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第5章 王都編
襲撃 2
「えっ!?」
「嘘だろ!?」
「そんな!!」
盗賊が現れたという御者の言葉に騒然とする車内。
悲鳴を上げている女性もいる。
「でも、盗賊なんて見えないぞ」
「音も聞こえないわ」
乗客の中には疑問の声も。
「かなり距離がありますので、詳しい状況は分かりません」
「なら、盗賊がいない可能性もあるのか?」
「そうよ、勘違いじゃないの?」
「それも分からない現状ですので、しばらくは停車して様子を見ることになります」
「……」
「……」
「……」
「まずは、護衛の者が様子を見に向かいます」
「……それで?」
「どうするんだ?」
「問題がないようなら馬車を進めます。安全な運行が不可能と判断した場合は……やむを得ません。このまま引き返すことになるでしょう」
「っ!」
「王都に着けないのか?」
「そんな! 予定があるのに」
「でも、仕方ないだろ」
「そうだ。命が大事だ」
喧騒は収まりそうにない。
「では、事実が判明するまで、しばらくお待ちください」
御者はそう告げて、席に戻って行った。
護衛とジンクは、今にも外に出ようとしている。
なら、俺も。
「ウィルさん、ここで待っていてください」
「はい、お気を付けて」
「ありがとうございます」
理解が早くて助かるな。
さて、野盗はというと……。
気配からはそれ程の強者はいないと感じられる。
数は多いが、今の俺なら問題はないはず。
「クゥーン」
ノワールには、残ってもらうか。
「ウィルさんを護ってくれよ」
「アン!」
こいつがいれば安心だな。
一足先に外に出ていた、ジンクに追いつくと。
「兄さんも行くのか?」
驚いた表情も見せず問いかけてくる。
「ええ、私も様子を見に行きます」
「無理しなくてもいいんだぜ。オレと護衛で行ってくるからよ」
賊が出たら自分が対処してやる、護ってやるみたいなこと言ってたからな。
自信があるんだろう。
けど、ジンクは料理人じゃないのか。
実は冒険者だとか?
「どうする?」
「私も行きますよ」
「そうかい。じゃあ、早く行こうぜ」
「はい」
ということで、俺とジンクと馬車の護衛の3人で現場に向かうことになった。
しばらく走っていると……。
前方で砂煙が上がっているのが目に入ってくる。
音も聞こえるな。
絶叫、悲鳴、怒号のような大きな声。
「少し急ぎましょうか」
「ああ」
「了解だ」
走る速度を上げても、2人とも俺から離れることはない。
見るからに鍛え抜かれた身体をしている護衛は分かるんだが、ジンクも口だけではないようだ。
まっ、その気配である程度は分かっていたんだけど……。
と!
これまでにない激しい音と光が?
「おい、見たか?」
「光りましたね」
前方に見えたのは魔法らしき光。
襲撃者か迎撃者の中に魔法を使える者がいるってことか。
おっ、また光った!
迎撃の魔法なら良いのだが、襲撃者の中に魔法を使えるものが複数いるとなると……。
ちょっと厄介だな。
その思いは、ふたりの顔にも表れている。
とはいえ、やることは同じか。
さらに進んだところで。
「……馬車が襲われているようだぜ」
「そのようだな」
「ええ」
立ち止まったジンクの言葉に護衛と俺が頷く。
「間違いない、野盗だ」
現場は、もう遠くない。
ここからだと、それなりに視認もできる。
ジンクの言葉通り、あれは野盗の襲撃だろう。
「どうします?」
野盗たちは、こちらの接近には気づいていないようだが。
「野盗の数は……30人はいる」
警戒心をあらわにする護衛の人。
「襲われている者でまだ動けてるのは5人くらいだな。馬車の中にも何人かいるかもしれねえがよ」
ジンクは普段と変わらないか。
「それで、どうしましょう?」
この場の責任者は護衛のこの人。
まずは彼の意見を聞くべき。
「多勢過ぎる。引き返すしかない」
妥当な判断だ。
「ジンクさんは?」
「兄さんと同じじゃねえの」
助けに行く気だな。
「そうですか。では、助けに行きましょうか」
「おう」
余裕の顔つきで答えるジンク。
やっぱり、普通の料理人じゃない。
「おい、待て。この人数では無理だ。それに、馬車の方にも連絡しないといけないんだぞ」
対して、護衛は焦った表情。
これが普通だ。
「あなたは馬車に戻って待機、いや、グラスブル方面に少しばかり後退しておいてください」
「……」
「心配要らねえぞ。オレがいるんだからよ。それに、この兄さんもやるみたいだぜ」
いやいや、何も知らないだろ、俺のこと。
「……本当にいいのか?」
「もちろん」
「そうか……。分かった」
不承不承ではあるが納得してくれたようだ。
「状況が落ち着き次第、馬車に連絡に向かいます。ですが、もし1刻以上経過しても、私たちが現れないようなら、ひとまずグラスブルに戻ってください」
「了解した。無理はするなよ」
「ありがとうございます。では、時間もありませんので、ここからは別行動です。馬車の方、よろしくお願いしますね」
「ああ、了解だ。では、戻るぞ」
「はい」
静かに馬車に向かって駆け出していく護衛の人。
「こっちも行こうぜ!」
「何か先戦は?」
「兄さん、魔法使えんだろ。まずは、1発派手にやってくれ」
どうして分かる?
