30年待たされた異世界転移

明之 想

文字の大きさ
541 / 1,640
第7章 南部編

悪意の雫

「グルゥ……」

 そろそろ喰らいに行くか。

 いつもの寝座ねぐらで少しばかりの睡眠を楽しんだ後。
 空腹解消のため立ち上がるそれ・・

 狩りの時間。
 ご馳走の時間。
 心弾む時。
 そのはずなのに……。

 うんざりする。

「グルゥゥ」

 食料庫に保管した後、食事のために何度も足を運んだ。
 何度もだ。

 が……。

 いまだ口にすることができない!
 一口も!

 厄介なやつら。
 面倒な食材。

「オオォォ!」

 簡単に喰らうことができると思っていた食材に、ここまで手こずるとは。

「ォォ……」

 やつらの攻撃は大したことはない。
 どれだけ攻撃を受けても危険などまったく感じない。
 同じ箇所を攻められると、ちょっとした痛みは感じるものの問題と言えるほどじゃない。

 ただ、魔法による痺れと一箇所集中攻撃は……。
 鬱陶しいな。

 最初に連続攻撃を受けた時、驚きのあまり思わずこちらに戻ってしまった。

 戻って……。
 戻って……。

「グゥオォォ!」

 思い出すと苛立ちが込み上げてくる。

 ただの食材のくせに!
 許せないぞ!

 とはいえ、やつらのあの動きは……。
 早すぎる。

 相変わらず攻撃が当たらないのだ。
 煩わしい。

 本当に厄介で面倒なやつら。

「……」

 もう、やめるか。
 しばらく放置するか。

 いや。
 やはり、許せるものじゃない。
 何より、あの美味そうな食材を我慢するなんてこと……。

「オオォォ!」

 狩る!
 狩るしかない!

 そうだ。
 今すぐ狩ってやる。

 今回は準備も万端。
 喰らってやろう!




*********************




「4頭連れとはな」

「ええ」

「気をつけろよ」

「イリサヴィア様も」

「うむ」

 分身と共に現れた怪物。
 今回は2頭じゃなく4頭だ。

 分身には本体ほどの強さはないものの、それでも4頭が相手。
 傍らには本体もいる。
 合計5頭との戦闘が簡単なわけがない。

「グルゥ」

「「「「グルルゥゥ」」」」

 その5頭が、10メートルの距離を置いて俺たちと対峙している。
 余裕からか、まだ動く素振りはない

 しかし、なぜなんだ?
 2頭が上限のはずなのに?


「アリマ、こちらから仕掛けるか?」

「ちょっと待ってください」

 戦闘の前に、鑑定させてくれ。



???
???

エビルズマリス
エビルズピークの悪意

HP  813
MP   95
STR 594
AGI 171
INT 206

<スキル>
気配消去 分身 異界(貯蔵庫)創造



 今回もレベルは表示されていない。
 ステータス値にも変化はない。
 レベルアップはしてないんだな。

 なら、分身のスキルはどうなってる?

 やはり、上限が4頭に。
 スキルの熟練度が上がったみたいだ。

「……」

 今後、数が増える可能性は……充分か。

 まずいな。
 早く倒さないと、とんでもないことになってしまう。

 で、分身のステータスは。



  ???

レベル 1

マリスズドロップ
悪意の雫

HP  243
MP   27
STR 296
AGI 102
INT  41

<スキル>
気配消去



  ???

レベル 2

マリスズドロップ
悪意の雫

HP  255
MP   29
STR 305
AGI 106
INT  43

気配消去



 レベル1の2頭の数値は前回と全く同じ。
 レベル2になった2頭は各数値が増加している。
 ただ、レベルアップに伴う数値上昇がこの程度の微増なら大きな問題はない。

 ちなみに、現時点での俺のステータスはこんな感じだ。



 有馬 功己(アリマ コウキ)

レベル 7

20歳 男 人間

HP  211
MP  263
STR 320
AGI 223
INT 345

<ギフト>
異世界間移動  基礎魔法  鑑定改  多言語理解 アイテム収納



 レベルは7のまま変わっていない。
 クエスト達成や露見にも変化はない。
 ただ、各数値は若干増加している。
 おそらくは、鍛錬や経験による上昇だろう。

 このステータスに魔力による身体強化を加えれば、分身の相手に手を焼くこともないはず。
 ステータスが不明の剣姫も俺に近い数値だろうから、問題はないはずだ。

 ただし、分身の数が増え続ければ厄介な敵になってしまう。

「……」

 悪意の雫か。
 呼称どおり、ふざけたやつらだ。


「まだか、アリマ?」

「……いえ」

 悪意も雫も動かない。
 依然として、こちらを睨めつけるだけ。

「グルゥ」

「「「「グルルゥゥ」」」」

 ならば。
 こっちからだ。

「分身から片付けましょう」

「うむ」

「左をお願いします!」

「了解だ!」

感想 11

あなたにおすすめの小説

ひだまりのFランク冒険者

みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。 そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。 そんな中 冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。 その名は、リルド。 彼は、特に何もない感じに毎日 「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。 この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。