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第6章 移ろう魂編
兆し 6
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<セレスティーヌ視点(姿は和見幸奈)>
このひとの微笑。
どうしてこんなに恐怖を覚えるの?
私だって、あちらの世界で色々と経験してきたのに。
「……」
黒衣の彼女の年齢は、私とそれほど変わらないように見える。
ただ……。
その歳からは考えられないような雰囲気。
おぞましい空気。
「どうしたのかしら、そんな顔をして」
「……」
上手く喋れない。
変なことを言えば、この人は……。
でも、何とか頑張らないと!
ここにはコーキさんはいない。
武志君は外にいるけれど頼るわけにはいかない。
幸奈さん、弟には異能について話すつもりがないみたいだから。
だから、ここは私がひとりで!
「おい、覚醒とはどういう意味だ? まさか?」
「さあ、どうでしょうね」
「しかし、幸奈が覚醒したのなら」
「ふふ、そう慌てないでくださいな、和見さん」
「……」
あの父が黙ってしまった!
このひと、どういう女性なの?
「私にも詳しいことは分かりませんわ」
彼女に関する記憶は、私が異能を行使されているものばかり。
辛くて、耐えがたい記憶だけ……。
だから、彼女と父親の関係は良く分かっていない。
この女性がどういう人なのかも。
「ただ、この幸奈さん……」
「何だ?」
「以前とは雰囲気が違いますわね。お分かりにならなくって?」
「それは……」
「ふっ。さすが和見さんですわ」
「……」
皮肉まで!
この女性異能者って、いったい……。
「ふふふ」
「……」
「幸奈さん」
気味の悪い笑いを浮かべながら、彼女がベッドに近づいてきた!
「あなた、どうしたのかしら?」
問いかけてくる。
言葉は柔らかいけれど、その中身は!
目に見えない圧力を感じてしまう。
「……何も」
「変わっていないとでも?」
「私はずっと眠っていましたので」
「あら、そうですか」
「……」
「……」
気持ちが悪い。
「ふふ、慌てることはないですね」
その言葉で、圧力が消失。
緊張が少しずつとけていく。
「楽しみは先にとっておきましょ」
「……」
彼女にはもう会いたくないけど。
そういう訳にもいかないのだろう。
それなら、私は……。
「幸奈! 異能に目覚めたのか?」
黒衣の女性の後ろから、凄い形相で詰め寄ろうとしている幸奈さんの父親。
「少し落ち着いてくださいな」
「……分かってる」
このふたり。
本当に対照的。
「幸奈、どうなんだ?」
「……私は何も変わっておりません」
「嘘を吐くんじゃない!」
「嘘ではありません」
「幸奈、おまえ!!」
凄い剣幕。
これが娘に対する態度?
「和見さん、ここは病室で幸奈さんは病人ですよ」
「……」
「労わってあげませんと。ねえ、幸奈さん」
我を忘れたような父と冷静な黒衣の女性。
どう考えても、この女性の方が不気味で恐ろしい。
「幸奈、まだ目覚めてないんだな?」
「はい」
「……いいだろう。全てはお前が退院してからだ。あの部屋でな」
この父親。
そんなことを言って、娘がもう一度薬を大量に飲む可能性は考えないの?
幸奈さんが恐れていた父親だけど。
とっても……。
「その時は、あなたにもお願いすることになる」
「ええ、ええ。分かっておりますわ」
「頼むぞ、壬生さん」
*********************
<ヴァーンベック視点>
「何がいるんだ?」
「アル、ちょっと静かにしてくれ!」
この気配、こいつら……
「かなりの数だぞ」
「で、どんな魔物なんだよ?」
「ウルフ系……グレーウルフだな」
数は多いが、グレーウルフ自体は強力な個体じゃねえ。
こっちには俺たちに加え騎士たちもいる。
なら何とかなるはず。
「グレーウルフ」
「あいつらか」
視界の悪い山道での魔物出現と聞いて一瞬で張りつめた騎士たちの緊張感が、グレーウルフと知った途端僅かに和らいでいく。
「グレーウルフか」
アルからもホッとしたような声。
「……」
ワディン騎士とアルの気持ちも分かる。
俺も少し安心しちまったからな。
けど、油断は禁物だぜ。
グレーウルフとはいえ、多数いるんだ。
そう簡単に倒せるもんじゃねえ。
それに、ここはエビルズピーク。
まだ足を踏み入れたばかりとはいえ、魔の山なんだからな。
「みんな、気は抜くなよ!」
「分かってる!」
「ああ!」
「……」
アル、ディアナ、ユーフィリア。
騎士たちも……。
問題なさそうだ。
「ルボルグ隊長!」
「ええ、打ち合わせ通りやりましょう」
「了解!」
ルボルグ隊長の指揮の下。
俺たち6人と、ワディン騎士たちが迎撃の態勢を整える。
そこに姿を現したのは。
「「「「「「グルゥゥ」」」」」」
予想通りグレーウルフ。
ただ、この数は……。
20頭以上いる!
