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第7章 南部編
未熟
剣姫の魔力が内部に込められたドゥエリンガー。
その魔剣が空間の歪みを斬り裂く。
が、結果はこれまで同様。
歪みにダメージを与えることはできなかった。
「この歪み、どうしようもないな」
「ええ」
歪みがあるとはいえ、所詮は空間。
斬り裂けないことも想定内だ。
それより。
「イリサヴィア様、もう現れます。備えてください」
「うむ」
剣姫が俺の隣に戻り、態勢を整える。
その直後。
空間の歪みが消え。
「グゥオオォォォ!」
鉄錆色の大地に登場するエビルズピークの悪意。
引き連れる分身は4頭。
悪意の雫の数に変化はない。
よし!
分身数が同じということは、スキルレベルに変化がないってこと。
つまり、あいつ自身も進化していないはず。
「進化なし、か?」
「だと思います」
「うむ。ならば、作戦通り」
「ええ、分身から倒しましょう!」
**********************
<剣姫イリサヴィア視点>
上手くいかないものだな。
本当に……。
レザンジュに来てからというもの、事はまったく想定通りに運ばない。
私の思惑から外れてばかり。
事はあちらへこちらへと動き回っている。
ミルト、エビルズピーク、そしてこの異界。
「……」
油断などしていない。
自分ではそう思っていたのだが。
慢心か……。
ミッドレミルト山脈の異状調査、ワディン辺境伯の探索。
その成否は別にして、困苦が待ち受けているなど想像もしていなかった。
私が手を焼くなんて考えもしなかった。
まったく……。
自分の力量を過信していたんだな。
「……」
どれだけ周りに称賛されようと、もてはやされようと、私は変わらぬ。
自己をしっかり理解し、管理できる。
ずっと、そう考えていた。
自信があった。
だというのに。
気付かぬうちに、自惚れていたと。
そういうこと、か。
はは……。
情けない。
「……」
が、今回のことで良く分かった。
己の未熟さを理解できた。
これまでの私は、運が良かっただけ。
ただそれだけ、ということが。
ある意味、吹っ切れたと思う。
だから。
心身ともに一から鍛え直す!
初心に戻ってやり直す!
そう心に決めた。
ただ問題は。
ここから出ることができるのだろうか?
エビルズピークの悪意とアリマが呼んでいるドラゴンのような魔物。
その魔物が創りだした異界から脱出を?
そのために奴を打倒することが?
可能なのか?
「……」
ふっ、格好の悪いことだな。
つい数日前までは過信していた己の力。
それを、今は信じることができない。
なんと弱く脆い心よ。
気概のなさよ。
度し難い。
不明を恥じるばかりだ。
それでも……。
己の未熟さと共に、心の弱さも知ることができた。
ならば、進める。
私はまだ先に進むことができる。
そのためにも、ここを出なければいけない。
キュベリッツに帰り。
オズのもとへ。
「……」
今は雑念を捨て、あいつを倒すことだけを考えるべき。
それに専念するのみ。
そのための方策はアリマと相談済み。
あいつの制約、弱点についても心許ないながら目星はついている。
こちらの攻撃力も、魔力付与の改善により上がっているはず。
まだまだ足りないものは多いが、これで勝負できる!
この手駒で倒す!
進化する前に倒しきる!
「……」
アリマが言うには、ここからの2回が勝負とのこと。
冒険者アリマ……。
不思議な男だな。
その魔剣が空間の歪みを斬り裂く。
が、結果はこれまで同様。
歪みにダメージを与えることはできなかった。
「この歪み、どうしようもないな」
「ええ」
歪みがあるとはいえ、所詮は空間。
斬り裂けないことも想定内だ。
それより。
「イリサヴィア様、もう現れます。備えてください」
「うむ」
剣姫が俺の隣に戻り、態勢を整える。
その直後。
空間の歪みが消え。
「グゥオオォォォ!」
鉄錆色の大地に登場するエビルズピークの悪意。
引き連れる分身は4頭。
悪意の雫の数に変化はない。
よし!
分身数が同じということは、スキルレベルに変化がないってこと。
つまり、あいつ自身も進化していないはず。
「進化なし、か?」
「だと思います」
「うむ。ならば、作戦通り」
「ええ、分身から倒しましょう!」
**********************
<剣姫イリサヴィア視点>
上手くいかないものだな。
本当に……。
レザンジュに来てからというもの、事はまったく想定通りに運ばない。
私の思惑から外れてばかり。
事はあちらへこちらへと動き回っている。
ミルト、エビルズピーク、そしてこの異界。
「……」
油断などしていない。
自分ではそう思っていたのだが。
慢心か……。
ミッドレミルト山脈の異状調査、ワディン辺境伯の探索。
その成否は別にして、困苦が待ち受けているなど想像もしていなかった。
私が手を焼くなんて考えもしなかった。
まったく……。
自分の力量を過信していたんだな。
「……」
どれだけ周りに称賛されようと、もてはやされようと、私は変わらぬ。
自己をしっかり理解し、管理できる。
ずっと、そう考えていた。
自信があった。
だというのに。
気付かぬうちに、自惚れていたと。
そういうこと、か。
はは……。
情けない。
「……」
が、今回のことで良く分かった。
己の未熟さを理解できた。
これまでの私は、運が良かっただけ。
ただそれだけ、ということが。
ある意味、吹っ切れたと思う。
だから。
心身ともに一から鍛え直す!
初心に戻ってやり直す!
そう心に決めた。
ただ問題は。
ここから出ることができるのだろうか?
エビルズピークの悪意とアリマが呼んでいるドラゴンのような魔物。
その魔物が創りだした異界から脱出を?
そのために奴を打倒することが?
可能なのか?
「……」
ふっ、格好の悪いことだな。
つい数日前までは過信していた己の力。
それを、今は信じることができない。
なんと弱く脆い心よ。
気概のなさよ。
度し難い。
不明を恥じるばかりだ。
それでも……。
己の未熟さと共に、心の弱さも知ることができた。
ならば、進める。
私はまだ先に進むことができる。
そのためにも、ここを出なければいけない。
キュベリッツに帰り。
オズのもとへ。
「……」
今は雑念を捨て、あいつを倒すことだけを考えるべき。
それに専念するのみ。
そのための方策はアリマと相談済み。
あいつの制約、弱点についても心許ないながら目星はついている。
こちらの攻撃力も、魔力付与の改善により上がっているはず。
まだまだ足りないものは多いが、これで勝負できる!
この手駒で倒す!
進化する前に倒しきる!
「……」
アリマが言うには、ここからの2回が勝負とのこと。
冒険者アリマ……。
不思議な男だな。
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