30年待たされた異世界転移

明之 想

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第7章 南部編

籠城 8

「「「「「「おおぉぉぉ!!」」」」」」

「「「「「「突撃!!」」」」」」

「「「「「「いっけぇぇぇ!!」」」」」

 内壁の外から聞こえてくる王軍の喊声。

「ここで守りきるぞ!」

「駄目だぁ、もうもたねえ」

「大丈夫。勝負はここからだぁ!」

 内壁の上の守備兵たちの叫声。

「きゃあぁぁぁ!!」

「門を開けろぉ!」

「俺は味方だぞ!」

「ぎゃあぁぁ!!」

 門の外に溢れる悲鳴も……。

「うう、助けてくれぇ」

「ああぁぁぁ」

 喊声に怒号、叫声、喚声、剣戟音に魔法の炸裂音。
 内壁の周辺はとんでもないことになっている。

 それでも、今のところは王軍の猛攻を何とかしのいでいる、のか?

 ざっと内壁を見渡す限り。
 綻びは見えない。
 当然王軍は侵入できていない。

「……」

 この内壁は外壁と同じく防御魔法が付与された強化壁。
 今はその内壁の門が固く閉ざされた状態だ。

 なら……。

 現時点で、すぐにここを突破されることもないだろう。

「「「「「おおぉぉぉ!!」」」」」

「「「「「進め、進めぇ!!」」」」」

 常識的判断ではそうなるが、王軍のこの大攻勢。
 規模の小さい内壁で、いつまで守りきれるんだ?

「……」

 約束通り子爵邸に戻る前に、少しだけ時間を稼ぐことにしよう。
 いつも以上に入念に魔力を練り。
 集中し……。

「雷撃!」

 まずは十八番の魔法。
 続いて。

「雷波!」

 横幅15メートル以上の帯電した波がうねる様に進み、門の前にいた王軍に襲いかかる。

「「「「「ぎゃあぁぁ」」」」」

「「「「「うわぁぁぁ」」」」」

 効いてるな。
 それじゃ、次も。

「雷波!」

 もっとだ。

「雷波!」

 まだだ。

「雷波!」

「雷波!」

 っ!
 さすがに、苦しくなってきたぞ。
 けど、もう少しだけ。

「雷波!」

「雷波!」

 はあ、はあ。
 これ以上は連続では放てない、か。

 ただ、今のこの状況は。

「止まれぇぇ!!」

「一度下がるんだぁ!」

「立て直すぞ!」

 内壁の正門から、王軍が離れていく。

「……」

 悪くないな。
 だったら、最後にもう一発プレゼントを。

「ふぅぅぅ」

 深呼吸で魔力を整えて。

「炎波!!」

 これも大規模の範囲攻撃。

「「「「「うわぁぁぁ!!」」」」」

 よーし。
 これで時間を稼げたはず。

 幸奈のもとに戻るぞ!




********************

<和見幸奈視点(姿はセレスティーヌ)>



「えっ、トゥレイズを離れるのですか?」

「うむ。外壁が破られた現状、トゥレイズがいつまで耐えることができるか分からぬのだ。最悪、明日まで持たない可能性も考えねばならん」

「理解ください」

 お父様と子爵の眼に迷いは見えない。

「……」

「セレスよ、分かってくれるか?」

「お父様……」


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