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第7章 南部編
子爵邸
<セレスティーヌ視点(姿は和見幸奈)>
壬生兄の異能攻撃をものともせず、力強く地を蹴った武上君。
「なっ?」
壬生兄の胸元に飛び込み、そのまま彼を抑え込んだ。
「おまえ、どうして動ける? やめろ!」
「やめるわけねえ!」
「くっ、はなせ!」
「だから、放さねえって。ん、自力で逃げてみるか? って、無理だわなぁ」
「……」
「おまえ、恥ずかしい詠唱を考える暇があんなら、身体を鍛えた方がいいぜ。あっ、二度目は詠唱してなかったな。やっぱり、恥ずかしかったんじゃねえか」
「だ、黙れ! 私は壬生だぞ」
「それが、どうした」
「壬生家にこんなことをして、どうなるか分かってるのか!」
「壬生、壬生、壬生って、うっせえなぁ。子供かよ。もう、眠っとけ」
呆れたような顔の武上君が一撃を放つ。
「うぅ……」
すると、胸に拳を受けた壬生兄が簡単に意識を手放してしまった。
「壬生さん!」
「若!」
「あなたたちも眠りたい?」
「「……」」
「大人しくしてればいいのよ」
ふたりの異能者が、古野白さんの一睨みで沈黙。
頼もしい。
ふたりとも、本当に。
「古野白、研究所に連絡頼むわ」
「ええ、分かってるわ。……お疲れ様、武上君」
「おう。さすがに、疲れたぜ」
「あら、これくらいでヒーローって疲れるものなの?」
「……」
********************
「アル、もう終わりか?」
「……まだやれる。もう一本だ!」
「了解」
「いくぞぉ!」
「おう、かかってこい!」
俺たちが滞在しているトゥレイズ子爵の館。
その中庭で剣の手合わせをしているのは、アルとヴァーン。
トゥレイズに到着してからは、毎日のようにここで剣を打ち合わせている。
ディアナや他の騎士が加わることもあるが、ほとんどの時間はこの2人だけ。
ずっと2人で鍛錬しているんだ。
大した向上心だよ。
「コーキさんは参加しないんですか?」
「ええ、まあ」
俺自身の日課である鍛錬は、朝のうちに済ませてある。
それに、今は剣より……。
「伯爵様の容態はいかがです?」
考えなければいけないことが多すぎる。
伯爵の容態と今後のワディンの方針。
それによって変わってくる俺たちの今後。
何より、幸奈とセレス様のことをどう解決するか?
悩ましいことばかりだ。
まあ、こうしてゆっくり悩んでいられるのも、トゥレイズで穏やかな時間を過ごすことができているから。エビルズピークやローンドルヌ河では考えられなかったことだな。
「……寝室から出るのは、まだ難しいようです」
「それは心配ですね」
「はい。でも、疲れているだけだと侍医も言ってますので」
辺境伯のここまでの苦労と心労を考えれば、寝込むのも不思議なことじゃない。
ただ、ここまで長引くと……。
「……母と兄の消息がつかめないことも、ひとつの原因みたいです」
「……」
心を痛めているのはセレス様も同じ。
ここにいるセレス様の中身は幸奈だけれど、今はまるで本物のセレス様のように思考し行動しているのだから。肉親への情もセレス様同様のものがあるはず。
「あの、コーキさんとヴァーンさんは、よろしいのですか?」
「何がでしょう?」
「こうしてトゥレイズに留まっていただいても良いのかと……」
「もちろんです。滞在についてはヴァーンと話をして決めたことですので」
ヴァーンはシアのもとを離れようとは思っていない。
俺も幸奈のもとを離れるつもりはない。
「ありがとうございます」
「いえ……」
問題は、いつまでこの状況が続くか。
いつ幸奈とセレス様が入れ替われるか。
それに尽きる。
壬生兄の異能攻撃をものともせず、力強く地を蹴った武上君。
「なっ?」
壬生兄の胸元に飛び込み、そのまま彼を抑え込んだ。
「おまえ、どうして動ける? やめろ!」
「やめるわけねえ!」
「くっ、はなせ!」
「だから、放さねえって。ん、自力で逃げてみるか? って、無理だわなぁ」
「……」
「おまえ、恥ずかしい詠唱を考える暇があんなら、身体を鍛えた方がいいぜ。あっ、二度目は詠唱してなかったな。やっぱり、恥ずかしかったんじゃねえか」
「だ、黙れ! 私は壬生だぞ」
「それが、どうした」
「壬生家にこんなことをして、どうなるか分かってるのか!」
「壬生、壬生、壬生って、うっせえなぁ。子供かよ。もう、眠っとけ」
呆れたような顔の武上君が一撃を放つ。
「うぅ……」
すると、胸に拳を受けた壬生兄が簡単に意識を手放してしまった。
「壬生さん!」
「若!」
「あなたたちも眠りたい?」
「「……」」
「大人しくしてればいいのよ」
ふたりの異能者が、古野白さんの一睨みで沈黙。
頼もしい。
ふたりとも、本当に。
「古野白、研究所に連絡頼むわ」
「ええ、分かってるわ。……お疲れ様、武上君」
「おう。さすがに、疲れたぜ」
「あら、これくらいでヒーローって疲れるものなの?」
「……」
********************
「アル、もう終わりか?」
「……まだやれる。もう一本だ!」
「了解」
「いくぞぉ!」
「おう、かかってこい!」
俺たちが滞在しているトゥレイズ子爵の館。
その中庭で剣の手合わせをしているのは、アルとヴァーン。
トゥレイズに到着してからは、毎日のようにここで剣を打ち合わせている。
ディアナや他の騎士が加わることもあるが、ほとんどの時間はこの2人だけ。
ずっと2人で鍛錬しているんだ。
大した向上心だよ。
「コーキさんは参加しないんですか?」
「ええ、まあ」
俺自身の日課である鍛錬は、朝のうちに済ませてある。
それに、今は剣より……。
「伯爵様の容態はいかがです?」
考えなければいけないことが多すぎる。
伯爵の容態と今後のワディンの方針。
それによって変わってくる俺たちの今後。
何より、幸奈とセレス様のことをどう解決するか?
悩ましいことばかりだ。
まあ、こうしてゆっくり悩んでいられるのも、トゥレイズで穏やかな時間を過ごすことができているから。エビルズピークやローンドルヌ河では考えられなかったことだな。
「……寝室から出るのは、まだ難しいようです」
「それは心配ですね」
「はい。でも、疲れているだけだと侍医も言ってますので」
辺境伯のここまでの苦労と心労を考えれば、寝込むのも不思議なことじゃない。
ただ、ここまで長引くと……。
「……母と兄の消息がつかめないことも、ひとつの原因みたいです」
「……」
心を痛めているのはセレス様も同じ。
ここにいるセレス様の中身は幸奈だけれど、今はまるで本物のセレス様のように思考し行動しているのだから。肉親への情もセレス様同様のものがあるはず。
「あの、コーキさんとヴァーンさんは、よろしいのですか?」
「何がでしょう?」
「こうしてトゥレイズに留まっていただいても良いのかと……」
「もちろんです。滞在についてはヴァーンと話をして決めたことですので」
ヴァーンはシアのもとを離れようとは思っていない。
俺も幸奈のもとを離れるつもりはない。
「ありがとうございます」
「いえ……」
問題は、いつまでこの状況が続くか。
いつ幸奈とセレス様が入れ替われるか。
それに尽きる。
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