30年待たされた異世界転移

明之 想

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第6章 移ろう魂編

蒼鱗の天魔 4

「隊長、加勢してやるか?」

「……」

「冒険者連中は、こっちに手を出さなかったからな。それに、あいつらがやられたら俺たちが戦うしかねえしよ」

「……そうですね。魔法で援護しましょう」

「おう! ユーフィリア、魔法はどうだ?」

「魔力の残りが少ない」

「だよなぁ。俺も残り少ねえし」

 ヴァーンとあの女性騎士は魔力不足。
 なら、もう少し休んだ方がいい。

「お前たちは?」

「さっきはすぐに意識を失ったので、まだ余力があります」

「「私もです」」

 3人のワディン騎士は、今すぐにでも魔法を使えるようだ。

「なら頼む。ただし、良く狙って撃つんだぞ。貴重な魔力だからな」

「「「了解!」」」

「ヴァーン殿とユーフィリアは待機で」

「分かった」

「……」

 待機する2人の横で、ワディン騎士がさっそく魔法を!

「アイスアロー!」

「アイスアロー!」

「アイスアロー!」

「オォォ!!」

 おそらく目を狙ったであろうアイスアローが謎魔物の頭に激突。
 それでも効果はある。

「おっ! 援護魔法がきたぞ」

「助かるぜ」

「こっちも行くぞ!」

「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」

「グルオォォォ!!」

 上手い!
 綺麗に魔法が決まった。

 剣による牽制も魔法攻撃も見事なもの。
 メルビン率いる冒険者たちの実戦能力は高い。

 ただ……。
 この威力で倒しきるには、かなりの時間がかかるはず。


「コーキ、腕と肩は大丈夫か?」

「ああ、もうすぐ応急処置も終わる」
 
 治癒魔法と魔法薬で続けていた治療も終了間近。

「ヴァーンはどうだ?」

「お前の回復薬のおかげで問題なく動けるぜ。魔力残量は少ねえがよ」

「身体は問題ないんだな?」

「おう、問題ねえ」

 なら、一安心。

「で、この戦況……どう思う?」

「魔力残量との戦いだろうな」

「となると、あいつらだけで勝つってのは?」

「……可能性ならある」

「……」

 彼らだけで勝てない場合は、俺か剣姫があいつを倒せばいい。

 鱗に魔法が効くってことは、魔力を纏った剣なら鱗を斬り裂けるはず。
 俺と剣姫の剣撃ならできるだろう。


「イリサヴィア様、動けますか?」

「……もう少しだ」

 剣姫は少し離れたところで治療中。
 動けるまで、まだ時間がかかりそうに見える。

 なら、待機する必要もない。

「ヴァーン、俺が出よう」

「治療、終わったのかよ?」

「ああ、完了した」

「そうか……。おめえばっか、わりいな」

「今さらだろ」

「だな」

 さて、戦うのはいいが、得物が問題。

「こいつを使ってくれ」

 迷っていたところに、差し出されたのはヴァーンの愛剣。

「ヴァーンはどうするんだ?」

「俺にはこの短剣と魔法がある。問題ねえよ」

 魔力はほとんど残ってないはずじゃ?

「さすがに、無手じゃきついだろ」

「まあ、武器は欲しいな」

「だったら、持ってけ」

「……いいのか?」

「もちろんだぜ。だいたい、お前ならすぐ倒しちまうだろうしよ。俺に剣は必要ねえ。つうか、出る幕なんてねえな」

 そういうことなら。
 ここはありがたく。

「借りるぞ」

「おう、頼むぜ!」

「了解」

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