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第4章 異能編
開戦
ベールを外したセレス様を見て、「白と黒」と呟いたフォルディさん。
白は当然、セレス様のことを指しているのだろう。
なら、黒は何なんだ?
まさか、俺?
いや、それはおかしいな。
フォルディさんが俺のことを黒なんて表現したことは、これまで一度もないのだから。
しかし、だとしたら……。
「そりゃあ、見惚れるよなぁ。何といっても、セレス様の美しさは特別だからさ」
うん?
ああ、フォルディさんが見惚れたって話か。
「アル、何を言っているのですか」
「えっ? 本当のことですよ」
「アル……」
「アル君の言う通りです。セレス様のお姿に、思わず見惚れてしまいました」
「……」
「すみません。失礼だとは分かっているのですが、つい」
「フォルディさん、そんなこと……」
「セレス様の美しさに魅了されない者はいないと、わたしも思いますよ」
「シアまで何を言い出すの!」
「セレス様、これは本当のことですから」
「そうです、そうです!」
「もう……」
微笑ましい会話のはずなのに、フォルディさんの顔には影が差している。
「……お茶にしましょ。シア、準備はまだかしら」
「ここに、できておりますよ」
「それなら、お出しして」
「はい。コーキ先生、フォルディさん。お茶菓子と一緒にお召し上がりください」
「シア、ありがとう」
「……ありがとうございます」
その後。
お茶を飲みながら世間話をして時間を過ごしたのだが、フォルディさんだけは心ここにあらずという様子だった。
さりげなく白と黒について聞いても、言葉を濁すだけだった。
やはり、何かあるのか?
フォルディさんのことは疑いたくないが……。
いや、ここは慎重に考えないといけないぞ。
何と言っても、セレス様はテポレン山で命を狙われているんだ。
些細なことでも見逃せない。
とはいえ……。
フォルディさんをはじめ、エンノアの人たちがセレス様に害意を持っているとも思えない。
「……」
気をつけるしかないか。
ああ、今後は少し気をつけながらフォルディさんとエンノアの様子を見ることにしよう。
「では、ボクはこれで失礼します」
「もう帰られるのですか?」
「すみません、少し用事がありまして……」
「それでしたら仕方ありませんね。シア、お見送りを」
「はい」
フォルディさんが帰るというなら。
「私もお暇しますね」
「コーキさんも、このあと御用が?」
「いえ……」
用事という程じゃない。
フォルディさんに話を聞こうと思っただけだ。
まっ、さっきの様子だと何も答えてくれないだろうけれど。
「でしたら、少しお時間をいただけないでしょうか?」
ん?
珍しいな。
セレス様がこんなことを言うなんて。
「……ええ。問題ありません」
「よかった」
「実は、話がありまして」
屋敷をあとにするフォルディさんを玄関で見送り、さっきの部屋に戻ると。
さっそくセレス様が切り出してきた。
「はい?」
「それは……」
「セレス様、わたしからお話しましょうか?」
「そうね。お願いするわ、シア」
「はい、お任せください」
何の話だ?
「話というのはワディンの情勢についてです」
「……」
「ここまで、わたしたちを助けていただいたコーキ先生にはお伝えした方が良いと思いまして」
「……なるほど」
この世界の貴族家の事情に興味はないし、しばらくは関わるつもりもなかったが、セレス様の家となるとそうも言ってられない。
「わたしたちが得た情報によりますと……。ワディン領都近郊でレザンジュ王軍との戦闘が始まったようです」
そうか。
ついに始まったか。
白は当然、セレス様のことを指しているのだろう。
なら、黒は何なんだ?
まさか、俺?
いや、それはおかしいな。
フォルディさんが俺のことを黒なんて表現したことは、これまで一度もないのだから。
しかし、だとしたら……。
「そりゃあ、見惚れるよなぁ。何といっても、セレス様の美しさは特別だからさ」
うん?
ああ、フォルディさんが見惚れたって話か。
「アル、何を言っているのですか」
「えっ? 本当のことですよ」
「アル……」
「アル君の言う通りです。セレス様のお姿に、思わず見惚れてしまいました」
「……」
「すみません。失礼だとは分かっているのですが、つい」
「フォルディさん、そんなこと……」
「セレス様の美しさに魅了されない者はいないと、わたしも思いますよ」
「シアまで何を言い出すの!」
「セレス様、これは本当のことですから」
「そうです、そうです!」
「もう……」
微笑ましい会話のはずなのに、フォルディさんの顔には影が差している。
「……お茶にしましょ。シア、準備はまだかしら」
「ここに、できておりますよ」
「それなら、お出しして」
「はい。コーキ先生、フォルディさん。お茶菓子と一緒にお召し上がりください」
「シア、ありがとう」
「……ありがとうございます」
その後。
お茶を飲みながら世間話をして時間を過ごしたのだが、フォルディさんだけは心ここにあらずという様子だった。
さりげなく白と黒について聞いても、言葉を濁すだけだった。
やはり、何かあるのか?
フォルディさんのことは疑いたくないが……。
いや、ここは慎重に考えないといけないぞ。
何と言っても、セレス様はテポレン山で命を狙われているんだ。
些細なことでも見逃せない。
とはいえ……。
フォルディさんをはじめ、エンノアの人たちがセレス様に害意を持っているとも思えない。
「……」
気をつけるしかないか。
ああ、今後は少し気をつけながらフォルディさんとエンノアの様子を見ることにしよう。
「では、ボクはこれで失礼します」
「もう帰られるのですか?」
「すみません、少し用事がありまして……」
「それでしたら仕方ありませんね。シア、お見送りを」
「はい」
フォルディさんが帰るというなら。
「私もお暇しますね」
「コーキさんも、このあと御用が?」
「いえ……」
用事という程じゃない。
フォルディさんに話を聞こうと思っただけだ。
まっ、さっきの様子だと何も答えてくれないだろうけれど。
「でしたら、少しお時間をいただけないでしょうか?」
ん?
珍しいな。
セレス様がこんなことを言うなんて。
「……ええ。問題ありません」
「よかった」
「実は、話がありまして」
屋敷をあとにするフォルディさんを玄関で見送り、さっきの部屋に戻ると。
さっそくセレス様が切り出してきた。
「はい?」
「それは……」
「セレス様、わたしからお話しましょうか?」
「そうね。お願いするわ、シア」
「はい、お任せください」
何の話だ?
「話というのはワディンの情勢についてです」
「……」
「ここまで、わたしたちを助けていただいたコーキ先生にはお伝えした方が良いと思いまして」
「……なるほど」
この世界の貴族家の事情に興味はないし、しばらくは関わるつもりもなかったが、セレス様の家となるとそうも言ってられない。
「わたしたちが得た情報によりますと……。ワディン領都近郊でレザンジュ王軍との戦闘が始まったようです」
そうか。
ついに始まったか。
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