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第6章 移ろう魂編
対峙 2
俺がおかしい?
「……そうかもしれないな。けど、もう大丈夫だ」
「ほんとかよ」
「ああ……ヴァーン、待たせたな」
「はっ、いっつも遅えんだよ」
そうだな。
日本でも、この世界でも。
俺はいつも遅い。
「悪かった」
「……」
この状況。
話したいこと、聞きたいことはまだまだある。
けど、そんな時間はないよな。
今この時点では間に合ったものの。
これからあの大惨事が起きるんだ。
それを防ぐために、まず俺がすることは……。
ヴァーンが対峙していたふたりの相手をすること。
そこからだ。
「そのくらいでいいか?」
ひとりが語りかけてきた。
あの彼女が。
「……」
「このような場所で君に会うとはな」
「イリサヴィア様……」
彼女がなぜここに?
どうしてヴァーンと戦って?
「エリシティア様の館以来か。久しいな」
「……ええ」
彼女がヴァーンとシアの命を?
いや、さっき見たふたりの傷は剣の傷ではなかったような……。
「君との再会は慮外ではあるが、悪いことではない。ただ、君がその者の肩を持つのなら」
「……」
剣姫がヴァーンとシアの命を奪ったのかどうかは分からない。
ただ、この状況を引き起こしたのは彼女だ。
「排除するしかない」
「……そうですか」
キュベルリアでは、剣姫に助けてもらった。
その恩は忘れていない。
正直、彼女に対しては好感も抱いていた。
それでも……。
「やはり退く気はない、か?」
「事情は分かりませんが、これ以上彼に危害を加えるのなら見過ごすことはできません」
それでも、今はやるしかない。
「危害……まあ、よかろう」
とはいえ、これから起こるであろうことにも十分に注意を払う必要がある。
「……」
前回のあの凄惨な現場には、多くの兵士の遺体の他に多くの魔物の遺骸もあった。
今この現場にはブラッドウルフの死骸以外は、魔物の姿が見当たらない。
つまり、この後に魔物の襲撃があるということだろう。
魔物襲撃に備えつつ、剣姫と戦う。
とんでもない剣気を放つこの剣豪と。
どう考えても、簡単じゃないな。
許されるのなら、避けたいものだ。
が……。
こうなっては、難しいだろう。
「イリサヴィア様は、退く気はないのですね?」
「うむ。そこに隠れている者を差し出すなら、争う必要はないが」
そこに隠れ……。
ああ、幸奈とシアとアルは後ろの茂みに隠れているのか。
「そいつはぁ、無理ってもんだぜ」
その通り。
「ならば、こちらも仕事。退くことはできんな」
仕事?
依頼?
……なるほど。
剣姫は冒険者だ。
レザンジュから依頼を受けたってことか。
「まいる!」
剣気がさらに膨れ上がった!
「……そうかもしれないな。けど、もう大丈夫だ」
「ほんとかよ」
「ああ……ヴァーン、待たせたな」
「はっ、いっつも遅えんだよ」
そうだな。
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俺はいつも遅い。
「悪かった」
「……」
この状況。
話したいこと、聞きたいことはまだまだある。
けど、そんな時間はないよな。
今この時点では間に合ったものの。
これからあの大惨事が起きるんだ。
それを防ぐために、まず俺がすることは……。
ヴァーンが対峙していたふたりの相手をすること。
そこからだ。
「そのくらいでいいか?」
ひとりが語りかけてきた。
あの彼女が。
「……」
「このような場所で君に会うとはな」
「イリサヴィア様……」
彼女がなぜここに?
どうしてヴァーンと戦って?
「エリシティア様の館以来か。久しいな」
「……ええ」
彼女がヴァーンとシアの命を?
いや、さっき見たふたりの傷は剣の傷ではなかったような……。
「君との再会は慮外ではあるが、悪いことではない。ただ、君がその者の肩を持つのなら」
「……」
剣姫がヴァーンとシアの命を奪ったのかどうかは分からない。
ただ、この状況を引き起こしたのは彼女だ。
「排除するしかない」
「……そうですか」
キュベルリアでは、剣姫に助けてもらった。
その恩は忘れていない。
正直、彼女に対しては好感も抱いていた。
それでも……。
「やはり退く気はない、か?」
「事情は分かりませんが、これ以上彼に危害を加えるのなら見過ごすことはできません」
それでも、今はやるしかない。
「危害……まあ、よかろう」
とはいえ、これから起こるであろうことにも十分に注意を払う必要がある。
「……」
前回のあの凄惨な現場には、多くの兵士の遺体の他に多くの魔物の遺骸もあった。
今この現場にはブラッドウルフの死骸以外は、魔物の姿が見当たらない。
つまり、この後に魔物の襲撃があるということだろう。
魔物襲撃に備えつつ、剣姫と戦う。
とんでもない剣気を放つこの剣豪と。
どう考えても、簡単じゃないな。
許されるのなら、避けたいものだ。
が……。
こうなっては、難しいだろう。
「イリサヴィア様は、退く気はないのですね?」
「うむ。そこに隠れている者を差し出すなら、争う必要はないが」
そこに隠れ……。
ああ、幸奈とシアとアルは後ろの茂みに隠れているのか。
「そいつはぁ、無理ってもんだぜ」
その通り。
「ならば、こちらも仕事。退くことはできんな」
仕事?
依頼?
……なるほど。
剣姫は冒険者だ。
レザンジュから依頼を受けたってことか。
「まいる!」
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