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第7章 南部編
対策
「呆れるほどの暗闇、か……」
「本当に」
あいつの創り出した半球形の異界空間。
円状の外縁は360度全てが闇に覆われている。
まさに暗闇の壁。
「不気味という言葉しか出てこないな」
剣姫の言う通り。
ただただ気味が悪い。
こうして眺めているだけで、闇に飲まれそうな気分になってしまう。
あまり凝視しない方が良さそうだ。
「こうなると」
「……」
「仮に闇の壁を破ったとしても何が起きるのか? まったく安心などできない」
「ええ……」
暗闇の先に何が待っているのか?
暗闇を破壊したら、エビルズピークに戻れるのか?
何ひとつ定かじゃないな。
「そもそも、まだ破壊できる見込みなどないのだが……」
「……」
初日に闇の壁に直面して以降、様々な手で破壊を試みているものの成果は皆無。
いまだ破壊に対する手応えはない。
「どういう構造なんでしょうね?」
武志の創った結界の壁とも、魔落の境界とも違う。
奇妙奇天烈な手触りに、剣も魔法もまともに通らない防御力。
硬いというわけじゃないのに、硬さ以上に厄介な弾性のような性質を持つ闇壁。
とにかく。
魔法を使っても剣を使っても、これっぽっちも破壊の可能性を感じられない謎の壁ってことだ。
「うむ……」
結果、俺と剣姫はこの壁を前に立ち止まるばかり。
破壊の算段など、欠片も……。
「構造が分かれば苦労しないな。いや、それが分かっても破壊できるとは限らないのか」
その通りかもしれない。
「やはり……」
「……」
「奴を倒すしかない、か」
「ええ」
「とはいえ、容易ではないぞ」
とんでもない防御力に加え、この異界からも自由に脱出することができる。
倒すのが簡単なわけないな。
「分かってますよ」
それでも、闇壁破壊よりはましだろ。
あいつに対しては、僅かではあるものの手応えも感じているのだから。
「ならば、次の戦いに備えて戻るとしよう」
今回の闇壁調査は、ここでいったん終了。
対怪物戦の準備のため、拠点に戻ることに。
「了解です」
この異界に閉じ込められて3日。
あいつとの戦闘は、これまで合計で6回。
1日2度の戦闘が3日分だ。
1度だけ不規則な出現があったけれど、それ以外はほぼ6刻毎に現れるあいつと戦っている。
「……」
最初はまったく通用しなかった攻撃も、最近では若干の傷を負わせることができるようになってきた。闇壁と違い、目処が立ってきたってことだろう。
「……雷撃後の鱗の隙間への剣撃。一箇所集中攻撃は通用します。それに、あいつの攻撃は全く受けないようになりましたからね」
「まだ遠いが、先が見えてきたことも確か。それだけでも心強いことだな」
「ええ。今後も地道に戦うだけです」
「うむ」
「ただ、今の我々は防御をほぼ気にせず攻撃に専念できます。となると、それほど遠くないかもしれませんよ」
速度で上回っているのはあるが、それ以上にあいつの攻撃に慣れたのが大きい。
「ふふ……」
どうした?
「君は若いのに大したものだな」
「……イリサヴィア様も若いじゃないですか」
「君より1つ歳上だ。それに、私は特殊な教育を受けている」
特殊な教育?
剣姫はただの冒険者じゃないと?
「ところで、君の家は貴族の家門ではないのか?」
「貴族家ではありません。平民ですね」
「……そうか」
「何か不審な点でも?」
「そうではない。少し確認したいことがあってな」
「……」
「平民の冒険者だというなら、それでいいんだ」
「はあ」
いいと言うなら、まあ……。
「さて、奴が現れる前に少しばかり攻略法を考えるぞ」
「イリサヴィア様には考えがあるのですか?」
「うむ。まずは奴が自由に逃げることができるのかどうか、それを知りたい」
「といいますと?」
「奴はこれまでの戦いで、半刻以内にここを去ったことはない。また、去った後すぐに姿を現したこともない」
「確かに、そうですね」
「ならば、異界と現実世界間の移動に時間的制約があるとは考えられないだろうか?」
怪物にもクールタイムみたいなものが存在する?