って、今はそんなこと考えている場合じゃないか。
「ジンクさんは、どうなんです?」
「少しなら使えるからよ、兄さんの後に撃ち込んでやるわ」
「……分かりました。では、もう少し近づきましょう」
「りょーかい」
察知されないように、ふたりで接近。
襲撃現場までは残り50メートル弱。
剣戟の合間に魔法の炸裂音も響いてくる。
魔法を放っているのは……迎撃側のようだな。
「回り込みますよ」
街道を少しだけ外れ、迂回しながら接近する。
この辺りは砂と岩ばかりで、植物は僅かばかり生えている程度。
なので、岩陰を渡り近づく。
残り僅か。
まだ気づかれてはいないようだ。
現場は……。
盗賊たちが迫る中、5人の迎撃者が馬車を背に必死に戦っている。
その姿は見事なもの。
とはいえ、崩れるのも時間の問題か。
「嘘だろ!?」
「そんな!!」
盗賊が現れたという御者の言葉に騒然とする車内。
悲鳴を上げている女性もいる。
「でも、盗賊なんて見えないぞ」
「音も聞こえないわ」
乗客の中には疑問の声も。
「かなり距離がありますので、詳しい状況は分かりません」
「なら、盗賊がいない可能性もあるのか?」
「そうよ、勘違いじゃないの?」
「それも分からない現状ですので、しばらくは停車して様子を見ることになります」
「……」
「……」
「……」
「まずは、護衛の者が様子を見に向かいます」
「……それで?」
「どうするんだ?」
「問題がないようなら馬車を進めます。安全な運行が不可能と判断した場合は……やむを得ません。このまま引き返すことになるでしょう」
「っ!」
「王都に着けないのか?」
「そんな! 予定があるのに」
「でも、仕方ないだろ」
「そうだ。命が大事だ」
喧騒は収まりそうにない。
「では、事実が判明するまで、しばらくお待ちください」
御者はそう告げて、席に戻って行った。
護衛とジンクは、今にも外に出ようとしている。
なら、俺も。
「ウィルさん、ここで待っていてください」
「はい、お気を付けて」
「ありがとうございます」
理解が早くて助かるな。
さて、野盗はというと……。
気配からはそれ程の強者はいないと感じられる。
数は多いが、今の俺なら問題はないはず。
「クゥーン」
ノワールには、残ってもらうか。
「ウィルさんを護ってくれよ」
「アン!」
こいつがいれば安心だな。
一足先に外に出ていた、ジンクに追いつくと。
「兄さんも行くのか?」
驚いた表情も見せず問いかけてくる。
「ええ、私も様子を見に行きます」
「無理しなくてもいいんだぜ。オレと護衛で行ってくるからよ」
賊が出たら自分が対処してやる、護ってやるみたいなこと言ってたからな。
自信があるんだろう。
けど、ジンクは料理人じゃないのか。
実は冒険者だとか?
