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第6章 移ろう魂編
カーンゴルムへ 11
<ヴァーンベック視点>
「ヴァーンさん、もうそろそろ」
「ああ……」
前方では、あの4人が地面に倒れている者たちを一箇所に集めている。
完全に戦闘後の処理ってところだ。
処理が終われば4人もここを去るだろう。
なら、その後に俺たちは国境に向かえばいい。
問題はどれくらい時間がかかるかだが。
「……」
まっ、処理中に脇を通っても問題ねえか。
とりあえず、少し時間をつぶしてから出発だな。
「ヴァーンさん?」
「ん? ああ、馬車に戻るぞ」
「……そういう状況だったのですね」
馬車に戻った俺とアルが戦闘現場の報告をしたところ。
セレスさんは少し考えただけで、すぐに顔を上げ。
「ええ」
「分かりました。では、私たちは半刻後に出発しましょう」
今後の方針を決定した。
「了解です」
状況を理解した上でのセレスさんの決定は素早く妥当なもの。
「待機中の皆様にもお話をしませんと」
その上、周りが見えているし気も回る。
深窓の貴族令嬢って感じがしないな。
皆がセレスさんを助けたくなる気持ちも分かるってもんだ。
「俺が説明してきますよ」
「ヴァーンさんにばかりお任せして、申し訳ありません」
「気にしないでください。俺が見てきたんですから」
ということで、この場に待機中のみんなに前方の状況を説明したところ。
全員が、もうしばらく待機することを決めたようだ。
「あの、冒険者様」
説明も終わったことなので、馬車に戻って一休みしようとしていた俺に話しかけてきたのは。
「先ほどはありがとうございました。そして、今も情報をいただき感謝しております」
さっき兵士に抗議をしていた商人か。
「ついでだからな、気にしなくていい」
「先ほどのことは、とてもついでとは思えませんよ」
まあ、そうかもな。
「お礼と言えるほどではありませんが、これをお納めください」
そう言って金貨5枚を差し出してきた。
「いや、それはしまってくれ」
「ですが……」
「金が欲しくてやったことじゃねえからな」
それに、こっちはセレス様と一緒の旅だ。
お礼と言っても、こんな所で金銭をもらうと面倒事があるかもしれねえ。
「……」
「じゃ、そういうことで」
「お待ちください。……私どもはレザンジュの王都カーンゴルムで商いを営んでおります。ですので、カーンゴルムにお立ち寄りの際はぜひ一度足をお運びくださればと」
「……機会があればな」
「大通り沿いのゴルデバル商会と申します。どうかお忘れなく」
「ああ、分かった」
国境を目の前にして想定外の足止めを食らったものの、戦闘に巻き込まれることなく無事にあの場を通過することができたのは幸運だった。
あそこには化物のような凄腕がいたからな。
あんなやつと剣を交えるのは御免こうむりたい。
ギリオンなら喜んで剣を構えそうだが、俺はあんな剣術馬鹿とは違う。
無駄な戦いはしない主義なんだよ。
なんて言ったら、アルに突っ込まれたけどな。
とまあ、あの戦闘現場は大変だったものの、そこを無事に通り過ぎた後は検問所も無難に通過することができた。
セレス様の姿を見咎められることもなくレザンジュに入国できたのだから、悪くない結果だろうぜ。
この旅では、ホーンベアーの襲撃、検問所前の足止めと厄介なこともあったが、こうして誰一人欠けることもなく国境を越えることができたんだからな。
そんな俺たちの旅路。
レザンジュに入ってからは全く何の問題も起きることなく順調に進み、予定通りに王都カーンゴルムに到着することができた。
ホント、ここまでは上手く進んでいる。
けど、問題はここからだ。
「馬車は大門の近くにある駐車場に預けるのね」
「ああ。馬車を預ってくれる宿は高えからな。今の俺たちの資金を考えたら、そこに預けるのが得策だ」
「そうね。今後どれだけお金が必要か分からないから……」
「そういうこった。で、その後は歩いて宿まで行くからな。皆にはフードを被るように言っておいてくれよ」
カーンゴルムに到着後、御者席に入ってきたシアに今後の予定を告げる。
「了解」
ここはワディン家と争っていたレザンジュ王家の本拠地。
セレスさんがカーンゴルムにいることは知られていないだろうが、警戒するに越したことはない。
まっ、あらかじめ用意しておいたフードで髪と顔を隠していれば、すぐにばれることもないはず。
ここからは6人全員が巡礼者を模した同じ服装になるんで多少目立つかもしれねえが……。
