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第5章 王都編
王都 2
美しき白の都、白都キュベルリア。
白都へと通じる時忘門。
ウィルさんからもジンクからも馬車の中でさんざん話を聞いていたのに、残念ながら俺たちの到着した時間では、その感動を味わうことができなかった。
それでもまあ、薄暮の中にうっすらと浮かび上がる白亜宮を眺めることができただけでも良かったのかな。
時は忘れなかったけれど、宮城の威容を感じ取ることができたような気がするから。
しかし……。
この街は本当に上手く設計されているよな。
それに、立地も素晴らしい。
王都の南と東には大きな河が流れ、西は湿地帯、東から北東にかけては山地が広がっている。天然の要害であり、自然の恵みの宝庫でもある白都。
ちなみに、この南と東の大河の水で作られた水路が街のいたる所で見られるらしい。これもまた、キュベルリアの名物だと。
美しく整備され、自然に恵まれ、要害でもある。
白都の真の姿を見ることができる明日が楽しみだな。
翌朝。
この旅の間も欠かさず続けている日課の鍛練を終え、宿の食堂でウィルさんと朝食をいただく。
「さすが王都といった宿ですね」
「ええ、居心地の良い宿が取れて幸運でした」
王都到着後に急いで見つけた今回の宿。
どうやら良い宿にあたったらしい。
「王都には少なくとも4日は滞在する予定ですので、落ち着ける宿でないと困りますからね」
ウィルさんは夕連亭で働いているだけあって、宿については一家言あるようだ。
そんなウィルさんが納得できる宿で良かったよ。
「それで、王都滞在中ですが、コーキさんは予定通り自由に行動してください」
「本当に良いのですか?」
「もちろんです。そういう約束でしたよね?」
「ええ、まあ……」
その話はあらかじめ聞いている。
この自由時間を使って、一度日本に戻る予定も立てている。
とはいうものの。
「王都では護衛しなくても……?」
「大丈夫ですよ。王都は治安の良い街ですし、衛兵も常に巡回しているみたいですからね。それに、深夜などは1人で出歩きませんし」
「治安の良い街なのですね」
「ええ。ですので、私の心配などせず王都を満喫してくださいね」
そういうことなら。
「では、お言葉に甘えて」
「ふふ、自由時間なのに、コーキさんは本当に真面目な方ですよね」
「はあ……」
「とにかく、こちらのことは気にせず、気楽に過ごしてください」
「分かりました」
「ということで、この話は終わりです。これから、私は王都に来た目的を果たしに行きますので。あ、そうそう、もし何か問題が起きたら、宿の受付に言伝しておいてください」
「了解しました。お気をつけて」
宿の食堂を出て部屋に戻って行くウィルさんを見送る俺は、まだ朝食後のお茶をいただいている。
「さて、これからどうしたものかな」
王都滞在中に確定している予定はというと。
明日の昼にジンクのレストランで昼食をとり、その後にエリシティア様のもとを訪れるという2件だけ。それ以外は全くの自由時間。
当然、今日は特にすることもない。
なら、ここはやはり……。
ゆっくり街を楽しむとするか。
昨日は見ることができなかった白都を満喫しよう。
「悪くないな」
異世界の王都をひとりで散策。
はは。
年甲斐もなく、心が躍ってしまうぞ。
ということで、部屋に戻り簡単に出掛ける用意をした後。
宿を出発することに。
「おおぉ」
宿の外は雲ひとつない晴天、絶好の散策日和。
最高だな。
さて。
まずは、宿から南に向かってみようかと思う。
向かうは南大門、時忘門。
昨日の王都入城の際に通った有名な大門だ。
城門をくぐった瞬間、時を忘れて立ち止まってしまうという白亜宮の眺め。
何をおいても、その眺めを確認しないといけない。
さあ、行こう!
大通りに出て、南に向かって歩を進める。
「……」
天気も良いし、気温もオルドウに比べると暑くもなく丁度いいと思える。
湿度も高くない。
本当に気持ちのいい朝だ。
気分も高揚してくるというもの。
そんな俺が今歩いている中央大通りは、時忘門から宮城まで続く王都のメインストリートらしい。
かなり道幅があるな。
50メートル近くあるんじゃないか。
人や馬車が通行するには広すぎると感じるが、これはこれで国の威信を見せつけるという点では意味があるのだろう。日本でも、平安京の朱雀大路は80メートル以上の道幅だったとか。
などと、中央大通りの広さに感心しながらも、さらに足を進める。
「……」
こう広いと、大通りの西側と東側を同時に見物するのは難しい。
なので、行きは西側を、帰りは東側を歩くことにしよう。
俺とウィルさんの滞在している宿は中央大通り沿いに存在する商業区画の一画にあり、貴族区との境界である内壁と時忘門とのちょうど中間あたりに位置している。
中央大通りは北の宮城から貴族区、一般区の中の行政区、商業区を通り、時忘門へと続いているため、あの宿は商業区の中でも北寄りの立地というわけだ。
北に行くほど地価は上がり格も上がるということだから、それなりの格式がある宿なんだろう。
宿を出て数分。
午前中のこの時間でも、中央大通りには多くの人の姿が見られる。
通行している馬車も絶えることがない。
まだ少し歩いただけなのに、その熱気に圧倒されそうだ。
この旅の途中で訪れたどの街よりも活気があり、エネルギーに満ち溢れていることは間違いないな。
ところで、往来を行き交っているのはいわゆる人族だけではない。
オルドウではあまり見かけることのなかった異種族の人たちも、大通りを普通に歩いている。
当然、俺の知らない種族の人たちも目に入ってくる。
これぞ、まさに異世界!