「……」
俺の異世界間移動にも12時間という制限があるんだ。
あり得る、十分に考えられるぞ。
「仮に半刻の制限があるとしたら、その時間以内に倒しきれば」
「奴は逃げることができない!」
「本当に」
あいつの創り出した半球形の異界空間。
円状の外縁は360度全てが闇に覆われている。
まさに暗闇の壁。
「不気味という言葉しか出てこないな」
剣姫の言う通り。
ただただ気味が悪い。
こうして眺めているだけで、闇に飲まれそうな気分になってしまう。
あまり凝視しない方が良さそうだ。
「こうなると」
「……」
「仮に闇の壁を破ったとしても何が起きるのか? まったく安心などできない」
「ええ……」
暗闇の先に何が待っているのか?
暗闇を破壊したら、エビルズピークに戻れるのか?
何ひとつ定かじゃないな。
「そもそも、まだ破壊できる見込みなどないのだが……」
「……」
初日に闇の壁に直面して以降、様々な手で破壊を試みているものの成果は皆無。
いまだ破壊に対する手応えはない。
「どういう構造なんでしょうね?」
武志の創った結界の壁とも、魔落の境界とも違う。
奇妙奇天烈な手触りに、剣も魔法もまともに通らない防御力。
硬いというわけじゃないのに、硬さ以上に厄介な弾性のような性質を持つ闇壁。
とにかく。
魔法を使っても剣を使っても、これっぽっちも破壊の可能性を感じられない謎の壁ってことだ。
「うむ……」
結果、俺と剣姫はこの壁を前に立ち止まるばかり。
破壊の算段など、欠片も……。
「構造が分かれば苦労しないな。いや、それが分かっても破壊できるとは限らないのか」
その通りかもしれない。
「やはり……」
「……」
「奴を倒すしかない、か」
「ええ」
「とはいえ、容易ではないぞ」
とんでもない防御力に加え、この異界からも自由に脱出することができる。
倒すのが簡単なわけないな。
「分かってますよ」
それでも、闇壁破壊よりはましだろ。
あいつに対しては、僅かではあるものの手応えも感じているのだから。
「ならば、次の戦いに備えて戻るとしよう」
今回の闇壁調査は、ここでいったん終了。
対怪物戦の準備のため、拠点に戻ることに。
「了解です」
この異界に閉じ込められて3日。
あいつとの戦闘は、これまで合計で6回。
1日2度の戦闘が3日分だ。
1度だけ不規則な出現があったけれど、それ以外はほぼ6刻毎に現れるあいつと戦っている。
「……」
最初はまったく通用しなかった攻撃も、最近では若干の傷を負わせることができるようになってきた。闇壁と違い、目処が立ってきたってことだろう。
「……雷撃後の鱗の隙間への剣撃。一箇所集中攻撃は通用します。それに、あいつの攻撃は全く受けないようになりましたからね」
「まだ遠いが、先が見えてきたことも確か。それだけでも心強いことだな」
「ええ。今後も地道に戦うだけです」
「うむ」
「ただ、今の我々は防御をほぼ気にせず攻撃に専念できます。となると、それほど遠くないかもしれませんよ」
速度で上回っているのはあるが、それ以上にあいつの攻撃に慣れたのが大きい。
「ふふ……」
どうした?
「君は若いのに大したものだな」
「……イリサヴィア様も若いじゃないですか」
「君より1つ歳上だ。それに、私は特殊な教育を受けている」
特殊な教育?
剣姫はただの冒険者じゃないと?
「ところで、君の家は貴族の家門ではないのか?」
「貴族家ではありません。平民ですね」
「……そうか」
「何か不審な点でも?」
「そうではない。少し確認したいことがあってな」
「……」
「平民の冒険者だというなら、それでいいんだ」
「はあ」
いいと言うなら、まあ……。
「さて、奴が現れる前に少しばかり攻略法を考えるぞ」
「イリサヴィア様には考えがあるのですか?」
「うむ。まずは奴が自由に逃げることができるのかどうか、それを知りたい」
「といいますと?」
「奴はこれまでの戦いで、半刻以内にここを去ったことはない。また、去った後すぐに姿を現したこともない」
「確かに、そうですね」
「ならば、異界と現実世界間の移動に時間的制約があるとは考えられないだろうか?」
怪物にもクールタイムみたいなものが存在する?
「……」
俺の異世界間移動にも12時間という制限があるんだ。
あり得る、十分に考えられるぞ。
「仮に半刻の制限があるとしたら、その時間以内に倒しきれば」
「奴は逃げることができない!」
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※2017/8/29 連載再開しました!