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第6章 移ろう魂編
カーンゴルムへ 9
<セレスティーヌ視点>
「護衛がついているようだが、あの数の兵士相手に無謀だな」
「それだけ急いでるんだろ」
「うむ、先から聞こえる戦闘音にも気づいていないのか」
「さすがに、それはねえ。よっぽど急いでいるんだろうよ」
ディアナとヴァーンさんが話を続けている横では、アルが黙って外を眺めている。
ユーフィリアは私の傍らで剣を抱えて静かに座ったまま、動きもしない。
彼女は言葉が少なく私に話しかけてくることも殆どないけれど、私を護ろうと片時も離れず傍にいてくれる、心優しい護衛騎士。
どちらかというと気性の激しいディアナとは対照的……。
もちろん、ふたりとも頼りになる護衛騎士であることに変わりはない。
心からそう思っている。
「シア、私は平気ですよ」
心配そうに、こちらをずっと見つめているのはシア。
彼女は心配性なので、こういう時はいつも私のことを見ていてくれる。
可愛らしいシア。
昔から姉のように私を慕ってくれたシア。
私も彼女のことを本当の妹のように感じていたもの……。
もちろん、今も同じ。
そんなシアが私のためにしてくれたことは、とても多すぎて。
いくら感謝しても足りるものではない。
「セレス様」
そんな目で見なくても大丈夫よ。
テポレン山での経験を経て私もかなり逞しくなったのだから。
「大丈夫だから」
本当に温かく優しい子。
こんなことにならなかったら……。
彼女にはきっと幸せな未来が待っていたはずなのに。
私のせいで彼女は……。
でも、シアには幸せになってほしい。
彼女がヴァーンさんを選ぶというのなら、私は!
「セレス様はお強くなられましたね」
「……そうかしら」
「そうですよ。明るく強くなられました」
「ふふ、それなら以前の私は暗くて弱かったのね」
「えっ! そんな、そんなことないです」
ホント、慌てる顔も可愛らしい。
「意地悪言ってごめんなさいね」
「セレス様……」
「本当に変わられました」
ユーフィリアまで……。
「そうですよね、ユーフィリアさんもそう思いますよね」
「雰囲気も口調も、普段の表情も……変わられたと思います」
「セレス様、ユーフィリアさんもこう言ってますよ」
「そうね。変わったかもしれないわ。でも、ユーフィリアまで私のこと暗いと思っていたのね」
「ですから、それは違います!」
「セレス様……」
今の私はこんな時間も楽しめる余裕がある。
以前の私では考えられなかったこと。
こんな状況なのに、落ち着いて時間を過ごすことができるのだから。
「セレスさん、ちょっと外に出て様子を見てきます」
慌てたように馬車のドアを開け放つヴァーンさん。
「どうしたのですか?」
「兵士が剣を抜いたので」
「わたくしも行ってまいります。ユーフィリアはセレス様の傍を離れないように」
「了解」
「おれも行くぞ」
ヴァーンさん、ディアナに続いてアルが馬車を下りていく。
とめる暇もないほどの勢いで。
「セレス様、様子を見ましょう」
「ええ」
馬車に残った3人で窓から外を眺めてみると。
「どうしても通るというなら、ここで斬るしかないが良いのか?」
「それはおかしいでしょう。私共は急ぎの商用があるので2刻も3刻も待てないと申し上げているのですよ」
商人なのに、剣を持つ兵士に怖気づくことなく真っ向から反論を!
「どんな用事があろうと関係ない」
「でしたら、損害を賠償してくれるのですか」
「なぜそんなことをする必要がある」
「なぜって……」
「おい。埒が明かんぞ」
「そうだな」
兵士2人が剣を構えなおして!
