから。
それからの数日は信じられないくらい幸せな時間だった。
今まで色々あったわたしへのご褒美かな、なんて思うくらい。
沢山の辛いことを忘れてしまえるくらい。
そんな日々を過ごしていたからだろう。
気づけば、わたしの中に欲が生まれていた。
功己の気持ちを知りたい。
確かめたい。
それで、もし功己がわたしに好意を持っていてくれたら……。
その時は……。
……。
あの日以来、聞けなくなってしまった功己の気持ち。
あの日、確認した功己の気持ち。
あの時は……。
はっきり告白したわけじゃなかった。
かなり遠回しな形だった。
けど、功己はわたしが他の人と付き合うのを止めてはくれなかった。
だから、功己はわたしのことを女性として見ていないんだと、そう思っていた。
悲しかった。
でも、本当にそうなのかな?
功己はわたしの真意に気づいていなかっただけ。
そう思っちゃ駄目かな?
最近の功己の態度を見ていると、そんなことを考えてしまう。
……。
家では何も言えない私なのに。
功己に対しては、どこまでもわがまま。
わがままを抑えられない。
今度こそは、はっきりと功己の気持ちを!
知りたい。
でも、知りたくない。
……。
もし断られたら、今度こそふたりの関係は壊れてしまう。
やっと功己との関係が元に戻ったのに。
こわい、怖い!
知りたいのに、知るのが怖い。
ふたつの想いに心が張り裂けそう。
ここで、どうしてその質問を?
「……今話すことなのか?」
「異能とは関係ないけど、答えてほしい」
「……」
「どう思っているんだよ?」
理由は分からないが、武志は真剣な表情。
言葉を濁すわけには、いかないだろう。
「……大切に想っている」
「本当に?」
「ああ」
「今まで放っていたのに?」
「……ああ」
「信じていいんだな?」
「今の俺にこんなこと言う資格はないが……。それでも信じてほしい」
「そう、か……」
「……」
「それで……その、どうなんだ?」
どうとは?
「だから、あれだ……。姉さんのこと、その……好き、なのか?」
っ!
「いや、いい。やっぱり答えなくていい」
「……」
「けど、姉さんのことを大切に想っているんだよな。ただの友達じゃないよな」
「……ああ」
「もし……もし、姉さんの身に何か起きたら……」
幸奈に何かが起きる?
今の幸奈に問題が?
前回の流れでは、武志の件以外で問題などなかったはず。
ということは、可能性としての話?
「その時は力を貸してくれるか? 助けてくれるか?」
可能性だろうが何だろうが、その時はもちろん。
「言うまでもない」
「言うまでも……」
武志はそう呟いたきり、口を開かない。
そのまましばらく沈黙が続き……。
「分かったよ」
そう答えた時の武志の口調は、明らかにこれまでとは違うものになっていた。
******************************
<和見幸奈視点>
大学での2年目。
夏のあの日。
あの時。
いつも通り帰宅している途中に功己を見かけたので声をかけたのだけれど、一目見ただけで様子が変わっているのが分かった。
不思議に思いながら言葉を交してみると、功己の変化を確信することができた。
それも、わたしにとって良い変化を。
だって!
表情が違う。
わたしを見る目が違う。
言葉が違う。
よそよそしい様子なんてまったく。
全くどこにもなかったのだから。
……。
わたしが先輩に告白されたと告げてから、ずっと感じていた高い壁。
それまですっかり消えて!
ああぁ。
信じられない。
何年も変わることのなかった功己なのに。
こんな突然変わるだなんて。
……。
わたし自身の言動が原因だから、功己の他人行儀な態度は仕方ないものと諦めていた。
けど、こんなに長く続くとは思っていなかったから。
最近は、もう元の関係に戻ることなんてできないのではと思うこともあったから。
だから、本当に……本当に嬉しい。
わだかまりの無い功己の優しい笑顔。
昔のまま。
そんな功己と一緒にいられる。
幸せ。
言葉にすらできなかったこの感情を。
わたしは感じている。
うっ、ううぅ。
功己の前なので我慢したけれど。
泣きそうになってしまった。
功己……。
ねえ、功己。
どうして変わったの?
何があったの?
その理由を聞きたい。
聞きたいけど、それを口に出せば功己が元に戻ってしまう気がして……。
結局聞けなかった。
でも、でも、そんなこと聞けなくてもいい。
優しさと親しみのこもった功己の様子が嬉しすぎて、理由なんてすぐにどうでも良くなってしまったから。
それからの数日は信じられないくらい幸せな時間だった。
今まで色々あったわたしへのご褒美かな、なんて思うくらい。
沢山の辛いことを忘れてしまえるくらい。
そんな日々を過ごしていたからだろう。
気づけば、わたしの中に欲が生まれていた。
功己の気持ちを知りたい。
確かめたい。
それで、もし功己がわたしに好意を持っていてくれたら……。
その時は……。
……。
あの日以来、聞けなくなってしまった功己の気持ち。
あの日、確認した功己の気持ち。
あの時は……。
はっきり告白したわけじゃなかった。
かなり遠回しな形だった。
けど、功己はわたしが他の人と付き合うのを止めてはくれなかった。
だから、功己はわたしのことを女性として見ていないんだと、そう思っていた。
悲しかった。
でも、本当にそうなのかな?
功己はわたしの真意に気づいていなかっただけ。
そう思っちゃ駄目かな?
最近の功己の態度を見ていると、そんなことを考えてしまう。
……。
家では何も言えない私なのに。
功己に対しては、どこまでもわがまま。
わがままを抑えられない。
今度こそは、はっきりと功己の気持ちを!
知りたい。
でも、知りたくない。
……。
もし断られたら、今度こそふたりの関係は壊れてしまう。
やっと功己との関係が元に戻ったのに。
こわい、怖い!
知りたいのに、知るのが怖い。
ふたつの想いに心が張り裂けそう。
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