黒都に巡礼にやって来た一団と思ってくれるだろ。
「ヴァーンさん、もうそろそろ」
「ああ……」
前方では、あの4人が地面に倒れている者たちを一箇所に集めている。
完全に戦闘後の処理ってところだ。
処理が終われば4人もここを去るだろう。
なら、その後に俺たちは国境に向かえばいい。
問題はどれくらい時間がかかるかだが。
「……」
まっ、処理中に脇を通っても問題ねえか。
とりあえず、少し時間をつぶしてから出発だな。
「ヴァーンさん?」
「ん? ああ、馬車に戻るぞ」
「……そういう状況だったのですね」
馬車に戻った俺とアルが戦闘現場の報告をしたところ。
セレスさんは少し考えただけで、すぐに顔を上げ。
「ええ」
「分かりました。では、私たちは半刻後に出発しましょう」
今後の方針を決定した。
「了解です」
状況を理解した上でのセレスさんの決定は素早く妥当なもの。
「待機中の皆様にもお話をしませんと」
その上、周りが見えているし気も回る。
深窓の貴族令嬢って感じがしないな。
皆がセレスさんを助けたくなる気持ちも分かるってもんだ。
「俺が説明してきますよ」
「ヴァーンさんにばかりお任せして、申し訳ありません」
「気にしないでください。俺が見てきたんですから」
ということで、この場に待機中のみんなに前方の状況を説明したところ。
全員が、もうしばらく待機することを決めたようだ。
「あの、冒険者様」
説明も終わったことなので、馬車に戻って一休みしようとしていた俺に話しかけてきたのは。
「先ほどはありがとうございました。そして、今も情報をいただき感謝しております」
さっき兵士に抗議をしていた商人か。
「ついでだからな、気にしなくていい」
「先ほどのことは、とてもついでとは思えませんよ」
まあ、そうかもな。
「お礼と言えるほどではありませんが、これをお納めください」
そう言って金貨5枚を差し出してきた。
「いや、それはしまってくれ」
「ですが……」
「金が欲しくてやったことじゃねえからな」
それに、こっちはセレス様と一緒の旅だ。
お礼と言っても、こんな所で金銭をもらうと面倒事があるかもしれねえ。
「……」
「じゃ、そういうことで」
「お待ちください。……私どもはレザンジュの王都カーンゴルムで商いを営んでおります。ですので、カーンゴルムにお立ち寄りの際はぜひ一度足をお運びくださればと」
「……機会があればな」
「大通り沿いのゴルデバル商会と申します。どうかお忘れなく」
「ああ、分かった」
国境を目の前にして想定外の足止めを食らったものの、戦闘に巻き込まれることなく無事にあの場を通過することができたのは幸運だった。
あそこには化物のような凄腕がいたからな。
あんなやつと剣を交えるのは御免こうむりたい。
ギリオンなら喜んで剣を構えそうだが、俺はあんな剣術馬鹿とは違う。
無駄な戦いはしない主義なんだよ。
なんて言ったら、アルに突っ込まれたけどな。
とまあ、あの戦闘現場は大変だったものの、そこを無事に通り過ぎた後は検問所も無難に通過することができた。
セレス様の姿を見咎められることもなくレザンジュに入国できたのだから、悪くない結果だろうぜ。
この旅では、ホーンベアーの襲撃、検問所前の足止めと厄介なこともあったが、こうして誰一人欠けることもなく国境を越えることができたんだからな。
そんな俺たちの旅路。
レザンジュに入ってからは全く何の問題も起きることなく順調に進み、予定通りに王都カーンゴルムに到着することができた。
ホント、ここまでは上手く進んでいる。
けど、問題はここからだ。
「馬車は大門の近くにある駐車場に預けるのね」
「ああ。馬車を預ってくれる宿は高えからな。今の俺たちの資金を考えたら、そこに預けるのが得策だ」
「そうね。今後どれだけお金が必要か分からないから……」
「そういうこった。で、その後は歩いて宿まで行くからな。皆にはフードを被るように言っておいてくれよ」
カーンゴルムに到着後、御者席に入ってきたシアに今後の予定を告げる。
「了解」
ここはワディン家と争っていたレザンジュ王家の本拠地。
セレスさんがカーンゴルムにいることは知られていないだろうが、警戒するに越したことはない。
まっ、あらかじめ用意しておいたフードで髪と顔を隠していれば、すぐにばれることもないはず。
ここからは6人全員が巡礼者を模した同じ服装になるんで多少目立つかもしれねえが……。
黒都に巡礼にやって来た一団と思ってくれるだろ。
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