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第7章 南部編
嵐のローンドルヌ大橋 2
<和見幸奈視点(姿はセレスティーヌ)>
ローンドルヌ大橋の上には、ひとりの兵も見当たらない。
こうなると、気になるのは。
「シアさん?」
王軍兵はいないけど、雨風は相変わらず。
稲光も時折やってくる。
だから、心配になってしまう。
「大丈夫?」
「……はい」
答える顔色は真っ青そのもの。
とても平気とは思えない。
「これで少し楽になるといいんだけど」
シアさんの震える手をわたしの両手で包み込む。
「セレス様……とっても落ち着きます」
「よかった」
こんなことで震えが止まるなら、お安い御用だ。
と!
これまで以上の強烈な横風!
馬車が揺れている。
「きゃあ!」
シアさん、これは雷ではなく突風よ?
「今のは雷じゃないぞ、姉さん」
「……分かってるわ」
「ホント、大丈夫かよ?」
「こ、ここまで来たんだから、大丈夫……に決まってるでしょ」
「全くそうは見えないけど?」
「……」
シアさん、かなり無理をしている。
嵐の中で頑張って。
「あの、セレス様、ほんとに平気ですので」
そんなはずない。
また震えているのに。
でも、頑張るシアさんを見ていると。
「いつも一緒にいてくれて、ありがと、シアさん」
お礼が言いたくなる気持ちを抑えきれなくて。
「そんな、わたし……わたしこそ、ありがとうございます」
「お礼を言うのは、こちらですよ」
「いえ、今はセレス様がわたしを護ってくれてますし」
「あっ、そうでしたね」
「そうですよ! とっても頼りになりますから!」
馬車の中、見つめ合うわたしたち。
「あの、こんなこと口にしては駄目だと分かっているんですが……」
「何でしょ?」
「前の凛々しいセレス様はとっても素敵でした。けど、今の親しみやすいセレス様も……わたし、大好きです」
記憶を失くしたわたしに、そんなことを!
「セレス様の傍にいると、幸せだなぁって」
「シアさん……ありがと。でも、本当に?」
前のわたしだけじゃなくて、今のわたしも?
「もちろんです」
嬉しい……。
「幸せです!」
いつもと違い、飾ることなくストレートに思いを口にしてくれるシアさん。
今までに経験したことのない思いが込み上げてくる。
「わたしもシアさんの隣で過ごす時間が、とっても幸せですから」
「セレス様」
「シアさん」
「ふふ……」
「ふふふ……」
ふたりとも、つい笑みがこぼれてしまう。
「シア、女同士のイチャイチャも悪かねえけどよぉ、もう大橋だぞ」
「……分かってるわ」
ヴァーンさんの言葉で、窓の外に目をやると。
わたしの乗る馬車がローンドルヌ大橋の上に。
馬車の前には騎士の皆さん、後ろにも騎士の皆さん。
「……」
橋上まで来ても、王軍の姿は全く見えない。
やっぱり、罠なんてなかったんだ。
渡河を決めて良かった。
これで、ようやくローンドルヌ河を越えることができる。
勢いが衰えない雨と風の中。
橋の上を悠然と進んでいく馬車とワディン騎士の皆さん。
と、そこに突然。
異音?
これは雨音じゃない。
「!?」
「「「「「おおぉ!!」」」」」
「「「「「うおおぉぉ!!」」」」」
喊声!
「セレス様!」
「そんな!?」
激しい雨で視界がはっきりしないこの状況でも確認できる。
見えてしまう。
「くそっ、やられたぜ!」
レザンジュ王軍!
橋の両側に敵兵の姿が!!
「セレスティーヌ様、申し訳ございません。敵の急襲。挟撃です!!」
「隊長さん!」
王軍兵の姿なんて、どこにもなかったのに。
突然、どうして?
ローンドルヌ大橋の上には、ひとりの兵も見当たらない。
こうなると、気になるのは。
「シアさん?」
王軍兵はいないけど、雨風は相変わらず。
稲光も時折やってくる。
だから、心配になってしまう。
「大丈夫?」
「……はい」
答える顔色は真っ青そのもの。
とても平気とは思えない。
「これで少し楽になるといいんだけど」
シアさんの震える手をわたしの両手で包み込む。
「セレス様……とっても落ち着きます」
「よかった」
こんなことで震えが止まるなら、お安い御用だ。
と!
これまで以上の強烈な横風!
馬車が揺れている。
「きゃあ!」
シアさん、これは雷ではなく突風よ?
「今のは雷じゃないぞ、姉さん」
「……分かってるわ」
「ホント、大丈夫かよ?」
「こ、ここまで来たんだから、大丈夫……に決まってるでしょ」
「全くそうは見えないけど?」
「……」
シアさん、かなり無理をしている。
嵐の中で頑張って。
「あの、セレス様、ほんとに平気ですので」
そんなはずない。
また震えているのに。
でも、頑張るシアさんを見ていると。
「いつも一緒にいてくれて、ありがと、シアさん」
お礼が言いたくなる気持ちを抑えきれなくて。
「そんな、わたし……わたしこそ、ありがとうございます」
「お礼を言うのは、こちらですよ」
「いえ、今はセレス様がわたしを護ってくれてますし」
「あっ、そうでしたね」
「そうですよ! とっても頼りになりますから!」
馬車の中、見つめ合うわたしたち。
「あの、こんなこと口にしては駄目だと分かっているんですが……」
「何でしょ?」
「前の凛々しいセレス様はとっても素敵でした。けど、今の親しみやすいセレス様も……わたし、大好きです」
記憶を失くしたわたしに、そんなことを!
「セレス様の傍にいると、幸せだなぁって」
「シアさん……ありがと。でも、本当に?」
前のわたしだけじゃなくて、今のわたしも?
「もちろんです」
嬉しい……。
「幸せです!」
いつもと違い、飾ることなくストレートに思いを口にしてくれるシアさん。
今までに経験したことのない思いが込み上げてくる。
「わたしもシアさんの隣で過ごす時間が、とっても幸せですから」
「セレス様」
「シアさん」
「ふふ……」
「ふふふ……」
ふたりとも、つい笑みがこぼれてしまう。
「シア、女同士のイチャイチャも悪かねえけどよぉ、もう大橋だぞ」
「……分かってるわ」
ヴァーンさんの言葉で、窓の外に目をやると。
わたしの乗る馬車がローンドルヌ大橋の上に。
馬車の前には騎士の皆さん、後ろにも騎士の皆さん。
「……」
橋上まで来ても、王軍の姿は全く見えない。
やっぱり、罠なんてなかったんだ。
渡河を決めて良かった。
これで、ようやくローンドルヌ河を越えることができる。
勢いが衰えない雨と風の中。
橋の上を悠然と進んでいく馬車とワディン騎士の皆さん。
と、そこに突然。
異音?
これは雨音じゃない。
「!?」
「「「「「おおぉ!!」」」」」
「「「「「うおおぉぉ!!」」」」」
喊声!
「セレス様!」
「そんな!?」
激しい雨で視界がはっきりしないこの状況でも確認できる。
見えてしまう。
「くそっ、やられたぜ!」
レザンジュ王軍!
橋の両側に敵兵の姿が!!
「セレスティーヌ様、申し訳ございません。敵の急襲。挟撃です!!」
「隊長さん!」
王軍兵の姿なんて、どこにもなかったのに。
突然、どうして?
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