そう思わずにはいられない!
白都へと通じる時忘門。
ウィルさんからもジンクからも馬車の中でさんざん話を聞いていたのに、残念ながら俺たちの到着した時間では、その感動を味わうことができなかった。
それでもまあ、薄暮の中にうっすらと浮かび上がる白亜宮を眺めることができただけでも良かったのかな。
時は忘れなかったけれど、宮城の威容を感じ取ることができたような気がするから。
しかし……。
この街は本当に上手く設計されているよな。
それに、立地も素晴らしい。
王都の南と東には大きな河が流れ、西は湿地帯、東から北東にかけては山地が広がっている。天然の要害であり、自然の恵みの宝庫でもある白都。
ちなみに、この南と東の大河の水で作られた水路が街のいたる所で見られるらしい。これもまた、キュベルリアの名物だと。
美しく整備され、自然に恵まれ、要害でもある。
白都の真の姿を見ることができる明日が楽しみだな。
翌朝。
この旅の間も欠かさず続けている日課の鍛練を終え、宿の食堂でウィルさんと朝食をいただく。
「さすが王都といった宿ですね」
「ええ、居心地の良い宿が取れて幸運でした」
王都到着後に急いで見つけた今回の宿。
どうやら良い宿にあたったらしい。
「王都には少なくとも4日は滞在する予定ですので、落ち着ける宿でないと困りますからね」
ウィルさんは夕連亭で働いているだけあって、宿については一家言あるようだ。
そんなウィルさんが納得できる宿で良かったよ。
「それで、王都滞在中ですが、コーキさんは予定通り自由に行動してください」
「本当に良いのですか?」
「もちろんです。そういう約束でしたよね?」
「ええ、まあ……」
その話はあらかじめ聞いている。
この自由時間を使って、一度日本に戻る予定も立てている。
とはいうものの。
「王都では護衛しなくても……?」
「大丈夫ですよ。王都は治安の良い街ですし、衛兵も常に巡回しているみたいですからね。それに、深夜などは1人で出歩きませんし」
「治安の良い街なのですね」
「ええ。ですので、私の心配などせず王都を満喫してくださいね」
そういうことなら。
「では、お言葉に甘えて」
「ふふ、自由時間なのに、コーキさんは本当に真面目な方ですよね」
「はあ……」
「とにかく、こちらのことは気にせず、気楽に過ごしてください」
「分かりました」
「ということで、この話は終わりです。これから、私は王都に来た目的を果たしに行きますので。あ、そうそう、もし何か問題が起きたら、宿の受付に言伝しておいてください」
「了解しました。お気をつけて」
宿の食堂を出て部屋に戻って行くウィルさんを見送る俺は、まだ朝食後のお茶をいただいている。
「さて、これからどうしたものかな」
王都滞在中に確定している予定はというと。
明日の昼にジンクのレストランで昼食をとり、その後にエリシティア様のもとを訪れるという2件だけ。それ以外は全くの自由時間。
当然、今日は特にすることもない。
なら、ここはやはり……。
ゆっくり街を楽しむとするか。
昨日は見ることができなかった白都を満喫しよう。
「悪くないな」
異世界の王都をひとりで散策。
はは。
年甲斐もなく、心が躍ってしまうぞ。
ということで、部屋に戻り簡単に出掛ける用意をした後。
宿を出発することに。
「おおぉ」
宿の外は雲ひとつない晴天、絶好の散策日和。
最高だな。
さて。
まずは、宿から南に向かってみようかと思う。
向かうは南大門、時忘門。
昨日の王都入城の際に通った有名な大門だ。
城門をくぐった瞬間、時を忘れて立ち止まってしまうという白亜宮の眺め。
何をおいても、その眺めを確認しないといけない。
さあ、行こう!
大通りに出て、南に向かって歩を進める。
「……」
天気も良いし、気温もオルドウに比べると暑くもなく丁度いいと思える。
湿度も高くない。
本当に気持ちのいい朝だ。
気分も高揚してくるというもの。
そんな俺が今歩いている中央大通りは、時忘門から宮城まで続く王都のメインストリートらしい。
かなり道幅があるな。
50メートル近くあるんじゃないか。
人や馬車が通行するには広すぎると感じるが、これはこれで国の威信を見せつけるという点では意味があるのだろう。日本でも、平安京の朱雀大路は80メートル以上の道幅だったとか。
などと、中央大通りの広さに感心しながらも、さらに足を進める。
「……」
こう広いと、大通りの西側と東側を同時に見物するのは難しい。
なので、行きは西側を、帰りは東側を歩くことにしよう。
俺とウィルさんの滞在している宿は中央大通り沿いに存在する商業区画の一画にあり、貴族区との境界である内壁と時忘門とのちょうど中間あたりに位置している。
中央大通りは北の宮城から貴族区、一般区の中の行政区、商業区を通り、時忘門へと続いているため、あの宿は商業区の中でも北寄りの立地というわけだ。
北に行くほど地価は上がり格も上がるということだから、それなりの格式がある宿なんだろう。
宿を出て数分。
午前中のこの時間でも、中央大通りには多くの人の姿が見られる。
通行している馬車も絶えることがない。
まだ少し歩いただけなのに、その熱気に圧倒されそうだ。
この旅の途中で訪れたどの街よりも活気があり、エネルギーに満ち溢れていることは間違いないな。
ところで、往来を行き交っているのはいわゆる人族だけではない。
オルドウではあまり見かけることのなかった異種族の人たちも、大通りを普通に歩いている。
当然、俺の知らない種族の人たちも目に入ってくる。
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