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第4章 異能編
修練
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どれだけの時間が流れたのか分からない。
ただ、この疲労感は並じゃない。
油断すれば、そのまま意識を失ってしまいそうになる。
これ以上は……。
『ふむ。こんなものかのう』
限界が近いと感じていたところで。
トトメリウス様から溢れている神気が変わった。
と同時に。
今までの圧迫感が嘘のように消え去って……。
「はぁ、はぁ、はぁ」
圧迫感がなくなっている。
身体も動く。
それでも……。
ちょっと信じられないほど力が入らない。
損耗が酷い。
『しばし、休むが好い』
お言葉に甘えるしかない。
けど、その前に。
「……トトメリウス様、今のは?」
『一種の修練じゃな。これに克つことができれば、心胆を弄ばれることも無くなろう。其方、この地に留まって続けるかの?』
やっぱり!
ある程度、分かっていたこととはいえ、トトメリウス様が俺のために。
俺の精神修養のために、わざわざ力を。
ありがたい。
本当にありがたいことだ。
「……」
ただ、だからと言って、この圧迫感に打ち勝つことができるかというと、それは別の話だ。
光明が見え、進むべき道が明らかになった後の俺でも、全くどうすることもできなかったのだから。
『気が進まぬなら、やめても良いぞ』
「いえ!」
自信は持てないが、迷うことじゃない。
『ふむ』
やるしかない。
いや、喜んでやらせてもらおう。
こんな修練など、他では考えられないことなんだ。
あり得ない程の幸運なんだ。
「クゥーン」
いまだ立ち上がれない俺にノワールが身を寄せ、頬を舐めてくれる。
想いが伝わってくる。
おまえ……優しいな。
よし!
「トトメリウス様!」
ぜひ、お願いします。
トトメリウス様からのありがたい提案を受け入れた後。
魔落にとどまり、手解きを受けながら修練を続けることになった俺。
とはいえ、四六時中トトメリウス様が傍にいてくださるわけではない。
ひとりでいる際はイメージトレーニングをすることで、あの圧迫感に打ち勝つべく時間を過ごす日々。
そう、日々なのだ。
このような修練が数時間で終わるはずがない。
ある程度の目処が立つまでは何日でもここに滞在することを許されたので、ノワールと一緒に魔落での修練の日々を過ごすことになったというわけだ。
そんな魔落での時間の過ごし方はというと。
1日に数回は、トトメリウス様からの指導を受け。
残りの時間には、トトメリウス様が教授してくださったイメージトレーニングを行い。
さらに数時間は、身体の鍛錬や魔物との戦闘を行っている
鍛錬や戦闘を行っているのは、長時間連続の精神修養は効率が良くないとトトメリウス様から教えていただいたから。
ほんと、何かな何までお世話になりっぱなし。
ありがたくも畏れ多いことだよ。
ところで、トトメリウス様の神域でもある魔落で、魔物を狩っても良いものなのか?
今さらではあるものの、どうしても罪悪感を覚えてしまうのでお尋ねしたところ、そこは全く気にする必要はないとのことだった。
それならと、多少は遠慮しながらも戦闘を続けさせてもらっている。
右を見ても左を見ても、目に入ってくるのは岩と砂ばかり。
むき出しの岩肌、ざらついた地面。
そんな荒漠とした地が仄かな光に照らされている。
「……」
寂寥とした地にひとり。
目を閉じたまま座り、ただひたすらに頭の中でイメージを繰り返す。
「……」
トトメリウス様がおられるあの白い空間とは異なり、ここでは僅かながらも空気が流れている。
その流れが風となり。
魔落の、濃密で魔力が纏わりついたような生ぬるい空気を俺の頬に送りつけてくる。
そんなものに気を取られてしまう。
「……」
まだまだ修行が足りないな。
再び集中し、イメージを……。
繰り返す。
ただ、ひたすら繰り返す。
……。
……。
……。
……。
……。
「クゥーン」
「……」
「クゥーン」
「……」
「アン!」
「……ノワール、どうした?」
ノワールが頭を俺の胸や顔に押し当ててくる。
「クゥーン」
濡羽色の綺麗な毛並みが心地いいな。
「アン、アン」
「トトメリウス様が呼んでいるのか?」
ノワールと長い時間ともに過ごすようになったからか、今では何となくその意思も読み取れるようになった気がする。
とはいえ、こちらの意図をほぼ完璧に読解できるノワールとは違い、俺はまだ単純な内容しか読み取れていない。
「アン」
「そうか。じゃあ、行くか」
俺がトトメリウス様の白い神域を訪れるには、境界地点ともいえるあの場所を経由する必要がある。
まあ、すぐそこなのだが。
『よかろう』
トトメリウス様のそのお言葉で圧迫感が霧散する。
『いまだ不完全とはいえ、ここまで耐えることができれば大きな問題はなかろうて』
「ありがとうございます」
トトメリウス様の精神圧迫。
最初の頃は全く動けなかったのだが、今はなんとか身体を動かすことができるようになっている。
『ふむ。そろそろ、頃合いかのう』
「……」
ここで修練を始めてから、かなりの日数が経過した。
完全に克服したなんて、とても言えたものじゃないが、それでもそれなりの耐性が身に付いたという実感はある。
今なら、揺魂にも対処可能。
そう思える程度には、成長したような気がするかな。
まあ、本音を言うと、まだここで修練していたい気持ちもあるのだが、いつまでもトトメリウス様の手を煩わすわけにもいかない。
ちょうど好い頃合いか。
『戻るがよい』
「……はい」
時間の概念のないこの空間。
修練するには最高の場所だったよ。
本当に……。
「トトメリウス様、これまで、ありがとうございました」
『ふむ……。あの麓で良いかの?』
「はい。よろしくお願いいたします」
ただ、この疲労感は並じゃない。
油断すれば、そのまま意識を失ってしまいそうになる。
これ以上は……。
『ふむ。こんなものかのう』
限界が近いと感じていたところで。
トトメリウス様から溢れている神気が変わった。
と同時に。
今までの圧迫感が嘘のように消え去って……。
「はぁ、はぁ、はぁ」
圧迫感がなくなっている。
身体も動く。
それでも……。
ちょっと信じられないほど力が入らない。
損耗が酷い。
『しばし、休むが好い』
お言葉に甘えるしかない。
けど、その前に。
「……トトメリウス様、今のは?」
『一種の修練じゃな。これに克つことができれば、心胆を弄ばれることも無くなろう。其方、この地に留まって続けるかの?』
やっぱり!