「どうする?」
「私も行きますよ」
「そうかい。じゃあ、早く行こうぜ」
「はい」
ということで、俺とジンクと馬車の護衛の3人で現場に向かうことになった。
しばらく走っていると……。
前方で砂煙が上がっているのが目に入ってくる。
音も聞こえるな。
絶叫、悲鳴、怒号のような大きな声。
「少し急ぎましょうか」
「ああ」
「了解だ」
走る速度を上げても、2人とも俺から離れることはない。
見るからに鍛え抜かれた身体をしている護衛は分かるんだが、ジンクも口だけではないようだ。
まっ、その気配である程度は分かっていたんだけど……。
と!
これまでにない激しい音と光が?
「おい、見たか?」
「光りましたね」
前方に見えたのは魔法らしき光。
襲撃者か迎撃者の中に魔法を使える者がいるってことか。
おっ、また光った!
迎撃の魔法なら良いのだが、襲撃者の中に魔法を使えるものが複数いるとなると……。
ちょっと厄介だな。
その思いは、ふたりの顔にも表れている。
とはいえ、やることは同じか。
さらに進んだところで。
「……馬車が襲われているようだぜ」
「そのようだな」
「ええ」
立ち止まったジンクの言葉に護衛と俺が頷く。
「間違いない、野盗だ」
現場は、もう遠くない。
ここからだと、それなりに視認もできる。
ジンクの言葉通り、あれは野盗の襲撃だろう。
「どうします?」
野盗たちは、こちらの接近には気づいていないようだが。
「野盗の数は……30人はいる」
警戒心をあらわにする護衛の人。
「襲われている者でまだ動けてるのは5人くらいだな。馬車の中にも何人かいるかもしれねえがよ」
ジンクは普段と変わらないか。
「それで、どうしましょう?」
この場の責任者は護衛のこの人。
まずは彼の意見を聞くべき。
「多勢過ぎる。引き返すしかない」
妥当な判断だ。
「ジンクさんは?」
「兄さんと同じじゃねえの」
助けに行く気だな。
「そうですか。では、助けに行きましょうか」
「おう」
余裕の顔つきで答えるジンク。
やっぱり、普通の料理人じゃない。
「おい、待て。この人数では無理だ。それに、馬車の方にも連絡しないといけないんだぞ」
対して、護衛は焦った表情。
これが普通だ。
「あなたは馬車に戻って待機、いや、グラスブル方面に少しばかり後退しておいてください」
「……」
「心配要らねえぞ。オレがいるんだからよ。それに、この兄さんもやるみたいだぜ」
いやいや、何も知らないだろ、俺のこと。
「……本当にいいのか?」
「もちろん」
「そうか……。分かった」
不承不承ではあるが納得してくれたようだ。
「状況が落ち着き次第、馬車に連絡に向かいます。ですが、もし1刻以上経過しても、私たちが現れないようなら、ひとまずグラスブルに戻ってください」
「了解した。無理はするなよ」
「ありがとうございます。では、時間もありませんので、ここからは別行動です。馬車の方、よろしくお願いしますね」
「ああ、了解だ。では、戻るぞ」
「はい」
静かに馬車に向かって駆け出していく護衛の人。
「こっちも行こうぜ!」
「何か先戦は?」
「兄さん、魔法使えんだろ。まずは、1発派手にやってくれ」
どうして分かる?
って、今はそんなこと考えている場合じゃないか。
「ジンクさんは、どうなんです?」
「少しなら使えるからよ、兄さんの後に撃ち込んでやるわ」
「……分かりました。では、もう少し近づきましょう」
「りょーかい」
察知されないように、ふたりで接近。
襲撃現場までは残り50メートル弱。
剣戟の合間に魔法の炸裂音も響いてくる。
魔法を放っているのは……迎撃側のようだな。
「回り込みますよ」
街道を少しだけ外れ、迂回しながら接近する。
この辺りは砂と岩ばかりで、植物は僅かばかり生えている程度。
なので、岩陰を渡り近づく。
残り僅か。
まだ気づかれてはいないようだ。
現場は……。
盗賊たちが迫る中、5人の迎撃者が馬車を背に必死に戦っている。
その姿は見事なもの。
とはいえ、崩れるのも時間の問題か。
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