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第7章 南部編
嵐
「進んでいいぞ」
「よし、そのまま進め」
「馬車はこっちだ」
ローンドルヌ大橋の前には数人のレザンジュ兵。
橋を渡ろうとする通行人に声を掛けている?
調べている?
ということは……。
橋を渡る直前!
間に合ったんだ!
「……」
危なかった。
もう少し決断が遅れていたら、大橋の上でウラハムの魔眼にとらえられる所だった。
もちろん、天幕の中とは違い離れた場所から視られるだけだろうから、俺のギフトまで見抜かれることはないかもしれないが……。
とにかく、この時間に戻れてよかった。
これで、露見は回避できたはず。
なら、当然。
いちど橋から離れた方がいい。
どこでウラハムの魔眼に捕まるか分からないんだからな。
ローンドルヌ大橋まであと数歩のところで踵を返し、目立たないように注意しながら大橋を離れる。
少し歩いたところで街道から脇に入り、適当な草むらの中へ。
ふぅぅ。
これで、やっと一息つける。
冷静に考えることもできそうだ。
さて、今の俺は……。
ローンドルヌ大橋の警備体制も南岸の状況も頭の中に入っている。
遡行前の経験を有効活用できる状況。
それを踏まえた上で、偵察をどうするか?
どう動くべきか?
じっくり考えよう。
*************************
<和見幸奈視点(姿はセレスティーヌ)>
窓の外に稲光が走り、遅れて雷鳴がやって来た。
その轟音に。
「きゃあ!」
この世の終わりといった表情でシアさんが震えている。
レザンジュの兵団やエビルズピークの怪物を見ても、ここまでじゃなかったのに。
「ううぅ……」
そこまで雷が苦手なの?
「シアさん、大丈夫ですよ」
「……はい」
「まっ、建物が倒壊することはねえだろ」
「そうだよ、姉さん。怖がり過ぎだって」
「……」
早朝から続く雨と風はかなりの酷さで、建物が揺れているように感じてしまう程。
その上、苦手な雷光まで目にしたとあっては、シアさんが怖がるのも仕方ない。
とはいえ。
「そのうち収まんだろ」
ヴァーンさんの言う通り。
いつまでもこんな嵐が続くわけがない。
「雷も?」
「間違いねえ」
「……」
「けど、今日は一日雨っぽいかも。となると、コーキさんからの連絡もないかな?」
「さすがのコーキでも、この強風の中を投擲すんのは無理ってもんだぜ」
わたしもそう思う。
「まっ、前回の手紙で王軍の警備体制は分かってるんだけどさ」
「ああ、そこに関しちゃあ問題はねえ」
コーキさんから届いた文には、ローンドルヌ駐留部隊の目的はわたしではなく、トゥレイズに向かうワディン騎士や傭兵を取り締まることだと書かれていた。だから、わたしやシアさん、アル君にヴァーンさんの4人に関しては商人に扮して橋を渡ることも可能かもしれないと。
「そうは言っても、ワディン騎士たちは簡単に橋は渡れないよなぁ」
「変装して、10の商隊に分かれて、それでごまかせるか?」
「どう考えても、難しいって」
溜息をつくアル君。
「能力を見抜く魔眼持ちもいるようだし」
「……魔眼持ちのいない時を狙って渡るしかねえ」
「いない時が分かればいいけどさ」
「まあ、な」
「それに、河を泳いで渡るのも難しいんだろ」
ローンドルヌ河を泳いで渡るのは危険。
小舟で渡る場合も頑丈な船以外では避けるべき。
水中には、想定以上の魔物が潜んでいる
コーキさんの文の中には、そうも書かれていた。
「河に魔物を集めるなんて汚いことするよな」
「レザンジュ王軍らしいやり方だぜ」
王軍は、ローンドルヌ河の上流から大橋付近まで魔物を呼び寄せたらしい。
「まっ、橋を渡れるんなら何の問題もねえけどよ」
「……」
「……」
「ヴァーン?」
「ん?」
「その、今日は外に出なくていいわよね?」
「ああ、ねえと思うぞ」
「……よかった」
シアさん、本当に雷が苦手なのね。
「よし、そのまま進め」
「馬車はこっちだ」
ローンドルヌ大橋の前には数人のレザンジュ兵。
橋を渡ろうとする通行人に声を掛けている?