このひとの微笑。
どうしてこんなに恐怖を覚えるの?
私だって、あちらの世界で色々と経験してきたのに。
「……」
黒衣の彼女の年齢は、私とそれほど変わらないように見える。
ただ……。
その歳からは考えられないような雰囲気。
おぞましい空気。
「どうしたのかしら、そんな顔をして」
「……」
上手く喋れない。
変なことを言えば、この人は……。
でも、何とか頑張らないと!
ここにはコーキさんはいない。
武志君は外にいるけれど頼るわけにはいかない。
幸奈さん、弟には異能について話すつもりがないみたいだから。
だから、ここは私がひとりで!
「おい、覚醒とはどういう意味だ? まさか?」
「さあ、どうでしょうね」
「しかし、幸奈が覚醒したのなら」
「ふふ、そう慌てないでくださいな、和見さん」
「……」
あの父が黙ってしまった!
このひと、どういう女性なの?
「私にも詳しいことは分かりませんわ」
彼女に関する記憶は、私が異能を行使されているものばかり。
辛くて、耐えがたい記憶だけ……。
だから、彼女と父親の関係は良く分かっていない。
この女性がどういう人なのかも。
「ただ、この幸奈さん……」
「何だ?」
「以前とは雰囲気が違いますわね。お分かりにならなくって?」
「それは……」
「ふっ。さすが和見さんですわ」
「……」
皮肉まで!
この女性異能者って、いったい……。
「ふふふ」
「……」
「幸奈さん」
気味の悪い笑いを浮かべながら、彼女がベッドに近づいてきた!
「あなた、どうしたのかしら?」
問いかけてくる。
言葉は柔らかいけれど、その中身は!
目に見えない圧力を感じてしまう。
「……何も」
「変わっていないとでも?」
「私はずっと眠っていましたので」
「あら、そうですか」
「……」
「……」
気持ちが悪い。
「ふふ、慌てることはないですね」
その言葉で、圧力が消失。
緊張が少しずつとけていく。
「楽しみは先にとっておきましょ」
「……」
彼女にはもう会いたくないけど。
そういう訳にもいかないのだろう。
それなら、私は……。
「幸奈! 異能に目覚めたのか?」
黒衣の女性の後ろから、凄い形相で詰め寄ろうとしている幸奈さんの父親。
「少し落ち着いてくださいな」
「……分かってる」
このふたり。
本当に対照的。
「幸奈、どうなんだ?」
「……私は何も変わっておりません」
「嘘を吐くんじゃない!」
「嘘ではありません」
「幸奈、おまえ!!」
凄い剣幕。
これが娘に対する態度?
「和見さん、ここは病室で幸奈さんは病人ですよ」
「……」
「労わってあげませんと。ねえ、幸奈さん」
我を忘れたような父と冷静な黒衣の女性。
どう考えても、この女性の方が不気味で恐ろしい。
「幸奈、まだ目覚めてないんだな?」
「はい」
「……いいだろう。全てはお前が退院してからだ。あの部屋でな」
この父親。
そんなことを言って、娘がもう一度薬を大量に飲む可能性は考えないの?
幸奈さんが恐れていた父親だけど。
とっても……。
「その時は、あなたにもお願いすることになる」
「ええ、ええ。分かっておりますわ」
「頼むぞ、壬生さん」
*********************
<ヴァーンベック視点>
「何がいるんだ?」
「アル、ちょっと静かにしてくれ!」
この気配、こいつら……
「かなりの数だぞ」
「で、どんな魔物なんだよ?」
「ウルフ系……グレーウルフだな」
数は多いが、グレーウルフ自体は強力な個体じゃねえ。
こっちには俺たちに加え騎士たちもいる。
なら何とかなるはず。
「グレーウルフ」
「あいつらか」
視界の悪い山道での魔物出現と聞いて一瞬で張りつめた騎士たちの緊張感が、グレーウルフと知った途端僅かに和らいでいく。
「グレーウルフか」
アルからもホッとしたような声。
「……」
ワディン騎士とアルの気持ちも分かる。
俺も少し安心しちまったからな。
けど、油断は禁物だぜ。
グレーウルフとはいえ、多数いるんだ。
そう簡単に倒せるもんじゃねえ。
それに、ここはエビルズピーク。
まだ足を踏み入れたばかりとはいえ、魔の山なんだからな。
「みんな、気は抜くなよ!」
「分かってる!」
「ああ!」
「……」
アル、ディアナ、ユーフィリア。
騎士たちも……。
問題なさそうだ。
「ルボルグ隊長!」
「ええ、打ち合わせ通りやりましょう」
「了解!」
ルボルグ隊長の指揮の下。
俺たち6人と、ワディン騎士たちが迎撃の態勢を整える。
そこに姿を現したのは。
「「「「「「グルゥゥ」」」」」」
予想通りグレーウルフ。
ただ、この数は……。
20頭以上いる!
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