「おいおい、それは良くないなぁ」
「なんだ、貴様は?」
商人の前に出て、今にも剣を振り下ろそうかと構えている兵士に向かって話しかけるヴァーンさん。同じように商人を庇って前に出た護衛の人も驚いている。
「ここで待機している者だが」
「……関係ない者は入ってくるな。それとも、お前も斬られたいのか」
「随分と物騒なことを言ってくれる。あんた方はキュベリッツ王国の兵士なんだろ?」
「お前、冒険者か?」
「それが何か?」
「フン、取るに足らぬ冒険者風情がエラそうなこと言うと思ってな」
「冒険者風情ねぇ……。よく言うぜ。あんたらこそ何者なんだか」
「……」
「王国兵じゃねえな」
「何だと!」
「ヴァーン、おまえが揉めてどうする」
「ああ、悪ぃ。けどな、こいつらがよぉ」
「生意気な!」
「生意気って何だ?」
「もう我慢ならん、斬ってしまえ」
「はぁ、キュベリッツの兵が罪のない一般人に手を出すってか」
「うるさい!」
「本気みたいだな。アルやれるか?」
「当たり前だ」
「ディアナ?」
「愚か者、こんなとこで揉めて!」
「悪いな」
「……」
「護衛がついているようだが、あの数の兵士相手に無謀だな」
「それだけ急いでるんだろ」
「うむ、先から聞こえる戦闘音にも気づいていないのか」
「さすがに、それはねえ。よっぽど急いでいるんだろうよ」
ディアナとヴァーンさんが話を続けている横では、アルが黙って外を眺めている。
ユーフィリアは私の傍らで剣を抱えて静かに座ったまま、動きもしない。
彼女は言葉が少なく私に話しかけてくることも殆どないけれど、私を護ろうと片時も離れず傍にいてくれる、心優しい護衛騎士。
どちらかというと気性の激しいディアナとは対照的……。
もちろん、ふたりとも頼りになる護衛騎士であることに変わりはない。
心からそう思っている。
「シア、私は平気ですよ」
心配そうに、こちらをずっと見つめているのはシア。
彼女は心配性なので、こういう時はいつも私のことを見ていてくれる。
可愛らしいシア。
昔から姉のように私を慕ってくれたシア。
私も彼女のことを本当の妹のように感じていたもの……。
もちろん、今も同じ。
そんなシアが私のためにしてくれたことは、とても多すぎて。
いくら感謝しても足りるものではない。
「セレス様」
そんな目で見なくても大丈夫よ。
テポレン山での経験を経て私もかなり逞しくなったのだから。
「大丈夫だから」
本当に温かく優しい子。
こんなことにならなかったら……。
彼女にはきっと幸せな未来が待っていたはずなのに。
私のせいで彼女は……。
でも、シアには幸せになってほしい。
彼女がヴァーンさんを選ぶというのなら、私は!
「セレス様はお強くなられましたね」
「……そうかしら」
「そうですよ。明るく強くなられました」
「ふふ、それなら以前の私は暗くて弱かったのね」
「えっ! そんな、そんなことないです」
ホント、慌てる顔も可愛らしい。
「意地悪言ってごめんなさいね」
「セレス様……」
「本当に変わられました」
ユーフィリアまで……。
「そうですよね、ユーフィリアさんもそう思いますよね」
「雰囲気も口調も、普段の表情も……変わられたと思います」
「セレス様、ユーフィリアさんもこう言ってますよ」
「そうね。変わったかもしれないわ。でも、ユーフィリアまで私のこと暗いと思っていたのね」
「ですから、それは違います!」
「セレス様……」
今の私はこんな時間も楽しめる余裕がある。
以前の私では考えられなかったこと。
こんな状況なのに、落ち着いて時間を過ごすことができるのだから。
「セレスさん、ちょっと外に出て様子を見てきます」
慌てたように馬車のドアを開け放つヴァーンさん。
「どうしたのですか?」
「兵士が剣を抜いたので」
「わたくしも行ってまいります。ユーフィリアはセレス様の傍を離れないように」
「了解」
「おれも行くぞ」
ヴァーンさん、ディアナに続いてアルが馬車を下りていく。
とめる暇もないほどの勢いで。
「セレス様、様子を見ましょう」
「ええ」
馬車に残った3人で窓から外を眺めてみると。
「どうしても通るというなら、ここで斬るしかないが良いのか?」
「それはおかしいでしょう。私共は急ぎの商用があるので2刻も3刻も待てないと申し上げているのですよ」
商人なのに、剣を持つ兵士に怖気づくことなく真っ向から反論を!
「どんな用事があろうと関係ない」
「でしたら、損害を賠償してくれるのですか」
「なぜそんなことをする必要がある」
「なぜって……」
「おい。埒が明かんぞ」
「そうだな」
兵士2人が剣を構えなおして!
「おいおい、それは良くないなぁ」
「なんだ、貴様は?」
商人の前に出て、今にも剣を振り下ろそうかと構えている兵士に向かって話しかけるヴァーンさん。同じように商人を庇って前に出た護衛の人も驚いている。
「ここで待機している者だが」
「……関係ない者は入ってくるな。それとも、お前も斬られたいのか」
「随分と物騒なことを言ってくれる。あんた方はキュベリッツ王国の兵士なんだろ?」
「お前、冒険者か?」
「それが何か?」
「フン、取るに足らぬ冒険者風情がエラそうなこと言うと思ってな」
「冒険者風情ねぇ……。よく言うぜ。あんたらこそ何者なんだか」
「……」
「王国兵じゃねえな」
「何だと!」
「ヴァーン、おまえが揉めてどうする」
「ああ、悪ぃ。けどな、こいつらがよぉ」
「生意気な!」
「生意気って何だ?」
「もう我慢ならん、斬ってしまえ」
「はぁ、キュベリッツの兵が罪のない一般人に手を出すってか」
「うるさい!」
「本気みたいだな。アルやれるか?」
「当たり前だ」
「ディアナ?」
「愚か者、こんなとこで揉めて!」
「悪いな」
「……」
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