ある程度、分かっていたこととはいえ、トトメリウス様が俺のために。
俺の精神修養のために、わざわざ力を。
ありがたい。
本当にありがたいことだ。
「……」
ただ、だからと言って、この圧迫感に打ち勝つことができるかというと、それは別の話だ。
光明が見え、進むべき道が明らかになった後の俺でも、全くどうすることもできなかったのだから。
『気が進まぬなら、やめても良いぞ』
「いえ!」
自信は持てないが、迷うことじゃない。
『ふむ』
やるしかない。
いや、喜んでやらせてもらおう。
こんな修練など、他では考えられないことなんだ。
あり得ない程の幸運なんだ。
「クゥーン」
いまだ立ち上がれない俺にノワールが身を寄せ、頬を舐めてくれる。
想いが伝わってくる。
おまえ……優しいな。
よし!
「トトメリウス様!」
ぜひ、お願いします。
トトメリウス様からのありがたい提案を受け入れた後。
魔落にとどまり、手解きを受けながら修練を続けることになった俺。
とはいえ、四六時中トトメリウス様が傍にいてくださるわけではない。
ひとりでいる際はイメージトレーニングをすることで、あの圧迫感に打ち勝つべく時間を過ごす日々。
そう、日々なのだ。
このような修練が数時間で終わるはずがない。
ある程度の目処が立つまでは何日でもここに滞在することを許されたので、ノワールと一緒に魔落での修練の日々を過ごすことになったというわけだ。
そんな魔落での時間の過ごし方はというと。
1日に数回は、トトメリウス様からの指導を受け。
残りの時間には、トトメリウス様が教授してくださったイメージトレーニングを行い。
さらに数時間は、身体の鍛錬や魔物との戦闘を行っている
鍛錬や戦闘を行っているのは、長時間連続の精神修養は効率が良くないとトトメリウス様から教えていただいたから。
ほんと、何かな何までお世話になりっぱなし。
ありがたくも畏れ多いことだよ。
ところで、トトメリウス様の神域でもある魔落で、魔物を狩っても良いものなのか?
今さらではあるものの、どうしても罪悪感を覚えてしまうのでお尋ねしたところ、そこは全く気にする必要はないとのことだった。
それならと、多少は遠慮しながらも戦闘を続けさせてもらっている。
右を見ても左を見ても、目に入ってくるのは岩と砂ばかり。
むき出しの岩肌、ざらついた地面。
そんな荒漠とした地が仄かな光に照らされている。
「……」
寂寥とした地にひとり。
目を閉じたまま座り、ただひたすらに頭の中でイメージを繰り返す。
「……」
トトメリウス様がおられるあの白い空間とは異なり、ここでは僅かながらも空気が流れている。
その流れが風となり。
魔落の、濃密で魔力が纏わりついたような生ぬるい空気を俺の頬に送りつけてくる。
そんなものに気を取られてしまう。
「……」
まだまだ修行が足りないな。
再び集中し、イメージを……。
繰り返す。
ただ、ひたすら繰り返す。
……。
……。
……。
……。
……。
「クゥーン」
「……」
「クゥーン」
「……」
「アン!」
「……ノワール、どうした?」
ノワールが頭を俺の胸や顔に押し当ててくる。
「クゥーン」
濡羽色の綺麗な毛並みが心地いいな。
「アン、アン」
「トトメリウス様が呼んでいるのか?」
ノワールと長い時間ともに過ごすようになったからか、今では何となくその意思も読み取れるようになった気がする。
とはいえ、こちらの意図をほぼ完璧に読解できるノワールとは違い、俺はまだ単純な内容しか読み取れていない。
「アン」
「そうか。じゃあ、行くか」
俺がトトメリウス様の白い神域を訪れるには、境界地点ともいえるあの場所を経由する必要がある。
まあ、すぐそこなのだが。
『よかろう』
トトメリウス様のそのお言葉で圧迫感が霧散する。
『いまだ不完全とはいえ、ここまで耐えることができれば大きな問題はなかろうて』
「ありがとうございます」
トトメリウス様の精神圧迫。
最初の頃は全く動けなかったのだが、今はなんとか身体を動かすことができるようになっている。
『ふむ。そろそろ、頃合いかのう』
「……」
ここで修練を始めてから、かなりの日数が経過した。
完全に克服したなんて、とても言えたものじゃないが、それでもそれなりの耐性が身に付いたという実感はある。
今なら、揺魂にも対処可能。
そう思える程度には、成長したような気がするかな。
まあ、本音を言うと、まだここで修練していたい気持ちもあるのだが、いつまでもトトメリウス様の手を煩わすわけにもいかない。
ちょうど好い頃合いか。
『戻るがよい』
「……はい」
時間の概念のないこの空間。
修練するには最高の場所だったよ。
本当に……。
「トトメリウス様、これまで、ありがとうございました」
『ふむ……。あの麓で良いかの?』
「はい。よろしくお願いいたします」
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