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第7章 南部編
悔恨
「幸奈さんに、異能者と婚約の話があったんです」
「幸奈が婚約を!?」
幸奈が異能者と婚約。
そんな話、前回の人生でもなかったはず。
いや、違うのか?
俺が知らないだけで、前回の幸奈も婚約をしていた?
その可能性も?
「……」
前回の人生。
20歳の俺は、幸奈とは疎遠になっていた。
武志が亡くなった後は特にそうだった。
本来なら、俺が幸奈の力になるべきだったのに。
武志が亡くなった後の幸奈は酷く落ち込んでいたのに。
それを見て見ぬふりをして。
自分に嘘をついて。
ただ鍛錬に明け暮れる生活を送ってしまった。
異世界のことばかり考えて、全てを振り払って。
あの時は……それでいいと思っていた。
「……」
だから、この当時の幸奈の状況を俺は詳しく知らない。
幸奈が何を考えていたのか?
どうやって立ち直ったのか?
それとも、立ち直っていなかったのか?
そんなことも知らない。
俺は……。
それでも。
幸奈に彼氏ができたことくらいは知っている。
あれは確か、幸奈が21歳の時。
俺の知らない男性と付き合い始めたんだ。
その男性が異能者だった?
幸奈は前回の人生でも異能と関わっていたのか?
けど、待てよ。
幸奈はその男性と別れたはず。
別れたよな?
それで、27歳の春に結婚したんだ。
なら、結婚の相手が異能者だった可能性も?
「……」
分からない
分かるわけもない。
過去を、今の俺にとっての未来を、知る術などないのだから。
ただ、あの時……。
もう少し幸奈の話を聞いていれば。
自分のことばかり考えず、幸奈に寄り添っていれば。
違う未来もあったはず。
今の俺にも異なる知識があったはず。
なのに俺は……。
「ですが、そういう話があっただけで、何も進んではいませんから」
「……」
「しばらく婚約の話が進むことはないと思います」
和見家の問題。
幸奈の婚約の問題。
それに関わるのが異世界から来たセレス様。
本来なら、ずっとセレス様の近くにいるべきなんだろう。
傍にいて問題解決に付き合うべきだ。
けど、今の状況がそれを簡単には許してくれない。
ローンドルヌ河の幸奈のもとには多くの騎士がいる。
頼りになるノワールも残してきた。
村に潜伏している限り、ある程度は安心もできるはず。
それでも、レザンジュ王軍が近くに駐留している現状で、あちらに戻らず日本に留まるという選択肢は……。
やはり選ぶことができない。
だから俺は。
「私は平気です。婚約の話なんて問題ありませんよ。だって、この世界では命の危険がないのですから」
「セレス様……」
「コーキさんは気にせずワディンに戻ってくださいね」
その言葉に甘えるしかなかった。
「でも、余裕ができたら……」
「……」
「その時は少しだけ付き合ってほしいです」
「……」
「少しでもこの世界の時間を一緒に……」
そんなこと。
そんなことでいいなら。
「分かりました。約束します」
あっちが落ち着いたら、必ず。
「はい!」
満面の笑み……。
「これで、また頑張れます!」
「……」
悔恨なのか、呵責なのか?
幸奈に対してなのか、セレス様に対してなのか?
今はよく分からない。
ただ。
不甲斐ないことだけは確か。
間違いない。
誰より自分が分かっている。
「それと、もうひとつ話があるんです」
「……何でしょう?」
「コーキさんは壬生伊織という少年を知っていますか?」
「幸奈が婚約を!?」
幸奈が異能者と婚約。
そんな話、前回の人生でもなかったはず。
いや、違うのか?
俺が知らないだけで、前回の幸奈も婚約をしていた?
その可能性も?
「……」
前回の人生。
20歳の俺は、幸奈とは疎遠になっていた。
武志が亡くなった後は特にそうだった。
本来なら、俺が幸奈の力になるべきだったのに。
武志が亡くなった後の幸奈は酷く落ち込んでいたのに。
それを見て見ぬふりをして。
自分に嘘をついて。
ただ鍛錬に明け暮れる生活を送ってしまった。
異世界のことばかり考えて、全てを振り払って。
あの時は……それでいいと思っていた。
「……」
だから、この当時の幸奈の状況を俺は詳しく知らない。
幸奈が何を考えていたのか?
どうやって立ち直ったのか?
それとも、立ち直っていなかったのか?
そんなことも知らない。
俺は……。
それでも。
幸奈に彼氏ができたことくらいは知っている。
あれは確か、幸奈が21歳の時。
俺の知らない男性と付き合い始めたんだ。
その男性が異能者だった?
幸奈は前回の人生でも異能と関わっていたのか?
けど、待てよ。
幸奈はその男性と別れたはず。
別れたよな?
それで、27歳の春に結婚したんだ。
なら、結婚の相手が異能者だった可能性も?
「……」
分からない
分かるわけもない。
過去を、今の俺にとっての未来を、知る術などないのだから。
ただ、あの時……。
もう少し幸奈の話を聞いていれば。
自分のことばかり考えず、幸奈に寄り添っていれば。
違う未来もあったはず。
今の俺にも異なる知識があったはず。
なのに俺は……。
「ですが、そういう話があっただけで、何も進んではいませんから」
「……」
「しばらく婚約の話が進むことはないと思います」
和見家の問題。
幸奈の婚約の問題。
それに関わるのが異世界から来たセレス様。
本来なら、ずっとセレス様の近くにいるべきなんだろう。
傍にいて問題解決に付き合うべきだ。
けど、今の状況がそれを簡単には許してくれない。
ローンドルヌ河の幸奈のもとには多くの騎士がいる。
頼りになるノワールも残してきた。
村に潜伏している限り、ある程度は安心もできるはず。
それでも、レザンジュ王軍が近くに駐留している現状で、あちらに戻らず日本に留まるという選択肢は……。
やはり選ぶことができない。
だから俺は。
「私は平気です。婚約の話なんて問題ありませんよ。だって、この世界では命の危険がないのですから」
「セレス様……」
「コーキさんは気にせずワディンに戻ってくださいね」
その言葉に甘えるしかなかった。
「でも、余裕ができたら……」
「……」
「その時は少しだけ付き合ってほしいです」
「……」
「少しでもこの世界の時間を一緒に……」
そんなこと。
そんなことでいいなら。
「分かりました。約束します」
あっちが落ち着いたら、必ず。
「はい!」
満面の笑み……。
「これで、また頑張れます!」
「……」
悔恨なのか、呵責なのか?
幸奈に対してなのか、セレス様に対してなのか?
今はよく分からない。
ただ。
不甲斐ないことだけは確か。
間違いない。
誰より自分が分かっている。
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