調べている?
ということは……。
橋を渡る直前!
間に合ったんだ!
「……」
危なかった。
もう少し決断が遅れていたら、大橋の上でウラハムの魔眼にとらえられる所だった。
もちろん、天幕の中とは違い離れた場所から視られるだけだろうから、俺のギフトまで見抜かれることはないかもしれないが……。
とにかく、この時間に戻れてよかった。
これで、露見は回避できたはず。
なら、当然。
いちど橋から離れた方がいい。
どこでウラハムの魔眼に捕まるか分からないんだからな。
ローンドルヌ大橋まであと数歩のところで踵を返し、目立たないように注意しながら大橋を離れる。
少し歩いたところで街道から脇に入り、適当な草むらの中へ。
ふぅぅ。
これで、やっと一息つける。
冷静に考えることもできそうだ。
さて、今の俺は……。
ローンドルヌ大橋の警備体制も南岸の状況も頭の中に入っている。
遡行前の経験を有効活用できる状況。
それを踏まえた上で、偵察をどうするか?
どう動くべきか?
じっくり考えよう。
*************************
<和見幸奈視点(姿はセレスティーヌ)>
窓の外に稲光が走り、遅れて雷鳴がやって来た。
その轟音に。
「きゃあ!」
この世の終わりといった表情でシアさんが震えている。
レザンジュの兵団やエビルズピークの怪物を見ても、ここまでじゃなかったのに。
「ううぅ……」
そこまで雷が苦手なの?
「シアさん、大丈夫ですよ」
「……はい」
「まっ、建物が倒壊することはねえだろ」
「そうだよ、姉さん。怖がり過ぎだって」
「……」
早朝から続く雨と風はかなりの酷さで、建物が揺れているように感じてしまう程。
その上、苦手な雷光まで目にしたとあっては、シアさんが怖がるのも仕方ない。
とはいえ。
「そのうち収まんだろ」
ヴァーンさんの言う通り。
いつまでもこんな嵐が続くわけがない。
「雷も?」
「間違いねえ」
「……」
「けど、今日は一日雨っぽいかも。となると、コーキさんからの連絡もないかな?」
「さすがのコーキでも、この強風の中を投擲すんのは無理ってもんだぜ」
わたしもそう思う。
「まっ、前回の手紙で王軍の警備体制は分かってるんだけどさ」
「ああ、そこに関しちゃあ問題はねえ」
コーキさんから届いた文には、ローンドルヌ駐留部隊の目的はわたしではなく、トゥレイズに向かうワディン騎士や傭兵を取り締まることだと書かれていた。だから、わたしやシアさん、アル君にヴァーンさんの4人に関しては商人に扮して橋を渡ることも可能かもしれないと。
「そうは言っても、ワディン騎士たちは簡単に橋は渡れないよなぁ」
「変装して、10の商隊に分かれて、それでごまかせるか?」
「どう考えても、難しいって」
溜息をつくアル君。
「能力を見抜く魔眼持ちもいるようだし」
「……魔眼持ちのいない時を狙って渡るしかねえ」
「いない時が分かればいいけどさ」
「まあ、な」
「それに、河を泳いで渡るのも難しいんだろ」
ローンドルヌ河を泳いで渡るのは危険。
小舟で渡る場合も頑丈な船以外では避けるべき。
水中には、想定以上の魔物が潜んでいる
コーキさんの文の中には、そうも書かれていた。
「河に魔物を集めるなんて汚いことするよな」
「レザンジュ王軍らしいやり方だぜ」
王軍は、ローンドルヌ河の上流から大橋付近まで魔物を呼び寄せたらしい。
「まっ、橋を渡れるんなら何の問題もねえけどよ」
「……」
「……」
「ヴァーン?」
「ん?」
「その、今日は外に出なくていいわよね?」
「ああ、ねえと思うぞ」
「……よかった」
シアさん、本当に雷が苦手なのね。
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