30年待たされた異世界転移

明之 想

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第7章 南部編

四半刻 7

 再登場に加え、その口には溢れる光。

「気をつけろ、ブレスを吐くぞ!」

「了解!」

 時間がないというのに、厄介な。

 けど、今回はさっきと違う。
 分かっていれば、問題はない。
 問題は時間だけだ。

 ゴオォッ!

 直後、吐き出されたブレス。
 小さな光の塊は速くもない。
 当然、俺も剣姫も回避に成功。

 ということで、どうする?
 あいつを片付けるか?

 分身の相手をする時間は惜しいが、かといって剣を持たない剣姫に任せるのも……。
 仕方ない。

「雷撃!」

 避けた?

「雷撃!」

 また避けた。
 分身とはいえ、これだけ距離があれば簡単に当てることはできないようだ。

「私が行こう」

「いえ、まだ手はありますので」

 雷撃が避けられるなら、回避困難な魔法を放てばいい。

「雷波!」

 大きな塊となって敵に襲い掛かる紫電。
 逃げようとする分身を一気に飲み込んだ。

「グゥゥゥ……」

 威力は劣るものの、動きを止めるには十分。
 で、この状態なら。

「雷撃!」

 命中だ。
 もう一発。

「雷撃!」

「ゥゥ……」

 これで、しばらくは動けないだろ。


「見事なものだ」

「いえ、魔法が上手くはまっただけですよ」

「それを見事と言わず何と言う」

「……」

 いや、まあ……。
 って、そんなことより。

「今は本体を仕留めましょう」

「……そうだな」

 エビルズマリスの動きは止まったまま。
 とはいえ、そろそろ動き出しそうか?

「うむ、念のため奴の動きを止めた方がいい」

「ええ」

 首に刺突を放つ前に、雷撃を撃っておこう。
 エビルズマリスに正対し、近距離から。

「オォォ」

 なっ!
 口を開いた!

 まずい!

「雷撃!!」

「グゥオオロオォォォォォ!!!」

 雷撃と咆哮。
 ほぼ同時の発動。

 すると。
 脳を直接揺らすようなあの感覚が再び!

「ぐっ!」

「うっ!」

 あきらかに、さっきより強烈だ。
 至近距離だからか?

 激しい目眩に吐き気、頭痛まで……。

「うぅ」

 きつい!

 けど、あいつはどうなった?
 雷撃は?

「……」

 動きを止めているエビルズマリス。
 完全に痺れている状態だ。

 なら、チャンスはある!
 まだ倒せる!

 ただ……。

 この身体では剣が振るえない。
 残された時間はわずかなのに……。

 剣姫は?
 彼女は動けるのか?

「うぅ……」

 駄目だ。
 剣姫もすぐに動ける状態じゃない。

 剣姫も俺も回復を待つしか?

 くっ!
 俺でも剣姫でもいい。
 早く回復してくれ!

「……」

 回復するか、半刻が経過するか。
 どっちが早いか、時間の勝負。

 が、その前に。
 さっきと同様、またブレスが来るかもしれない。
 分身の小さなブレスじゃなく、本体による光の奔流のようなブレス。

 この状況で、ブレスを受けるわけには!

「そばに来て、ください」

「……うむ」

 身体を揺らしながら剣姫が俺の傍ら、石壁の防御範囲内にやって来た。
 これならブレスから護ることも可能だろう。

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