30年待たされた異世界転移

明之 想

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第7章 南部編

四半刻 10

 数歩前に出たエビルズマリス。
 図らずも剣姫と一対一。
 対峙している状況に。

「いいだろう。勝負だ!」

 剣姫と勝負。
 いや、そのまま消える可能性も?

 俺は……魔法ならいける!
 よし。

「雷、撃!」

 発動しない。
 もう一度、集中して。

「雷撃!」

 やった、発動した!

 紫電があいつに襲い掛かる。
 が……。
 避けられてしまった!

「グルルゥゥ!」

 雷撃を避けたあいつに剣を放つ剣姫。
 身体は十全でなくとも、鋭い動きで剣を振るっている。
 さすがの動き見せている。

 けど、それじゃあ駄目なんだ。
 首元に剣を突き入れないと。

 剣姫も十分理解しているはず。
 ただ、分かっていても動き回るあいつの首元に、あの一点に剣を入れるのは容易じゃない。

 なら、俺が。
 雷撃で止めるしか!

「雷撃!」

 これも当たらない!
 近距離での雷撃で、しかも剣姫と対峙している相手に!

 やはり、威力も精度も不足しているのか。

「グウォォ!」

 あいつが剣姫に急迫!
 腕を振り上げ剣姫に!

「危ない!」

「っ!」

 ドガン!

 上手い!
 襲い掛かる腕を掻い潜るように転がって回避した。

 避けられたあいつの右腕は地面に埋まった状態。
 が、右腕をそのままに、左腕で追撃を仕掛けてくる。

 それも紙一重で躱す剣姫。
 
 続いて尻尾の攻撃。
 これも跳躍して避けきった。

 けど、その動きじゃあ、いつまでも保たないぞ。

 ならば、やはり。

「雷撃!」

 また未発動だ。

 ここで集中の欠如?
 いや、魔力残量の問題か?
 それとも?

「……」

 雷撃の発動に失敗した俺の前には。
 ぎりぎりであいつの攻撃を躱す剣姫。

「ぐっ!」

 そこで、足を滑らせてしまった!

「グゥロォォ!!」

 腕を引き抜いたエビルズマリスが向かってくる!
 振り下ろされるのは強靭な腕!
 躱せない。
 こんな一撃を身に受けたら。

 瞬間。
 考えるより先に地面を蹴っていた。
 どうしてだかは分からないが、痺れが消え身体が動いていた。

 駆けるままに、剣姫の前に身を投げ出し……。

 ドゴン!!

 左肩に衝撃。
 と同時に、剣姫と共に地面を転がる。

「っ!?」

 とんでもない衝撃。
 痛みより、その衝撃で身体が一時的に硬直する。
 剣姫も同じか!

「アリマっ!?」

 その声に答える余裕はない。

「グゥオォォ!!」

 あいつが、突進してくる!
 こっちはまだ十分に動けない。
 地面に転がったまま。

 頼む、発動してくれ!

「ストーンウォール!」

 成功だ!

 ドン!

 正面から石壁に激突するエビルズマリス。

 ドン!

 ドガッ!

 このままじゃ、すぐ破壊される。
 もう一枚。

「ストーンウォール!」

 発動しない!

 ドガン!!

 石壁が粉砕、エビルズマリスが目の前に!

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